松山北高校中島分校が「自転車甲子園」初の最優秀賞に!
目次
「第4回自転車甲子園」が夏の高校野球が開幕する前日に、愛媛県松山市で開催。栄冠に輝いたのは昨年、決勝で涙を飲んだ松山北高校中島分校だった。
開催日:2024年8月6日(火)
主催:愛媛県自転車新文化推進協会
後援:経済産業省、国土交通省自転車活用推進本部、警察庁
協力:株式会社ジャイアント、本州四国連絡高速道路株式会社、株式会社まちづくり松山
協賛:株式会社オージーケーカブト、株式会社ウエイブワン、イケウチオーガニック株式会社
会場:
【クイズ・スピーチ・決勝】ANAクラウンプラザホテル松山
【実技】大街道1丁目(松山市大街道1丁目)
自転車甲子園の目的
高校生がサイクリングに関する正しい知識や技術を身に付けると共に、 地域の自然環境や文化への理解を深め、サイクリングを通じて、地域の魅力を 発見・発信できる人材として活躍すること。また、地域課題に向き合う活動により、生徒・学校が社会的に影響の高い活動をしていることをお互いに認識しあい、 県内外へ示していくことを目的としている。
予選はクイズ、実技、スピーチの3種目
予選種目は以下のとおり。
1.道路交通法やマナーに関するクイズ
2.実技
3.地域活動に関するスピーチ(PowerPoint資料の使用・事前提出を必須とする)
道路交通法やマナーに関するクイズは10問で、シンキングタイムはわずか30秒。高校生だけに過去問を徹底的に復習しているため、正解率が年々上がっており、出題側も引っ掛け問題を多くしている印象を受けた。
ちなみにまったく誇れるものではないが、筆者は10問中7問正解だった(昨年は5問なので、少しだけ成長したようだ……)。
実技は4種目(ヘルメットの装着、8の字スラローム、スタンディング2m、20cm×30mの一本橋)。ヘルメットの装着は3人中何人が正しい装着ができているかを競う。制限時間は1分30秒。命に関わるヘルメットなので、オージーケーカブトのスタッフにより厳正な審査が行われる。
昨年に続き、耳下のバックル位置ができていないところが多かった。ちなみになぜバックルの位置がここなのかというと、耳から離れるとズレやすいからだそうだ。
ベテランサイクリストでもできていないケースがあるので、自信のない人はこちらでチェックしよう!
実技種目の「8の字スラローム」「スタンディング2m」「20cm × 30mの1本橋」は、会場近くの大街道の特設会場で行われた。3種目とも、高校生の技術が明らかに上がっていて、今までよりもスムーズに実技が行われているのが印象的だった。
この大会で最も盛り上がるスピーチでは、自転車に関する地域の活動や取り組みを発表する(5分)。
テーマは「地域課題」「交通安全」「地域活性化」「新たな価値づくり」のいづれかを選択し、発表はクイズと実技の合計点の低い高校から始まる。ここまでの1位は松山北中島分校で、このスピーチと今までの競技の得点で決勝に進む4校が来まる。
今年もそれぞれ着眼点の異なる各校のスピーチに驚かされっぱなしだった。
・地域貢献の一環として、幼稚園児へ紙芝居を使って交通安全講習のお手伝いをした(北宇和高校)
・自転車事故を減らすために全校生徒にアンケートを実施し、危険箇所を調査し、マップを作成(新居浜東高校)
・教頭先生がeバイクで通勤するとどうなるか?を検証し、eバイク利用により得られる4つのメリットを発表(FC今治高校明徳校)
・自転車事故の箇所、原因、時間帯などをデータ化すると共に、地元住民にもマナーについて調査し、事故防止の対策を発表(松山中央高校)
・MTB同好会を作り、思いやり1.5m運動のステッカーとマグネットを制作し、全ての人が思いやりをもって道路を利用することを提案(白馬高校)
・サイクリングプロジェクトチームによるガイドツアー、スタンプラリーを実施。地域の活性化のために町や市と連携を図る(弓削高校)
・自転車甲子園で学んだ交通安全を地域で実施。また危険箇所を音で知らせるスマホのアプリを制作。地域を再発見できる歴史トリップイベントを実施(土居高校)
・自転車甲子園の活躍を受け、石川県警からのオファーで、石川県高校生交通安全フォーラムに参加し、愛媛県の取り組みを発表(松山北高校)
・地域の魅力をPRし、観光客を誘致するためのNPO法人を立ち上げ、VR観光マップや観光客向けのナビゲーションアプリを作成。(松山北高校中島分校)
この大会に参加した高校生が、地元に帰り道路交通法クイズや、ヘルメットの被り方、交通安全教室を実施したり、地域活性化のために地元の魅力を発見し、マップやアプリを作って、観光誘客を行うなど、大人から子供へのトップダウンではなく高校生自らが企画、運営することにこの大会による成果が見え始めているのが非常に印象的だった。
教育面だけでなく、社会的にも大変意義のあるイベント
決勝に進んだのは土居高校、白馬高校、松山北高校中島分校、弓削高校の4校。討論議題は事前に伝えられている
1.ながら運転をしないようにするためには
2.一時停止を無視する自転車にルールを守らせるためには
3.歩道の自転車走行はありか、なしか
4.ヘルメット着用率を上げるためにほしい&必要なヘルメットの性能、機能は
以上4つの中から「ながら運転をしないようにするためには」に決まった。なかなか難しいお題に思わず筆者も親の気持ちになり、不安を感じてしまったほどだ。
討論バトルは、話し方・マナー、論題分析力、論理構成力、質問力と上位4校以外の学校による投票で採点される。
各校からは「ながら運転時のブレーキの反応速度や視野を比較することができるVRによる擬似体験の導入」「骨伝導イヤホンやスマホスタンドの使用」「そもそもスマホの通知を切る」「法律の整備」などの発表があり、それぞれに対しするどい質問を浴びせながら行われた討論バトルは、「通常運転時は1秒で止まれるが、ながら運転時は3秒掛かる」など具体的な発表と、質問に対しても理路整然とした回答をした松山北高校中島分校が最優秀賞となった。
自転車の安全性や環境への配慮、さらには健康促進など、現代社会における重要なテーマを掲げるこの大会は、
教育面だけでなく、社会的にも大変意義のあるイベントなので、他県へもどんどん広がっていってほしいと心より願う。
【審査委員長】愛媛県 参与 中川逸朗 さん【特別審査員】国土交通省 自転車活用推進本部事務局 自転車活用推進官 原田洋平さん
【審査員】本州四国高速道路株式会社 取締役 森田真弘さん、愛媛県教育委員会事務局 指導部長 小池達士さん、愛媛県警察交通部交通指導課長 團上貴士さん、自転車新文化推進協会 参与 上甲俊史さん、愛媛県自転車新文化スーパーバイザー 門田基志さん
第4回大会の参加校(9校)
土居高等学校(前年度最優秀校)、白馬高等学校、松山北高等学校中島分校、弓削高等学校、新居浜東高等学校、FC今治高等学校明徳校、松山北高等学校、松山中央高等学校、北宇和高等学校(順不同)。