パナレーサーニセコグラベル2023

目次

Presented by Niseko Gravel

パナレーサー ニセコグラベルオータムライド2023が9月23、24日の両日、北海道ニセコエリアで開かれた。全国各地から集まった約450人が北の大地にそれぞれの轍(わだち)を刻んだ。グラベルの魅力にハマりつつあるライター・アサノがその模様をレポートする。

ニセコグラベル2023

ニセコ周辺のグラベルは 長さも爽快さも桁違い

グラベルバイクに乗るようになって、ニセコグラベルがずっと気になっていた。北海道の雄大な自然の中でグラベルライドを楽しめ、最長120km以上も走れ、グラベル率も最大6割に迫ると聞いて、それだけでも走りに行く価値はあると思っていた。

今回もろもろのタイミングが合って、秋のニセコグラベルに取材に行けることになった。新千歳空港からニセコまでは車で2時間ほど。個人的にも初めての北海道だったが、この時点で早くも北海道の広さを実感した。

イベント当日の朝は気温一桁台。9月になっても連日真夏日を記録していた本州と比べると明らかに涼しい。しかし日中は20℃ぐらいまで気温が上がるらしく、着るものに悩む。結局春秋モノの長袖ジャージに春秋物の長袖インナー、ショーツにレッグウォーマーというスタイルで挑むことにしたが、もう少し軽装でも良かった。

ニセコグラベル2023

アサノこと僕が出場するロングコースは全長約90km、獲得標高1557m。グラベル率51%で7か所のグラベル区間があり、最長のものは16kmある。こんなに長いグラベルは、日本ではなかなかお目にかかれないだろう。

7時15分にロングコースがスタート。この大会は速さを競うわけではないので、最後尾からのんびりとスタートした。出場者のバイクをチェックすると、グラベルバイクが多いが、MTBも少なくないし、シングルスピードに乗る人もいる。編集担当のエリグチ氏はeバイクで走っている。いろんなバイクに乗る人がそれぞれリスペクトし合いながら、思い思いに轍を刻める懐の深さがニセコグラベルにはある。

グラベルの路面は粒がそれほど大きくない砂利に覆われたところが多く、比較的締まっていて穴や土が掘れたような溝もあまりない。サスペンションのないグラベルバイクでも非常に走りやすい。40mm幅以上のタイヤであれば、かなり安心して走れ、下りに入ると思わずスピードを上げたくなるが、慎重派の僕はコーナーも下りも必要以上に攻めない。レースじゃないから目をつり上げてレースペースで走る必要もないし、周りの風景を楽しんだっていい。

ニセコグラベル2023 ニセコグラベル2023

エイドステーションで振る舞われるニセコエリアの旬の食べ物を食べてのんびりしよう。何しろニセコグラベルのエイドステーションはメロンやじゃがバターなど、誰もが北海道らしいと思うグルメが堪能できる。さらにらんこし米というローカル米の新米で作ったおにぎりなど、知る人ぞ知るおいしいものも味わえた。こうしたものをゆっくり味わえるのもレースではないからだ。

ニセコグラベル2023 ニセコグラベル2023 ニセコグラベル2023

ニセコグラベルは、グラベルロードという非日常体験をスパイスに、ニセコという地域を五感で楽しむ旅のイベントである――。これが僕がこの大会を走って感じた結論だ。

走って食べて、ニセコの自然を五感で楽しむ!

“蝦夷富士”として親しまれる ニセコの象徴

ニセコを象徴する羊蹄山は、その美しい山姿から日本一の独立峰・富士山になぞらえて“蝦夷富士”と呼ばれる。ニセコグラベルではルートの各所で羊蹄山を遠望できる。走りながら雄大な景色を楽しめるのも、ニセコグラベルの魅力の一つといえる。

羊蹄山

ニセコエリアの地のグルメを堪能できる!

ニセコグラベルのエイドステーションは、一番短いミドルコースで3か所、ロングとエクストラロングで4か所あり、それぞれで新米やじゃがバター、メロンなどが振る舞われた。

ニセコグラベルのエイドステーション メロン

大会パートナーの名が付いたグラベル区間

10km以上も続く長いグラベルや羊蹄山を望む川沿いのグラベルなど、個性豊かなグラベル区間が登場する本大会。「シマノGRXグラベル」をはじめ、大会パートナーの社名や商品名を冠した区間もあり、エクストラロングの参加者しか走れない特別な区間もあった。

シマノGXグラベル区間

グラベルの途中のソファは人気の撮影スポット

エクストラロング参加者のみが走るグラベルセクションには、黄色いソファが。これはアメリカのグラベルシーンの「チェース・ザ・チェイス」にちなんだ、キャノンデール謹製だ。「ここで撮影して大会を楽しもう」というグラベルライドらしい遊び心の象徴だろう。

グラベル途中にあるソファ

グラベルロードでも楽しい快走路が続く!

グラベルは砂利が敷き詰められたジープロードがほとんど。タイヤを取られるほど深い砂利や激しい段差はほとんどなく、サスペンションなしのグラベルバイクでも快適に走れる。

ジープロード

オフィシャルビール「グラベル王に俺はなる」

完走記念品のビールは、大会とパナレーサー、千歳林業のコラボで誕生。原材料にコース内の森林で収穫したアカエゾマツの新芽を使用。ニセコの自然が感じられる味わいだ。

グラベル王に俺はなる

豪華ゲストライダーがニセコグラベルに参加

グラベルレースの第一人者・竹下佳映さん、元プロロード選手で現在はブルベに取り組む三船雅彦さん、自転車YouTuberのけんたさん、サイクリストでブロガーの神楽坂つむりさん、インフルエンサー今田イマオさんら、豪華ゲストライダーも参加した。

ゲストライダー けんたさん

コースディレクターに聞くニセコグラベルの走り方

ニセコグラベル2023

Q:今回のニセコグラベルのコースをどういう思いでプロデュースしましたか?
杉本 安全にたっぷりグラベルを走っていただけるようなコースを作りたい、というのが今年のテーマの一つでした。昨年のコースは、一つ一つのグラベルが今回より短めで、オンロードの上りの後に下りのグラベルが現れるというレイアウトでした。まだグラベルに体が慣れていない状態でスピードの出る下りのグラベルを走ることになるので、転倒のリスクが高いと感じていて、それを改善したかったのです。

Q:ニセコグラベルで楽しんでほしいポイントは?
杉本
 ニセコの象徴・羊蹄山だけでなく、森の中のグラベルを走っていて、白樺並木の上にふっと空が開けるところとか、ガイドブックに載っていないようなニセコのいいところを味わっていただきたいですね。今大会の舞台の羊蹄山麓は豊かな自然に育まれた食材も魅力。エイドでは地域の旬の味覚を味わっていただき、さまざまな角度からニセコの魅力を体感していただきたいです。

Q:ニセコやこの大会を今後どう盛り上げていきたいですか?
杉本
 ニセコはどの季節も魅力的ですし、各シーズンで楽しめる遊びも変わります。自転車だけでなく、川遊びやSUP、スキー、スノーボードなども楽しめるので、自転車と他の遊びを組み合わせて楽しんでいただくような提案をして、四季を通じてニセコに遊びに来ていただく流れを作りたいですね。

杉本武志さん

コースディレクター
杉本武志さん

ニセコグラベルの大会運営にスタッフとして関わってきた経験を生かし、今春の大会からコースディレクターに就任。羊蹄山麓でサイクリングガイドなどを行うtakeBICYCLE代表

フェスティバルでは注目の最新グラベルモデルが!

ニセコグラベルフェスティバル2023 キャニオンブース パナレーサーブース

メイン会場では「ニセコグラベルフェスティバル2023」も開催。自転車メーカーやアウトドアブランドなどがブースを出展。キャニオンの新型グレイルやスペシャライズドのクレオが一足早くお披露目されたほか、パナレーサーのブースでは今年の限定カラーのグラベルキングやオリジナルグッズも販売された。この他、羊蹄山麓を拠点とするキッチンカーによるローカルグルメやビール、コーヒーなどを楽しめる飲食コーナーも充実。ステージでもゲストライダーによるトークショーを開催。大会終了後は、大会参加者なら誰でも参加でき、豪華賞品が当たる大抽選会も行われた。地域の人も多数来場し、まさに「フェス」な華やかな雰囲気が広がっていた。

ニセコ雪森考舎と渡辺洋一さんのトークセッション

ステージでのトークショーでは、グラベルの魅力をより深掘り。写真は当地で森林の維持や活用に取り組むニセコ雪森考舎と、サイクリスト&写真家の渡辺洋一さんのトークセッションだ

竹下佳映さんによるプライベートライドツアー

大会前日には、竹下佳映さんによるプライベートライドツアーが開催。ディープなニセコのフィールドを、軽妙なガイドのもとに多くの参加者が楽しんだ

INFORMATION

パナレーサー ニセコグラベル オータムライド2023
開催日/2023年9月23日(土)〜24日(日)
開催地/北海道ニセコ町、蘭越町  ニセコアンヌプリ国際スキー場
コース/ PASエクストラロングコース (122.5km、グラベル58%)、IKEUCHI GROUPロングコース (89.9km、グラベル51%)、ミドルコース (60.9km、グラベル42%)
主催/ HOKKAIDO EVENTS

ニセコグラベルロゴ