世界のグラベルレースイベントが本格上陸! 「グラインデューロ・ジャパン」
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長野県と新潟県の県境にある信州斑尾高原エリアにて、第1回「グラインデューロ・ジャパン」が開催された。レースとファンライドが掛け合わされたグラベルロードライドイベントの現場で何があったのか。参加した本誌・江里口がレポートする。
開催日/ 2019年10月11日(金)~ 13日(日)
開催地/長野県飯山市、新潟県妙高市 斑尾高原スキー場周辺
主催/グラインデューロジャパン
グラベル×エンデューロ×リージョナル
もしもこのイベントの初回は何があったかと聞かれたら、それは異様なまでの熱量をはらんでいたと答えるだろう。北米から世界へ急速に広がっていった、グラベルロード(未舗装路)とオン/オフロードをどちらも楽しむ走り方。そこにシリアスなライドやレースをグラベルでも楽しむ層が生まれるのは、必然とも言える。
そしてそのイベントの代名詞となったのが「グラインデューロ」だ。「グラベル×エンデューロ」を掛け合わせた名のとおり、ファンライドとレースの区間を分け、ゆるさとストイックさを併せ持たせたことで、多くのサイクリストを虜にしてしまったのである。
いよいよ、その日本版が始まる。アメリカから欧州各地まで開催を広げたグラインデューロは、それぞれの開催エリアごとの地域性を持たせるというのがコンセプトの一つ。それは単純なライドだけではない、その風土に根ざす文化や食、メンタリティを尊重し表現するという点まで主催者たちはこだわることとなる。
だからこそ、開催地の信州斑尾高原エリアも、あの台風19号の暴風域予想進路となったが、極の極まで開催を中止しなかった。
判断を保留するということは、限りない可能性を生む。地道な根回しで、当日のみ限定開放される林道やゲレンデのコース。地域のアーティストやフードデリバリー。それらの要素とともに、参加者一人ひとりが「第1回の目撃者となる」ことを信じて、前夜祭会場に集った。
めまぐるしく変わっていく天候と路面と僕たちの表情
迎えた小雨の早朝。山伏のほら貝の鳴動を合図に、一斉にライダーたちが走り出す。MTBにCX車、そしてグラベルロードバイクと、自身が最も気に入ったスタイルで、薄霧の中を隊列を組みカッ飛んでいく様は壮観だ。
予定していた約80kmから約28kmに短縮となったとはいえ、コースには十分なバリエーションが与えられている。
粘土質のぬかるみのダウンヒル、ガレ場に野草の生い茂るフラットコースに舗装路のヒルクライムと、雨が降りしきるなか、めまぐるしく路面コンディションが移ろい、ライダーたちはその一つひとつを味わいつつバイクを滑らせるように走らせていく。
そしてやはり上りの計測区間となると、さっきまでおしゃべりしながら走っていた皆が、目の色を変えて踏み始める。下りは短いながらもテクニカルなカーブが連続し、激坂では地に足を着き、ゲレンデをダウンヒル。どこまでも濃厚なライド体験が続く。
これまで全てのグラインデューロに出走してきた米国選手は「今回が史上最高にタフで、コースも愉快なポイントばかり。そしてタイフーンというシチュエーション。これこそがグラインデューロだよ」とニヤリと言う。
霧が全ての視界を覆い、濡れた芝生のゲレンデで何度も転びながら、やっとフィニッシュラインへ。泥にまみれた笑顔を、皆誇らしげに写真に収めた。台風?そんなことは今は問題じゃない。これからアフターパーティで、今日のライドをビールでも飲みながら語り合おう。
僕たちのグラインデューロはこれからが盛り上がるんだ。
前夜祭・アフターパーティーまでコンテンツも盛りだくさん!
前夜祭からアフターまで、3日間の期間中にさまざまな催しが行われる。特に食事は現地の食材を豊富に使いボリュームも満点。もちろんビールだけでなく、日本ならばと地酒もアリ。ステージではさまざまなライブイベントが開催され、会場全体を盛り上げる。
また、テントサイトが用意され、本来はここでのテント泊&夜のアウトドア自転車談義を楽しみにしていた人も多く、実際に開催前日にテントを設営をする人も。(悪天候時はレストハウス内に設営スペースが設けられた)
トップ選手たちのバイクをチェック!
白石慎吾さん
シマノドリンキングの白石選手が参戦、男子30代の部で優勝した。使用した機材はトレック・チェックポイントにシマノ・GRXDI2装備。「先頭集団から離れて自分のペースで下りも攻められたのが勝因」と語った
野中秀樹さん
ネストのMTB選手の野中さん(男子20代勝者)は「王滝仕様で組み上げたクロスカントリーモデルを使用しました。第一集団でプロカテゴリー選手のラインをトレースして体感できたのが刺激的でした」