BIKE&CAMP KANTOU23 自転車とキャンプをテーマにした「旅フェス」
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さる10月28日から29日にかけて、茨城県土浦市の霞ヶ浦総合公園を舞台にして「BIKE&CAMP KANTOU23」が開催された。その模様をリポートする。
今回で9回目の開催となるBIKE&CAMP(バイクアンドキャンプ)は、日本で唯一の自転車とキャンプをメインテーマにした旅フェスティバル。「自転車キャンプの旅人を1人でも増やすこと」をテーマとする自転車キャンプツーリズム協会が主宰するイベントであり、開催にあたっての実行委員長を務めるのは「旅するファッションモデル」として活躍中の山下晃和さんだ。
開催地となった霞ヶ浦総合公園は、オランダ型の大きな風車が目印。つくば霞ヶ浦りんりんロード沿いにあり、JR常磐線の土浦駅からは3kmほどの距離。だから、自走派にも輪行派にもアクセスは抜群だ。10時の開場時間が近づくと、キャンプ旅の装いを整えたサイクリストたちが続々と登場。午前中は小雨がぱらつく生憎の天候だったが、サイクリストが集まるに連れて雨雲が消えて陽光が差し込み、メイン会場の芝生広場はぽかぽかする陽気に包まれた。
会場には30社を超える出展があり、自転車と関連アイテム、そしてアウトドア用品とアパレルブランドなどが一堂に会した。一度の来場で、自転車旅に必要なギアをすべて見ることができるといっても過言ではない様子だ。なお、キャンプ泊を伴う参加者の料金は3000円とリーズナブル。普段はキャンプができない霞ヶ浦総合公園で一夜を過ごすことができるのも魅力だ。
また、来場しての見学や試乗体験は無料。すでに自転車キャンプ旅の経験を重ねているベテラン層と、興味はあるけど未体験、といった潜在層が出会うことができるイベントになっている。来場者が出展者に注ぐ視線はひときわ熱く、熱心な質問が交わされる様子がそこかしこで見受けられた。
さらに印象的なのは、キャンプ泊の準備を整えた参加者ひとりひとりの存在感だ。実践に裏付けされたモノ選びや設営の様子、自転車への搭載スタイルが参加者同士の目を引き、あちこちで井戸端会議ならぬテントサイト会議が盛り上がっていた。
一般的なキャンプ場では、100組のキャンパーがいてもサイクリストは数えるほどしかいないのが常。しかし、ここBIKE&CAMPの会場では250組(速報値)を超える参加キャンパーのほとんどがサイクリストであり、潜在的な情報量は圧倒的。軽量テントあり、ハンモックあり、タープ泊ありと、およそあらゆるスタイルの自転車キャンプを間近に見ることができる機会になっていた。
また、概観ではおよそ半数が小径の折りたたみ自転車で参加しており、バラエティに富んだ積載スタイルが披露されていた。イベントの主役が参加者自身であることは、BIKE&CAMPの最大の特徴であり大きな魅力だろう。
加えて、地元の名産品を生かしたキッチンカーも数多く展開されており、グルメ派も大満足。宿泊を伴うイベントだけに、大手を振ってビールに喉を鳴らす参加者の姿が賑わいに華を添えていた。
日中からトワイライトタイムにかけて、各種のワークショップやライド体験も実施され、広い芝生広場のあちこちに人だかりができた。暮れなずむ焚き火タイムには輪行トークショーやチャリティーオークションも開催。時に神妙に、時に熱く盛り上がりながら会場の夜は更けていった。
2日目も同様の催しがチェックアウトの14時まで展開され、参加者は思い思いの時間を過ごしていた。出展各社にとっても、リアル自転車キャンパーとのふれあいは貴重で示唆に富む体験だったことがうかがわれ、今後の製品やサービスの開発に生かされるのは間違いないだろう。
BIKE&CAMP開催実行委員長 山下晃和さんからのメッセージ
みんなのキャンプを見たい、知りたい、教えてもらいたいというのが「BIKE&CAMP」を始めたきっかけでした。「イベントにしてしまえば、いろんなことを一発で教えてもらう機会になるぞ」という、僕自身のやましい思いが理由なのです(笑)。イベントなら、知らない人やメーカーも誘いやすいですからね。
自転車でキャンプを楽しむ人が増えてほしい、という気持ちが原点なのですが、BIKE&CAMPは決して「目的地」ではありません。人それぞれの旅先こそが目的地です。BIKE&CAMPで道具の知識やノウハウ、そして仲間を見つけたら、ぜひ新しい旅を楽しんでほしい。そうした体験を、次のBIKE&CAMPで多くの人にシェアしてほしいと思います。次回はぜひ、新しい仲間を誘ってお越しください(談)。