能登半島の復興を応援「がんばろう北陸!つながる富山と石川 復興応援ライド」

目次

富山湾岸サイクリング大会と併催。復興に向けて共に歩んでいく富山と石川に自転車を通じて応援を送ろうと全国から40名が参加した。

開催日時●2024年4月21日(日)
場所:富山県氷見市、石川県中能登町
主催:サイクルツーリズム研究会(会長・野嶋剛大東文化大学教授、富山県サイクルツーリズムアドバイザー)
団長:一青妙(サイクリスト、女優・作家、中能登町親善大使、同研究会メンバー)

能登半島復興応援ライド

テーマは「がんばろう北陸!つながる富山と石川 復興応援ライド」

2024年1月に発生した能登半島地震の影響により、開催が危ぶまれていた「富山湾岸サイクリング2024」。当初は1月13日からエントリーを開始する予定が、使用するコースのチェックや修復等で時間を要し、開催が決定したのは2月7日のことだった。
その数日後、以前から親交のある自転車仲間の一青妙(ひとと たえ)さんより、「富山湾岸サイクリング大会の併催イベントとして、能登半島地震の復興応援ライドをやるので、一緒に走りませんか?」とお誘いを受けた。
一青さんは、自身の著書「ママ、ごはんまだ」の映画制作の際、石川県中能登町で撮影を行った縁で同町の観光大使をされていて、さらには富山県サイクルツーリズムアドバイザーもされていることもあり、「がんばろう北陸!つながる富山と石川 復興応援ライド」を企画したそうだ。
筆者は大会の前日に行われる前日祭にサイクルスポーツのブース出展を予定していたので、参加はできるが、果たして自分が走ることで、復興の応援になるのか、若干とまどいながらも参加を決意したのだった。

復興に向けて富山と石川が共に歩んでいく

企画を決めた当初、参加者は、10名程度を予想していたそうだが、口コミ等で広まり、富山と石川からそれぞれ10名以上、その他、関東や遠くは福岡からの参加もあり、最終的に40名の参加となった。また、富山と石川の方たちのなかには、震災後、初めて自転車に乗るという人もいた。

スタート前に全員で記念撮影

スタート前に全員で記念撮影。このライドにはNHKチャリダーのロケ班も同行した

この日は、富山湾岸サイクリング大会のスタート地点である氷見市を能登半島方面に向かい、七尾から内陸の中能登に行き、氷見まで戻る70kmのルート。
被災地を含めた両県にまたがるコースを一緒にライドすることで、北陸は今も震災の打撃にもくじけずに元気で頑張っている、復興に向けて富山と石川が共に歩んでいく、そんなメッセージを富山・石川両県民および全国の人々に伝えたいという想いを込めて走った。

この日の走行ルート

この日の走行ルート

ヘルメットにステッカー

参加者全員がステッカーを貼り、気持ちを一つにして走ることに

氷見から七尾までの湾岸線

氷見から七尾までの湾岸線の路面は、ところどころひびが入っていたり、隆起していたりするので、注意が必要だが、普通に走行可能だ

倒壊した家屋、隆起した路面に思いを巡らせながら、湾岸沿い~山岳~田園地帯を走り、一行は石川県中能登町の「道の駅織姫の里なかのと」へと向かった。
今回のもう一つのミッションは、観光大使を務める一青妙さんが、先述の映画制作関係者等からいただいた義援金を中能登町の宮下為幸町長に届けることだった。

氷見市内の倒壊家屋

氷見市内の倒壊家屋を見て、地震の事実に直面する

県境の七尾市から内陸部に入る

県境の七尾市から内陸部に入る

七尾市の上り区間

七尾市の上り区間は、ご覧のように路面状況がよくないので、注意が必要

 

サイクリストガンバレ

石田さんの娘さん

前方でChoo Choo TRAINのパフォーマンスで応援してくれていたのは、参加された石田さんの娘さん。元気をもらいました~

 

ブルーシートで屋根を覆っている家屋

内陸部では、ブルーシートで屋根を覆っている家屋が散見された

能登町長に義援金を手渡す

「道の駅織姫の里なかのと」で一青妙さんから能登町の宮下為幸町長に義援金100万円が手渡された

今、我々にできることとは?

能登半島では、開催50回を超える日本有数の人気イベント「ツール・ド・のと」が毎年9月に開催されている。今回のライドのガイドをしていただいたのも、大会の運営スタッフの方々だ。同大会のエイドステーションになっている中能登道町の「道の駅織姫の里なかのと」では、この日10周年記念イベントが開催されていて、多くの住民で盛り上がっていた。そこには震災の悲壮感は感じられず、笑顔にあふれていた。また、すれ違う人たちにも「今日は自転車のイベントですか?」とお声を掛けていただけたので、懸念していたサイクリストに対してのアウェームードどころか、むしろウェルカムな印象を受けた。

参加者のなかには、「走ってもいいんだ」「石川も富山も県境なんて、関係ないよね」という話を聞き、地元の人たちでさえ、被災地に対し、そういう気持ちを持ってたことに驚かされた。
今もなお、走行不可能なエリアもあると聞くが、我々が富山・石川でサイクリングや観光をすることで、微力ではあるが、風評被害を打ち消し、復興の応援になると感じたので、ぜひ再訪しようと思う。

一青妙さん

今回の復興応援ライドを企画した一青妙さんのコメント:
義援金は震災直後からお声掛けをさせていただきました。開催が危ぶまれていた「富山湾岸サイクリング」が決定したと同時に今回のライドを企画しました。自分自身は、被災された能登の人たちを励ましたいと思って企画しましたが、今日は県外よりも、石川・能登の参加者の方が最も多く、逆に自分が勇気づけられました。自転車を通じて知り合った仲間たちと久しぶりの再会を果たすことができて、いろんな日常を取り戻せる時間になったのであれば、うれしいです。サイクリストに絶大な人気のルート今もなお、走ることができなエリアが多いと聞くが、参加者のなかには、「走ってもいいんだ」「石川も富山も県境なんて、関係ない」と言った声を聞くことができ、走ることで、風評被害を打ち消すこともできるのではないかと感じました