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アルプス初日のツール・ド・フランス第10ステージはフランスのアラフィリップが区間初優勝

レース
ツール区間初優勝を果たしたフランスのアラフィリップ (©Bettiniphoto)
ツール区間初優勝を果たしたフランスのアラフィリップ (©Bettiniphoto)
 
第105回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、休養日明けの7月17日にアヌシーからル・グラン・ボルナンまでの158.5kmでアルプス山岳区間初日となる第10ステージを競い、ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)が独走で逃げ切って区間初優勝を果たし、祖国フランスに今年最初の勝利をもたらした。

マイヨ・ジョーヌを着たベルギーのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)は、予告通りこの日の逃げに加わり、メイン集団よりも1分39秒先行してゴールし、アルプス初日に総合首位の座を守ることができた。彼はこの日の敢闘賞も獲得している。



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アルプス山岳初日に逃げてマイヨ・ジョーヌを守ったヴァンアーヴェルマートは敢闘賞も獲得した (©Bettiniphoto)
アルプス山岳初日に逃げてマイヨ・ジョーヌを守ったヴァンアーヴェルマートは敢闘賞も獲得した (©Bettiniphoto)

マイヨ・ジョーヌがアルプスで逃げた!

MAP : ASO
MAP : ASO
ツール一行は北フランスから南東部のアルプスに移動し、2週目はアルプス山岳区間3連戦からスタート。休養日明けの第10ステージは、165人が出走。第9ステージの落車で負傷したフランスのアレクシー・ヴュイエルモーズ(AG2R・ラモンディアル)とベルギーのイェンス・クークレール(ロット・スーダル)が出走しなかった。

ニュートラル区間でミケル・ランダ(モビスターチーム)、フェルナンド・ガビリア(クイックステップフロアーズ)、ヨン・イサギレ(バーレーン・メリダ)が落車したが、全員レースを続けることができた。

オフィシャル・スタートからフランス勢が活発に動き、5.5km地点でアラフィリップとフロリアン・バション(チームフォルチュネオ・サムシック)がアタックしたが、10km地点で吸収された。しかしアラフィリップはあきらめず、再び逃げ出した。

アラフィリップはこの日最初のカテゴリー4の丘を先頭で通過。マイヨ・ベールを着たペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)、マイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートらが合流し、先頭は21人の逃げ集団になった。

29km地点の中間スプリント地点はサガンが先頭で通過。メイン集団は2分20秒遅れていた。カテゴリー1のクロワ・フリ峠の上り坂が始まると、先頭集団は2つに分断。43km地点の山頂はリュディ・モラール(グルパマ・FDJ)がレイン・タラマエ(ディレクトエネルジー)を打ち負かし、先頭で通過した。

最初のカテゴリー1の峠越えで先頭の逃げは8人に減ったが、マイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートはまだそこに残っていた。58.5km地点を通過し、ゴールまで残り100kmになった時、先頭の8人とチームスカイがコントロールするメイン集団のタイム差は4分に開いていた。

つづくカテゴリー超級のプラトー・デ・グリエール峠の登坂で、遅れていた選手が合流し、先頭は13人になった。そこにアラフィリップも加わっていた。68.5kmの山頂は、アラフィリップがダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)を打ち負かして1位で通過した。

プラトー・デ・グリエール峠の下りは、1.8km続き未舗装路の砂利道だった。6分半後方を走っていたメイン集団では、この未舗装路でクリストファー・フルーム(チームスカイ)が後輪のパンクに見舞われたが、すぐ集団に戻ることができた。

ゴールまで残り69kmで先頭の逃げは18人になり、チームスカイがコントロールを続けるメイン集団は7分以上遅れていた。残り37kmで、最後から2番目の峠だったカテゴリー1のロム峠が始まると、先頭の逃げは再び小さくなった。そこから山頂まで6km地点でタラマエがアタックし、独走を開始した。しかし、山頂まで2kmを切ったところで、彼はアラフィリップに追いつかれてしまった。

アラフィリップはロム峠の山頂をトップで通過し、山岳賞の総合で1位に立った。タラマエは15秒遅れ、マイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートは43秒遅れで山頂を通過。まだ5分以上遅れているメイン集団では、マイヨ・ブランを着たセーアンクラーウ・アナスン(チームサンウェブ)がすでに遅れていた。

ロム峠を単独で下りきったアラフィリップが、残り22.5kmで最後のコロンビエール峠(カテゴリー1)を上り始めた時、タラマエは30秒以上後方にいた。7.5km続くこの峠で、ヨン・イサギレがタラマエを抜いてアラフィリップを追走した。しかし、アラフィリップが残り14.5kmの山頂を通過してマイヨ・アポワ獲得を確実なものにした時、イサギレはまだ1分半後方にいた。

10数人に減ったメイン集団では、コロンビエール峠でダニエル・マーティン(UAEチーム・エミレーツ)がアタックしたが、そのまま抜け出すことはできなかった。第9ステージで落車して負傷しているリゴベルト・ウラン(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)は、この峠でメイン集団から遅れてしまった。

アラフィリップは独走で逃げ続け、残り10kmを切ってもまだイサギレとのタイム差は1分40秒あった。マイヨ・ジョーヌのヴァンアーヴェルマートは2分18秒遅れだったが、メイン集団との差はまだ2分あった。アラフィリップはそのまま逃げ切り、開催国フランスに今年のツールで最初の区間優勝をもたらした。彼は昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間初優勝していたが、ツールで区間優勝したのはこれが初めてだった。

そしてこの勝利は、今シーズン快進撃を続けているベルギーのクイックステップフロアーズの50勝目になった。アラフィリップはチームに山岳賞のマイヨ・アポワをもたらした。

メイン集団は3分23分遅れでゴール。1分44秒遅れの区間4位でゴールしたヴァンアーヴェルマートは、アルプス山岳初日に総合首位の座を守ることができた。第8ステージで落車に巻き込まれて遅れたアラフィリップは、この日のスタート時点で総合成績は14分近く遅れていたため、ヴァンアーヴェルマートからマイヨ・ジョーヌを奪うことはできなかった。

コロンビエール峠で遅れたウランは5分59秒遅れでゴールし、総合のライバルたちから2分半以上遅れてしまった。第10ステージ終了時点で、総合上位には新人賞の対象になる若い選手がおらず、10分59秒遅れで総合25位のピエール・ラトゥール(AG2R・ラモンディアル)がマイヨ・ブランを獲得している。


■ツールで区間初優勝した26歳のアラフィリップのコメント
「ツールのステージで勝つのは簡単ではないから、とても感動的だ。2年前に初めて参加した時には、あと一歩で逃してしまった。この方法で勝つのは、自分の期待以上だ。言葉がないよ。家族を満足させることができてうれしい。ボク自身も同様に幸せだ。

昨晩、ボクは今日逃げることを決めた。でも、最後をこんな風にできるとは思っていなかった。第6ステージのミュール・ド・ブルターニュで勝てなくて、ちょっとがっかりしていた。あのゴールはボクに向いていたからだ。ボクは自分よりも強い選手に負けた。

ボクはその埋め合わせをしたかった。だから今日勝った方法は、自分自身に与えることができる最高の答えだった。ボクは誇らしいし、自分が今日成し遂げたことに満足している。マイヨ・アポワはボクのプログラムにはなかったけれど、前にいたから、それも手に入れようとトライした。ボクは本当にツールの区間優勝を望んでいて、今、それを手に入れたんだ」


■アルプス初日にマイヨ・ジョーヌを守ることができたヴァンアーヴェルマートのコメント
「マイヨ・ジョーヌを着て逃げるのは、いつだって格好いい。それをチームスカイがどう思うのかわからなかった。ボクが行った瞬間、誰も反応しなかった。ボクには素晴らしい区間だった。マイヨ・ジョーヌを守れてとてもうれしいよ。もう1日おまけでリードできるのは、間違いなく特別だ。

休養日の翌日は、ボクはいつも力強く走れるが、アラフィリップは区間優勝するのに最強だった。ボクはルーベのゴールに向かってマイヨ・ジョーヌを着てアタックし、今日はまた山岳でアタックした。それは歴史に残るだろう」
 
 
アラフィリップは山岳賞のマイヨ・アポワも獲得した (©Bettiniphoto)
アラフィリップは山岳賞のマイヨ・アポワも獲得した (©Bettiniphoto)
 
■第10ステージ結果[7月17日/アヌシー~ル・グラン・ボルナン/158.5km]

1. JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 4H 25' 27''
2. JON IZAGUIRRE (BAHRAIN - MERIDA / ESP) +01' 34''
3. REIN TAARAMÄE (DIRECT ENERGIE / EST) +01' 40''
4. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) +01' 44''
5. SERGE PAUWELS (TEAM DIMENSION DATA / BEL) +01' 44''
6. LILIAN CALMEJANE (DIRECT ENERGIE / FRA) +02' 24''
7. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +03' 23''
8. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +03' 23''
9. DAVID GAUDU (GROUPAMA - FDJ / FRA) +03' 23''
10. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +03' 23''

11. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +03' 23''
12. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +03' 23''
13. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS) +03' 23''
14. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +03' 23'' 
15. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +03' 23'' 
16. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED) +03' 23'' 
17. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +03' 23'' 
18. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) +03' 23'' 
19. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +03' 23'' 
20. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +03' 23'' 
22. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) +03' 23''
30. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +04' 14''
31. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS) +04' 14''
32. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +04' 14''
34. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +05’ 59’’
54. SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) +15' 02''

■第10ステージまでの総合成績
1. GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) 40H 34’ 28’’
2. GERAINT THOMAS (TEAM SKY / GBR) +02’ 22’’
3. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) +03’ 10’’
4. JAKOB FUGLSANG (ASTANA PRO TEAM / DEN) +03’ 12’’
5. BOB JUNGELS (QUICK - STEP FLOORS / LUX) +03’ 20’’
6. CHRIS FROOME (TEAM SKY / GBR) +03’ 21’’
7. ADAM YATES (MITCHELTON - SCOTT /AUS) +03’ 21’’ 
8. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) +03’ 21’’
9. VINCENZO NIBALI (BAHRAIN - MERIDA / ITA) +03' 27’’ 
10. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM LOTTO NL - JUMBO / SLO) +03’ 36’’

11. TOM DUMOULIN (TEAM SUNWEB / NED)  +03’ 42’’
12. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NED) +03' 45’’
13. RAFAL MAJKA (BORA - HANSGROHE / POL) +04’ 02’’
14. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA)  +04’ 11’’
15. BAUKE MOLLEMA (TREK - SEGAFREDO / NED) +04' 28’’
16. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)  +04’ 29’’
17. DANIEL MARTIN (UAE TEAM EMIRATES / IRL) +5’ 01’’
18. ILNUR ZAKARIN (TEAM KATUSHA ALPECIN / RUS)  +05’ 12’’
22. RIGOBERTO URAN (TEAM EF EDUCATION FIRST - DRAPAC P/B CANNONDALE / COL) +07’ 08’’
25. PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) +10’ 59’’
31. SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN)  +15’ 01’’


[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA - HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):JULIAN ALAPHILIPPE (QUICK - STEP FLOORS / FRA) 
■新人賞(マイヨ・ブラン):PIERRE ROGER LATOUR (AG2R LA MONDIALE / FRA) 
■チーム成績:MOVISTAR TEAM
■敢闘賞:GREG VAN AVERMAET (BMC RACING TEAM / BEL) 


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アルプス2日目はカテゴリー1の頂上ゴール

MAP : ASO
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7月18日は、アルベールビルをスタートして標高1855メートルのラ・ロジエール頂上にゴールするアルプス山岳2日目の第11ステージが行われる。たった108.5kmの距離で、カテゴリー超級の峠を2カ所と、カテゴリー2の峠を一カ所越えた後、ゴールへと続く17.6kmの坂を上らなければならない非常に重いステージだ。

今年のツールは、ラ・ロジエールの山頂で新しいマイヨ・ジョーヌの獲得者が祝福されるにちがいない。



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第10ステージのハイライト映像