高校生によるサイクリングガイドツアーがゆめしま海道で開催!

目次

総合学習の時間にサイクリングガイド講習を受けた愛媛県立弓削高校の生徒が企画した、ゆめしま海道をeバイクで巡るサイクリングガイドツアーに参加してきた。

開催日時:2024年12月22日
主催:ゆめしま海道サイクリングツアー実行委員会
協力:上島町/愛媛県立弓削高等学校/(株)コイデル

弓削高校のサイクリングガイドツアー

「Let’s! ゆめしまサイクリング~ゆめしま海道 夢しかないぞう」

参加当日、高校生らしい素直で夢のあるキャッチコピーだと関心していたのだが、実は「韻を踏んでいた」ことに後日ハッと気づく。「あの時、褒めてあげられんくて、ゴメンやで~」と猛省する筆者。

自転車先進県である、愛媛県内の(希望する)高校では、2019年より、総合学習やクラブ活動などの時間に自転車のマナー、道路交通法、実際のライドなど、地域に合わせたオーダーメイドの講習を実施している。このサイクリングガイドツアーも、その授業から派生して2年前に生まれたイベントだ。

さらに愛媛県では、総合学習やクラブ活動などで学んだ自転車の知識、技術や、地域貢献などのプレゼンを競う合う場として、2021年より「自転車甲子園」が開催されている。

自転車甲子園とは
高校生が自転車に関する正しい知識や技術を身に付けると共に、 地域の自然環境や文化への理解を深め、サイクリングを通じて、地域の魅力を 発見・発信できる人材として活躍することを応援するイベント。また、地域課題に向き合う活動により、学生・学校が社会的に影響の高い活動をしていることをお互いに認識しあい、 県内外へ発信していくことを目的としている。
https://www.cyclesports.jp/news/event/122091/

当日は県内外のサイクリストが、午前の部・午後の部と合わせて約25名参加。遠くは、東京からの参加者や、同じく愛媛県内でサイクリングガイドツアーを実施している、松山北高校 中島分校の生徒も参加していた。全国探しても、高校生がサイクリングガイドツアーをしている県は、愛媛県しかないのではないだろうか。

出発前の記念撮影

出発前に午前の部参加者全員で記念撮影。後ろに映るのは弓削大橋。オレンジ色のウェアは2024年自転車甲子園で最優秀賞を受賞した松山北高校 中島分校の生徒と顧問の永井先生

「ディスカバー地元」をリアルに感じ、表現している高校生

ツアーは弓削高校2年の香川啓太実行委員長代理より「上島町の良さ、おいしいグルメ、何よりサイクリングの楽しさを感じてもらいたい。皆さんの安全のため全力でガイドさせていただきます」という力強い挨拶で始まり、開催地の上村俊之 上島(かみじま)町長からは参加者へ感謝の気持ちを述べられた。

さらに「弓削高サイクリングマナー啓発隊」による交通ルールやマナー向上、事故が起こりやすいポイントの注意喚起の説明があった。さらには、すれ違う島民への挨拶を促すなど「サイクリングだけではなく、地域と来島者もお互い気持ちの良い1日にしましょう」と、深くうなづいてしまう内容だった。

また、スタート前のブリーフィングではハンドサインの説明。また、eバイクに初めてまたがるという参加者に乗り降り、ブレーキや変則の仕方をレクチャーした。途中、戸惑うところもあったが、周りの大人が一切助けないという潔さが、見ていて何とも気持ち良かった。この年代で観光サービス業の職業体験ができるのは素晴らしいことだし、彼らも、後々気づくのではないだろうか。

コースは弓削島(ゆげじま)のひだまり公園をスタートし、弓削島・佐島(さしま)・生名島(いきなじま)・岩城島(いわぎじま)の4島を巡る約40km/2時間30分のルート。また、走行途中、3か所のエイドステーションで、生徒たちがセレクトした岩城島名産の「芋菓子」「レモンケーキ」杜仲茶が提供され、参加者をおもてなした。

弓削高サイクリングマナー啓発隊

「弓削高サイクリングマナー啓発隊」による交通ルールやマナー向上の説明は、学んだことをたくさんの人の前で発表できる貴重な機会。一生懸命、練習したのがよく伝わってましたよ~

上村俊之 上島町長

上村俊之 上島町長からは「上島町にお越しいただきありがとうございます。弓削高校の一年生を中心に頑張って企画したこのツアーを一緒に楽しみましょう」と挨拶

ハンドサインの説明

ハンドサインの説明では「慣れてない人は、無理せずに声に出しても大丈夫です」と補足していたのが印象的だった

2022年に初開催された、弓削高生によるサイクリングガイドツアー。筆者は2年ぶりにこのイベントに参加したのだが、その時はスポットなどの説明はなかったのが、今回は見事にブラッシュアップされていて、スポットだけでなく、橋の構造、造船所の説明などがあり、ブラタモリ的な話がとても面白かった。何より、自分の住んでいる島しか知らなかった生徒たちが、他の島を自転車で何度も訪れ、勉強していくうちに「こんなに良いところがあるんだ」と地元再発見できたのが良かったと言っていたのが、この総合学習の成果なんだと思った。やっぱすごいな、愛媛県……。

岩城橋の説明をする中坂菜緒さん

岩城橋の説明をする中坂菜緒さん。コンクリート製の主塔の高さは国内トップクラスだと教わった

芋菓子

一般的には「芋けんぴ」と呼ばれているが、岩城島では「芋菓子」と呼ばれているそう。ほんのりした甘みと素朴な味わいがクセになる

レモンケーキ

岩城特産のレモンと生クリームをふんだんに使ったレモンケーキ。しっとりして、レモンのおいしさが凝縮されている

アートと同じポーズをとる高校生

岩城島にある防波堤アート「海のおとを聴く」の前で弓削高校と松山北高校 中島分校の生徒さんにアートと同じポーズをリクエストし、快くやっていただいたお気に入りの一枚

真横に海を感じながらのサイクリング

真横に海を感じながらのサイクリングは実に気持ちが良い。季節は冬だが、穏やかな海にキラキラと照らされる陽の光は、瀬戸内海独特の景色だと言えよう

造船所

突如として目の前に現れる造船所の光景に圧倒される。男心をくすぐるスケールのデカい景色は圧巻だ

eバイクで上る

eバイクなので、上りもしんどくない。スポーツバイク初心者と上級者が同じ速度、距離を一緒に楽しむことができるのがeバイクの魅力!

ゴールのひだまり公園

ゴールのひだまり公園では、午後の部を担当する弓削高生が横断幕を持ってお出迎え。ありがとう~

宮田浩介さん

東京から参加の宮田浩介さん。前日、尾道で開催されていた「BICYCLE FILM FESTIVAL」に参加後、高校生のサイクリングガイドツアーに興味をもち、参加されたそう。ちなみに宮田さんは「世界に学ぶ 自転車都市のつくりかた」の著者

香川啓太 実行委員長代理

香川啓太 実行委員長代理のコメント
「この日のために夏休みから準備を始めて、試走は5回やった。自分以外は、プロジェクトに初参加の生徒が多かったので、ハンドサインやコースを覚えてもらうのに苦労した。自分は生名島に住んでるが、岩城島にはこんなにキレイなところがあると初めて知ることができて良かった」

「ゆめしま海道」へのアクセス

ゆめしま海道は、しまなみ海道のちょうど東に位置するサイクリングロード。愛媛県上島町の弓削島、佐島、生名島、岩城島の4つの島は3つの橋でつながっており、約50kmの離島サイクリングを楽しむことができる。島には信号やトンネルが一つもなく、交通量も少ない上に、道路もきれいに整備されているのでサイクリストにとって、まさに夢のような島だ。また、サイクリングだけでなく、キャンプ、フィッシング、シーカヤック、サップ、ヨット、ビーチヨガ、BBQ……などなどいろんなアウトドア・アクティビティを楽しむことができるので、2泊以上泊まって島旅を満喫してほしい。

また、離島へのじてんしゃ旅というと、ものすごくハードルが高いイメージをもたれている方も少なくないと思うが、愛媛県の最北端に位置するので(広島県から近い)本州からのアクセスはびっくりするほど容易だ。ちなみに山陽新幹線の福山駅からは、バスとフェリーで80分。三原駅からは、三原港まで8分歩いて、フェリーで40分で行くことができる。
また、しまなみ海道の途中でも、生口島(洲江港)からはフェリーで7分。因島からは3つのの港からフェリーで3~10分で行くことができる。

上島町へのアクセス

上島町マップ