新コンポ「カデックス」などが一挙公開!ジャイアント2020モデル発表会レポート
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text 江里口恭平、中島丈博
世界最大の自転車ブランド、ジャイアントの2020年モデル発表会が開催。今年の目玉となるのは、ジャイアントが送り出す新たなサイクリングコンポーネントシリーズ「カデックス(CADEX)」だ。その他にも新型のMTBタイプeバイクや、より廉価版のパワーメーターを搭載したパフォーマンスモデルなどを一挙に紹介しよう。
ジャイアントのハイエンドパーツ群「カデックス」
スポーツバイク歴が長い人なら「カデックス」の名前を懐かしく感じるだろう。そではジャイアントが1985年に登場させたカーボンフレームのプロジェクト名であり、稀代のオーストラリア人スプリンター、ロビー・マキュアンが乗っていたことを記憶している人もいるはず。そんなカデックスの名が、ジャイアントのパーツブランドとして2020年モデルに復活する。
目玉となるのはフルカーボンロードホイール。リムハイトは42mmと65mm。そしてフロントバトンホイールとリヤのディスクホイールがそろう。
どのモデルにも共通しているのは、チューブラーモデルと、チューブレスモデルあること。このチューブレスモデルが特に個性的だ。リムはフックレスリムを採用しているのである。
通常、クリンチャーリムやチューブレスリムはリムサイドにタイヤのビードをひっかけるフックがある。フックレス=つまりこのフックがないのだ。タイヤの嵌め合い精度と空気圧だけでタイヤが外れない構造となっている。
このメリットはフックがあるリムよりも、強度を維持しつつ軽量にできる点。フルカーボンリムにフックを作る場合は切削加工が発生するが、フックがないので切削が必要ない。つまりカーボン繊維を削って切断する必要がないので、リムサイドから一続きのカーボン繊維でリムの端まで製造することができるのだ。
ただ、フックがないので、タイヤが外れてしまわないように、相性がとても重要になる。現状認定されているタイヤはカデックス・レースと、ジャイアント・ガビアシリーズ(0、1グレード)のみ。シーラントを使用する必要がある。
そしてもうひとつのトピックが、スポークだ。一見すると黒い金属スポークに見えるが、これなんとカーボンスポーク。両サイドにはハブ、リムとつながるためのアルミパーツが圧入されているが、芯はすべてフルカーボン。非常に手間のかかる製造工程を経ているという。完組ホイールによく使われる軽量エアロスポークのDTスイス・エアロライトと比べると1本あたり1.5g軽量だという。これにより前後セットで38.5gの軽量化になる。
ハブもオリジナル設計だ。またスポークテンションは、ホイール回転時に加重された時に初めて最適化されるよう設定されている。
CADEX 42
・チューブレス、チューブラー
・リムブレーキ、ディスクブレーキ
・価格(ペア):32万円(税抜)
CADEX 65
・チューブレス、チューブラー
・リムブレーキ、ディスクブレーキ
・価格(ペア):34万円(税抜)
CADEX 4-SPOKE AERO
・チューブレス、チューブラー
・価格:19万円(税抜)
CADEX AERO DISC
・チューブレス、チューブラー
・価格:26万円(税抜)
ブーストはトレンドのショートタイプのサドルだ。サドルベースとレール接合部を乗車時に加重がかかる部分から離すことによって快適性を生み出している。また、座面を裏から見るとくぼみが設けられており、ここに骨盤がフィット。圧力を分散して快適性を確保する。
CADEX BOOST
重量:138g
レールサイズ:9mm
幅:149mm
長さ:246mm
スタックハイト:44mm
カラー:ブラック
価格:3万3000円(税抜)
サポートしているCCCチームからのフィードバックを生かし、開発されたチューブレスタイヤ。23C、25C、28Cの3サイズ展開。170TPIのケーシングに、最先端のシリカベースコンパウンドを採用している。
CADEX RACE
・チューブレス
・サイズ:23C、25C、28C
・重量:255g(23C)、270g(25C)、325g(28C)
・TPI:170
・価格:1万円(税抜)
パワーメーター「パワープロS」搭載モデルでよりパワー計測の敷居が下がる
「TCRアドバンスド2KOM SE」(21万円)にスペックインするクランク部に搭載されるのが、シマノ・105ベースとなるパワーメーター「パワープロS」だ。レフトサイドのみで計測したものを仮想的に倍にして表示するという廉価版に位置。シンプルさゆえに小型軽量化となり、省電力化も実現しており稼働時間は100時間。LEDによって電池残量確認しやすくなると、ユーザビリティも向上している。
リブの「ランマ アドバンスド2SE」とともに、搭載される2台は昨年の同モデルから比較すると、定価にして1万円のアップと、他社を圧倒するようなプライスパフォーマンスを誇ることとなる。
また、「TCRアドバンスド1SE」(28万円)などに搭載される両側クランク計測タイプのアルテグラR8000ベース「パワープロ」は、これまでの完成車にスペックするものに加えて一般販売されることとなった。価格は10万円(税抜)を予定している。
POWER PRO
チェーンリング:50×34、52×36
クランク長:165、170、172.5mm、175mm
価格:10万円(税抜)
好調のeバイクに、本格的な2車種が追加
2020年モデルとして各社から次々と発表されているeバイク。ジャイアントにおいても2019年より発売しているクロスバイクタイプのeバイク「エスケープRX Eプラス」が好調で販売されており、今回は新たにフルサスペンションフレームとリジッドフレームのMTBが2タイプ追加されることとなった。
ジャイアントのeバイクの特徴としては、「ジャイアントグループ」として日本のドライブユニットメーカーと共同でバイクの開発を行っているという点がある。ドライブユニットにおいてはヤマハと共同開発。今回の2車種に搭載されるドライブユニットの「シンクドライブプロ」は最大トルク80Nm、最大ケイデンス170rpmというモーター性能を持つ。これは国内の他社eバイク搭載ドライブと比較してもっともトルク数であり、なおかつアグレッシブなライドでの高ケイデンスにも十分に対応できるというもの。なおかつ高いセンシング性能からアシスト応答の速度は0.19秒となっている。重量も3.1kgと、エスケープモデルに搭載されている「シンクドライブ」から小型軽量化された。
同じくグループのパナソニックから供給されるバッテリーでは、フレームに完全内蔵されつつも、高い放熱性や安全性を考慮。1回の充電で、最大のアシストモードである「パワー」モードにおいても約70kmの走行が可能となった。
また、満充電まで約3時間半となる充電器の「スマートチャージャー6A」も使用可能となる。
ジャイアントのリヤサスペンションシステム「マエストロサスペンション」を搭載したフルサスeMTBの「トランスEプラスプロ」(58万円)では本格的なトレイルライドを。そして先日の全日本eMTB選手権でプロトタイプが3位となったリジッドフレームタイプの「ファゾムEプラスプロ」(38万円)では、エアボリュームを活かしたロングトレイルを。より本格的なeバイクがジャイアントというビッグブランドからもたらされることで、日本のeバイク市場はますます刺激されることとなる。
TRANCE E+ PRO
価格:58万円(税抜)
サイズ:405(S)、432(M)mm
重量:24.3kg(405)mm
FATHOM E+ PRO
価格:38万円(税抜)
サイズ:405(S)、465(M)mm
重量:23.6kg(405)mm
完全新型フレームなど注目モデルを一挙紹介!
オンロードのロングディスタンスからグラベルへのツーリングまで幅広い自転車アソビを可能とするオールロードジャンルの「コンテンド」シリーズに「コンテンドAR2」(15万円)が追加された。
快適性や汎用性の質を向上を目的として、細身で軽量なフォーク、D型形状でしなりを活かす「Dフューズ」タイプのシートポスト、最大で38Cまで対応可能なタイヤクリアランス(標準は32C)、ディスクブレーキはもちろんスルーアクスルと、ディファイシリーズなどで培われた要素をよりオールロードとして昇華。シンプルでミニマムなグラフィックやケーブルルーティングとともに、フェンダー取り付け可能なダボなど拡張性も備え、まさに今のトレンドをまんべんなく抑えている。
CONTEND AR 2
価格:15万円(税抜)
サイズ:410(XS)、445(S)、480(M)、515(ML)mm
(価格は全て税抜)