安井行生のロードバイク徹底評論 第6回 YONEX CARBONEX vol.4
目次
大手スポーツ用品メーカー、ヨネックスがロードフレームを作り始めた。このロードバイク界に異業種参入型ブランドがまた一つ誕生したのである。第一弾は650gの超軽量カーボンフレーム、カーボネックス。設計担当者へのインタビューを交えつつ、この純国産フレームの真実に迫る。
角断面と真円断面の意味
では、フレーム形状を見ていく。BB規格はプレスフィット。ブレーキ規格はノーマル。フォークはゆるやかにベンドするタイプで、断面形状は前後に長い楕円。ヘッドは上側1-1/8インチ、下側1-1/2インチのテーパードヘッド。近代ロードフレームとしてオーソドックスな形状である。
トップチューブは横に広い四角断面、ダウンチューブにはあえて真円断面を採用した。それぞれの意図を聞いた。
「トップチューブは横方向と縦方向の荷重がある程度はっきりしているので、それぞれに対して特性をもたせるためにこのような形状にしました。横には強く、縦方向には柔軟に、ということです。ダウンチューブは色々な角度から応力がかかるので、どの方向に対してもバランスよく剛性を持たせるために真円にしました。真円のほうがヨネックスのカーボン製造技術を活かしやすいという理由もあります」
積極的に動くチェーンステー
チェーンステーは真ん中部分で左右に偏平されている。キャノンデールのセーブ・マイクロ・サスペンションと似た形状だ。シートステーは三角形断面だが、ブレーキ取り付け部から上は大胆に横偏平されている。
「チェーンステーをこのような形状にしたのは振動吸収性のためです。ヨネックスのテニスラケットに使われているOval Pressed Shaft(O.P.S.)理論(球を打ったときに積極的にシャフトをしならせて、返る力で強く打ち返すという設計思想)をチェーンステーに採用し、路面追従性を高めました。横方向には偏平しているので、ペダリングパワーに対しては耐えてくれる形状です」
横には強く、縦には柔らかくして路面からの衝撃に対して積極的にしならせ、ペダリングパワーには強く作る。形状も目的もセーブ・マイクロ・サスペンションと同じである。もちろん、形状だけでなく積層も部分部分で最適化されているという。
なお、炭素繊維の種類(弾性率など)は公表されていない。
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