アンドラ山岳区間のブエルタ・ア・エスパーニャ2019第9ステージはポガチャルが区間初優勝/キンタナが総合首位
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スペインで開催中の第74回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、2019年9月1日にアンドラ・ラ・ベリャからカテゴリー1のコルタルス・デンカンプス頂上までの94.4kmでピレネー山岳区間の第9ステージを競い、大会最年少選手であるスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がグランツール初優勝となる区間優勝を果たした。
区間2位はポイント賞ジャージを着たコロンビアのナイロ・キンタナ(モビスターチーム)、3位はスロベニアのプリモシュ・ログリッチェ(チームユンボ・ビスマ)だった。
総合リーダージャージのラ・ロハを着ていたフランスのニコラ・エデ(コフィディス)は6分以上遅れてゴールし、総合首位にはキンタナが立った。しかし、ログリッチェとのタイム差はたった6秒しか無い。
9月2日は休養日となり、翌日はジュランソンからフランスのポーまでの36.2kmで個人タイムトライアルが行われる。
未舗装路区間でロペスとログリッチェが落車
ピレネー山脈に位置する小国のアンドラ公国で行われた第9ステージは167選手が出走。94.4kmという短い距離で5つの上り坂に挑む厳しい区間だった。オフィシャルスタートからアタックが始まり、11km地点でミケル・ビスカラ(エウスカディバスクカントリー・ムリアス)とパトリック・ベヴィン(CCCチーム)が先行し、17km地点のカテゴリー1の山頂を先頭で通過した。
下りで先頭は30人の逃げ集団にふくらんだ。続くカテゴリー超級のコル・デ・ラ・ガリナ峠のふもとで、逃げと集団のタイム差は3分57秒になり、逃げ集団で最も総合成績が上位だったカール・フレドリックハーゲン(ロット・スーダル)がバーチャルリーダーになった。タイム差が4分以上になると、集団はモビスターチームが引き始めた。
12km続くコル・デ・ラ・ガリナ峠が始まると、逃げ集団からテイオ・ゲーガンハート(チームイネオス)がアタックしたが、追いついたジョフレ・ブシャール(AG2R・ラモンディアル)に付いて行けなかった。ブシャールは独走を続け、ゴールまで残り38.2kmの山頂を先頭で通過した。
メイン集団ではエステバン・チャベス(ミッチェルトン・スコット)がパンクに見舞われて遅れてしまった。先頭はアスタナプロチームが引き始め、集団は次第に小さくなっていった。山頂まで残り3kmで、アスタナプロチームのペースに付いて行けなくなったラ・ロハのエデが集団から脱落。総合2位だったディラン・トゥーンス(バーレーン・メリダ)、山岳賞ジャージのアンヘル・マドラソ(ブルゴス・BH)もここで遅れ始めた。
コル・デ・ラ・ガリナ峠を下りきった所でチャベスはメイン集団に合流することができたが、ラ・ロハを着たエデはゴールまで残り21kmでメイン集団から35秒遅れていた。
メイン集団ではゴールまで残り20kmでミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)がアタックし、総合争いがスタート。一度目はログリッチェ、ポガチャル、キンタナが反応したが、2度目のアタックには誰も付いて行けなかった。ロペスはこの日の逃げ集団に加わっていたチームメートたちのアシストを受けながら、メイン集団とのタイム差を広げていった。
ゴールまで残り14kmを切った所で、先頭で独走を続けていたブシャールにゲーガンハートとベン・オコナー(チームディメンションデータ)が追いついた。しかし、激しい雷雨で中継の電波が途切れている間に、彼らは後続グループにいたマルク・ソレル(モビスターチーム)に追い越されてしまった。
メイン集団からアタックしたロペスは逃げとのタイム差を縮めていったが、最後のコルタルス・デンカンプスの登坂が始まる前にあったグラベル(未舗装路)区間で落車し、メイン集団に捕まってしまった。このグラベルでは、ログリッチェも落車して遅れてしまった。
最後のコルタルス・デンカンプスで、メイン集団からアタックしたキンタナに付いて行けたのはポガチャルだけだった。ゴールまで残り4kmで、2人は先頭のソレルに30秒差にまで迫っていた。ここでソレルはチームからキンタナを待つようにと指示された。しかし、ソレルがキンタナに合流した瞬間にポガチャルがアタック。そのまま逃げ切り、区間優勝を手中に収めてしまった。
昨年ツール・ド・ラブニールで総合優勝したポガチャルはまだ20歳で、今大会で最年少の選手だった。彼は今季UCIワールドチームのUAEチーム・エミレーツに移籍したばかりだが、すでに5月のツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)で総合優勝していた。
キンタナは23秒遅れの区間2位でゴールし、6秒のボーナスタイムを獲得した。落車で遅れていたログリッチェは最後に挽回し、48秒遅れの区間3位に入って4秒のボーナスタイムを獲得することができた。その一方で、ロペスは1分以上遅れてしまった。
今年のブエルタは一週目を終えてキンタナが総合首位になって真紅のラ・ロハを獲得し、ログリッチェが6秒遅れの総合2位、ロペスが17秒遅れの総合3位、バルベルデが20秒遅れの総合4位という展開になった。
■20歳でブエルタ区間初優勝を果たしたポガチャルのコメント
「全く信じられない。ボクは自分のチャンスを探していて、昨日天気予報を見て雨の予報でうれしかった。ボクはアタックに付いて行く努力をした。それからグラベル区間ではエンジン全開で行き、最後は完璧だった。今日はトリッキーなステージだった。こんなチャンピオンたちの前で勝てたなんて信じられないよ」
■総合首位に立ったキンタナのコメント
「ボクはとても満足している。ボクにとってもモビスターチームにとっても素晴らしい日だ。我々は総合成績でタイムをいくらか取り返した。個人タイムトライアルがどんな展開になるか様子を見よう。ボクはログリッチェやチームメートのバルベルデのようなより良いタイムトライアリストに負けてラ・ロハを失う可能性があるだろう。とにかく、総合でリーダーであることがモチベーションになるので、ボクは良いパフォーマンスをするだろうと確信している」
■第9ステージ結果[9月1日/アンドラ・ラ・ベリャ~コルタルス・デンカンプス/94.4km]
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 02H 58′ 09”
2. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) + 00′ 23”
3. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 00′ 48”
4. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 00′ 48”
5. MARC SOLER (MOVISTAR TEAM / ESP) + 00′ 57’’
6. HERMANN PERNSTEINER (BAHRAIN – MERIDA / AUT) + 00′ 59’’
7. SERGIO ANDRES HIGUITA GARCIA (EF EDUCATION FIRST / COL) + 01′ 01”
8. WILCO KELDERMAN (TEAM SUNWEB / NED) + 01′ 01”
9. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 01”
10. TAO GEOGHEGAN HART (TEAM INEOS / GBR) + 01′ 38”
13. RAFAL MAJKA (BORA – HANSGROHE / POL) + 02’ 08”
24. JHOAN ESTEBAN CHAVES RUBIO (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 04’ 43’’
28. NICOLAS EDET (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / FRA) + 06’ 06’’
29. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) + 06’ 10’’
144. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 32’ 25’’
■第9ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL) 35H 18′ 18”
2. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 06’’
3. MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL) + 17’’
4. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 20’’
5. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 01’ 42’’
6. CARL FREDRIK HAGEN (LOTTO SOUDAL / NOR) + 01’ 46’’
7. NICOLAS EDET (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / FRA) + 02’ 21’’
8. RAFAL MAJKA (BORA – HANSGROHE / POL) + 03’ 22’’
9. WILCO KELDERMAN (TEAM SUNWEB / NED) + 03’ 53’’
10. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) + 04’ 46’’
14. JHOAN ESTEBAN CHAVES RUBIO (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 06’ 51’’
143. YUKIYA ARASHIRO (BAHRAIN – MERIDA / JPN) + 01H 47’ 54’’
[各賞]
■ポイント賞 : NAIRO QUINTANA (MOVISTAR TEAM / COL)
■山岳賞 : ANGEL MADRAZO RUIZ (BURGOS BH / ESP)
■新人賞 : MIGUEL ANGEL LOPEZ MORENO (ASTANA PRO TEAM / COL)
■チーム成績 : MOVISTAR TEAM
■敢闘賞 : GEOFFREY BOUCHARD (AG2R LA MONDIALE / FRA)