「TAIPEI CYCLE 2024」レポート 台北で見つけた最新アイテムを一挙に紹介!

目次

世界最大規模の自転車ショー「台北サイクル」ショーが2024年も開催! 自転車企業の最先端技術や製品が展示されるアジア最大の自転車産業展示会は、35周年を迎えた。世界中から3500のブースが展開、2万人以上の来場者が訪れており、この規模は昨年比でも15%近く増加、パンデミック前のレベルと比較しても5%増加している。

本年は①「マイクロモビリティ」、②「グリーンアクション」、③「スタートアップとイノベーション」、④「サイクリング文化とライフスタイル」という4つのテーマが強調され、その中でも②の環境問題に対する持続可能な取り組みは、プロダクトやサービスにおいて重要視されるものとなった。

今回はその中でも、サイクリストが特に気になるアイテムをピックアップ! 一挙に紹介する。

開催期間/2024年3月6日(水)〜3月9日(土)
開催場所/台湾 台北市南港展覧 1、2館

台北サイクル2024レポート 台北サイクル2024レポート

試乗会

今回は会場内で試乗会も開催。簡易パンプトラックも設置され、最新のeバイクやカーゴバイクといったモデルがそのまま試乗できた。ちなみにこちらは日本のサイクルモードからインスピレーションを受けたそう

グラベル向けコンポーネント「ソード」

microSHIFT(マイクロシフト) 

「マイクロシフト」の新たな機械式10速コンポーネント「SWORD」はグラベル向けモデルで、ミドルクラスに位置する。フロントシングルとダブルを選択可能で、ダンパーが同載されたリアディレイラーは最大48Tまで対応(1×モデル)。レバーの変速スイッチはブレーキレバー側面に、少々離されて上下配置され、確実なクリック感とともに操作性を確保。刀剣をイメージしたシンプルなデザインとしつつ、レバーのグリップパターンや角度など、より未舗装路上での実戦的な内容にまとめ上げている。

ソード ソード ソード

有線電動変速システム「eRX」

L-TWOO(エルトゥー)

台湾のコンポーネントブランド「エルトゥー」による新たな電動有線変速コンポーネント「eRX」は、最大12段までの変速段数に対応。Bluetoothで接続するアプリから、ユーザーに合わせてカスタマイズが可能で、変速は10段から12段、各ボタンの操作、変速スピードなどを選択できる。フロントは二段変速に対応し、油圧ブレーキタイプはシマノやTRPモデルを使用可能。現地では体験用サンプルが用意されたので試乗を行ったが、シフトフィールも過去モデルに比べて洗練されつつある。

eRX eRX

eバイク向け変速システム「HYWIRE×PINION」

TRP

ブレーキシステムのブランド「TRP」による油圧ブレーキレバー「HYWIRE」として、eバイクのドライブユニット「PINION」のギヤボックスの操作を行えるモデルが発表。コンパクトな内装12段変速のミッドマウント式ドライブユニットを片側レバーの2つのスイッチから操作可能で、この変速システムは有線接続となる。また、その他にもeバイクに向けABSも合わせて発表。eバイクに搭載されることを前提とした、特化したコンポーネントが充実しつつある。

ハイワイヤ ハイワイヤ

拡張性の高いオールロード「RC2」

TRIGON(トライゴン)

台湾発のフレームブランド「トライゴン」の新たな人力ロードバイク「AR02」は、ミドルレンジの価格ながらオンロードからグラベルまで様々な乗り方を楽しめるオールロード。一体型ハンドルを選択できるコックピットまわり、フロントシングルに対応した変速受け、そして45Cのグラベルタイヤまでを装着可能なクリアランスに各所のボトル台座など、それぞれに拡張性を設けている。価格が上昇傾向にある昨今のスポーツバイクだからこそ、「一度買えば、パーツを交換しながら長く乗り続けることができる」という点をコンセプトとしているのだ。

RC2 RC2 RC2

サスティナブルなタイヤでグラベルへ!「テレーノ プロ T60」

VITTORIA(ヴィットリア)

イタリアのタイヤブランド「ヴィットリア」は、リターナブル素材によるハイパフォーマンスグラベルタイヤ「テレーノ プロ T60 Mixed」を発表。レースにも投入されるほどハイエンドに位置するグラベルタイヤであり、あらゆるコンディションに対応したアグレッシブなブロックパターンを採用。廃棄される自転車タイヤやプラスチックを再利用した素材を採用することで、環境負荷も考慮されており、それはグラベルというフィールドを楽しむ上で重要な精神性だろう。

テレーノプロT60 テレーノプロT60

ブイ・ティー・ジェイ

ハイエンドコンポに応えるビッグプーリー「OSPW RS」

CERAMIC SPEED(セラミックスピード)

セラミックスピードによる、軽量、高剛性、高耐久を誇るビッグプーリーキット「OSPW RS」は、スラム・イーグルトランスミッションといった最新コンポーネントに対応すべくアップデート。その大きな特徴は、ベアリング外部の軸周りに独自形状の溝、「ADR アクティブデブリリムーバー」が設けられており、ベアリングカバー周辺に入った水や泥を効率的に排出、ベアリング内部へ砂塵が進入するのを事実上不可能とするものだ。

OSPW RS OSPW RS

ダイアテック

工学博士が導き出した最適解「DAAP SL」

DAAP(ダープ)

韓国発のカーボンコンポーネントブランド「DAAP」は、ロードレースを愛する工学博士が自身の知見を生かし生み出された。このロードバイク向けカーボンホイールは、3本ずつ6セット、全18本のカーボンスポークのデザインが特徴。スポーク本数を減らすことで空力性能を維持しつつ、フロントは制動性、リヤはドライブトレイン側と、剛性が求められる側に本数を多く配置することで、堅牢な走行性能を確保。重量は前後セットで1265g。

ダープSL ダープSL

使い勝手の良い「超小型ペダル式パワーメーター」

wellgo(ウェルゴー)

ペダルブランドが発表したパワーメーターは、ペダルの基部にセンサーデバイスをまとめることによって、従来のペダルと同様のスタックハイト (10mm) を維持することがきる。サンプルではQファクターは微増。そのうえで、ペダル踏み面部は交換が可能で、ロードやMTB、フラットペダルなどさまざまなタイプのペダルに対応する。

ウェルゴーのパワーメーターペダル

自由度の高い構成が可能な「回転式マウント」

READY GO(レディゴー)

自転車アクセサリーブランドによるこのマウントのユニークな点は、非対称かつ両面が使用できるマウントを360 度調整しセッティングできることだ。すなわちステム上下、ハンドルの手前か先かと、あらゆるポイントにサイコンやライトをまとめてマウント可能。スマホ用やアクションカメラ用などアクセサリーも豊富で、隙間には専用のベルまで組み込める。

回転式マウント

ポッド式の「リチャージブルライト」で通勤ライドもスマートに

Proton(プロトン)

ワイヤレスイヤホンから着想を得て、ポケットに入るサイズの充電ポッドに前後用ライトをそれぞれ収納&充電することが可能なライトシステム。各ライトはマグネット式マウントを採用し、一度の充電で最大20時間稼働する。通勤ライドや休憩の合間に気軽に充電することで、ライトの電池切れの不安も解消だ。

リチャージブルライト

仲間の現在位置を把握するGPSデバイス「RFエクスプローラー」

Everbliss Green(エバーブリスグリーン)

ハンドルに取り付けることができるサイズ感のGPS搭載スマートビーコン。アプリとリンクすることで、仲間との距離や位置関係を常に把握することができるため、オフラインとなるトレイルやグラベルでのガイドなどに活用可能。防水かつ頑強な駆体に最大72時間稼働するバッテリーを内蔵し、あらゆるシーンで信頼性を持つ。

RFエクスプローラー

整備や調整をより手軽にする「油圧リンクシステム」

SPEED LINK(スピードリンク)

油圧ディスクブレーキワイヤー交換をよりスムーズに行うための機構。一本のワイヤーにおいて、ハンドル周辺など、交換を行う機会が多い箇所をカット。その両端に専用の端子を取り付けたうえでワイヤーをオイルで満たせば、端子内に埋め込まれた鉄球がオイルラインのフタとなり、いつでも途中でワイヤーを分離できるという構造だ。

油圧リンクシステム

オランダ発のホイール専業メーカーの「アーテック」は魚の鱗がヒント

SCOPE(スコープ)

リムサイドに魚の鱗のような模様があしらわれていることで、特に横風での空気抵抗が低減されたという。3つの風洞実験施設でそれぞれ異なるプロトコルでテストを行い、空力性能を磨いた。50mmハイトのモデルでペア重量が1244gと軽量に仕上がっているのもポイントだ。ハブは3Dプリンタで製作された複雑な形状で、カーボンスポークが組み合わされる。

アーテック

日直商会

ニッポンの自転車ブランドやサイクリングルートが集結!

JAPAN PAVILION

本ショーは業界関係者向けのビジネスデイに加えて、一般来場者も入場可能なショーデイも設けられており、台湾だけでなく世界中から感度の高いサイクリストが集う。それに合わせて、「ジャパンパビリオン」として日本の自転車ブランドだけでなく、インバウンド需要を喚起する自治体もまた大々的に展示を行い、それらの情報を求める人々で連日にぎわいを見せた。もちろん日本から、台湾観光やグルメと合わせて、台北サイクルショーを見学するというプランもオススメ。世界最大規模のサイクルショーは誰にでも開かれている!

ジャパンパビリオン

ナショナルサイクリングルート紹介ブース

「ナショナルサイクリングルート」を紹介するブースとして、しまなみ海道や太平洋岸自転車道、富山湾岸サイクリングといったルートを紹介すべく、各県の担当者が集結した

つくば・霞ヶ浦りんりんロード紹介ブース

「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を紹介する茨城県のブースでは、コース情報とともに海外旅行者向けのガイドツアーも提案。より具体的な行程やプランをもとにアピール

日本メーカーのブース

別エリアに大々的にブースを展示したシマノはもちろん、ニットーやOGK技研、パナレーサー等々、ニッポンの自転車界が誇る各メーカーも出展。最新アイテムを紹介した