台北サイクル2025プロダクトレポートPart 1:バイク編

目次

アジア最大の自転車ビジネスショー「台北サイクル」で見つけた注目のプロダクトをピックアップ。パート1となる本稿では完成車、eバイクを中心に現地レポートをお届けする。

 

eバイクが活況。キーワードは「インテグレーション」「リサイクル」

ハイエナブース

eバイクメーカー「ハイエナ」は未来感溢れるブースを展開

最初にお断りしておくと、筆者にとって台北サイクルは今回が初参加。見るもの全てが新鮮で、その物量と熱気に終始圧倒されることとなった。日本国内で流通しているプロダクトは、自転車産業全体のほんの一部にすぎないのだと感じたほどだ。

まず会場での第一印象だが、eバイクの圧倒的なボリュームに驚いた。スポーツタイプから実用車からカーゴバイクまで、日本では見たこともないモデルが一挙に揃う。そして、eバイクメーカーが目指す次のブレイクスルーは「オートマティック」。AIを利用した自動変速制御など、よりユーザーフレンドリーな機構が搭載されるという。同時に、リサイクル素材の活用も拡大しており、環境保全への高い意識が伺えた。

OEMフレームメーカーブース

自社生産ブランドと並び、OEMフレームメーカーも多数出展する。筆者にはその違いが見分けられず……

もちろん、アシストなしのペダルバイクも多数並ぶ。しかし、eバイク群の勢いには及ばない印象で、探すのにやや苦戦するほどだ(日本未展開のブランドはどれも目新しく感じるのだが)。その現況を踏まえて、会場で特に印象的だったバイクをピックアップしてお届けしたい。

 

ジャイアント(GIANT):オールリサイクル素材のプレミアム・キッズバイク

プレ・リカーボン

ジャイアントのリサイクル技術の結晶「PRE rCARBON(プレ・リカーボン)」は、重量わずか2.5kgのスーパーキッズバイク

ジェイコカラーのトリニティ

大胆なカラー変更を遂げたチームジェイコ・アルウラー。チームカラーの新型トリニティがお披露目された

世界最大手の自転車メーカー「ジャイアント」は、会場のど真ん中に広大なブースを展開。前日リリースされたプッシュバイク「プレ・リカーボン」は、フレームとフォーク、スモールパーツにリサイクル素材を採用。これまで難しかったカーボン再利用技術の結晶であり、業界のリーダーが取り組むことには大きな意味があるだろう。

 

アクスマン(AXMAN):スタイリッシュなeグラベルバイク

EGC-02

アクスマンの「EGC-02」は、ボッシュのモーター+400Whバッテリーを内蔵したeグラベルバイク

ケーブルはフル内装

ケーブルフル内装で、eバイクにありがちな野暮ったさは皆無

こちらは台湾メーカー「アクスマン」のeグラベルバイク。一体型ハンドル内にケーブルは全て内装され、トップチューブにコントロールユニットが埋め込まれる。ボッシュ製モーターはコンパクトで、遠目からはノーマルバイクと変わらないほどのシルエットだ。

GC-01

ペダルバイク版の「GC-01」。現代的グラベルレーサーに仕上がる

アクスマン公式ウェブサイト

 

トライゴン(TRIGON):ポップなカラースキームのオールロード

CR2

トライゴン「CR2」はグラベル寄りのオールロード。ヘッドチューブのポップなイラストが目をひく

AR01

オールラウンドレーサー「AR01」。五輪カラーのスペシャルモデル

台湾のレーシングブランド「トライゴン」は、アジアンテイスト(?)なカラースキームのロードバイクを多数展示。同社はOEM生産をルーツに持ち、その技術力は折り紙付き。コストパフォーマンスの高さでも注目のブランドだ。

トライゴン公式ウェブサイト

 

ベスビー(BESV):自動変速搭載のeコミューターバイク

LX2

ベスビー「LX2」は、ブランドをして「フルオート・スマートAIバイク」といわしめる自信作

スマートロック

左チェーンステーにスマートロック搭載。その他多数の新規軸を盛り込む

eバイクブランド「ベスビー」は、AIにフィーチャーした革新的なバイクを展示。内装変速ハブを採用し、ライダーのペダリングに合わせ最適なギア比にオートシフトしてくれる。加えて、盗難対策のGPSトラッキング、オートライト点灯、スマートロックと新規軸が全部載せされたハイテクモデルだ。

問・ベスビージャパン

 

イグス(Igus):再生プラスチック素材のシティバイク

イグスのプロトタイプ

再生プラスチック素材でできたシティバイクのプロトタイプ。タイヤとブレーキ、小さなネジ以外は全て再生素材から成る

eバイクフレームのサンプル

インジェクション製法で作られたeバイクフレームのサンプル。材料はリサイクルされたプラスチックとカーボン繊維。非常に堅牢なつくりだった

ドイツの素材メーカー「イグス」は、プラスチック素材のコミューターバイクを展示。プラスチックとはいえヤワな造りは一切なく、しっかりと耐久性が確保されているという。バイク製造分野でもリサイクル技術が試験導入されつつあるようだ。

 

レクマ(Lekuma):ヘビーデューティーなeカーゴトライク

レクマのカーゴeバイク

ステップインが容易なフレーム形状で、デリバリーの効率化を高める

eバイク専用チェーンやタイヤ

eバイク専用のチェーンやタイヤが採用されている。変速は内装ハブ方式

欧州ではデリバリー用途で活躍の多いカーゴバイク。重い荷物を運ぶため、eバイク化との相性は言うまでもなく抜群だ。台湾ブランド「レクマ」では大容量ケージを搭載したカーゴバイクが充実していた。ほとんどが業務用と思われ、ハードな使用にも耐えうる設計が見てとれた。

レクマ公式ウェブサイト

 

サイバーサイクル(cybercycle):圧倒的な完成度のアーバンeクルーザー

R3アーバンレーサー

サイバーサイクル「R3 Urban Racer」は近未来チック、フラットバーロード的eバイクだ

ヘッドチューブ内蔵LED

ヘッドチューブ内蔵LEDを装備。ハンドルは一体型。グリップ内側のスイッチは非常にコンパクト

コントロールユニット

コントロールユニットはトップチューブ内蔵

台湾の「サイバーサイクル」で見つけたフルカーボンeバイク。ペダルバイクにはないサイバー調のルックスで、デザイン賞にも選ばれている。レーサーという名に恥じぬスタイリッシュさで、インテグレーションという言葉がこれ以上ないほど似合うバイクだ。モーターは250W / 30Nmを出力する。

サイバーサイクル公式ウェブサイト

 

その他、目立ったものをダイジェストでお届けする。

TRPのコンポ搭載eMTB

TRPのコンポーネントを搭載したeMTB。油圧ブレーキから始まった同ブランドはコンポーネント開発にも進出中だ

プロファイルデザインブースのグラベルレーサー

DHバーの「プロファイルデザイン」で見つけたグラベルレーサー。エアロバーとハンドルバーバッグをスマートに装着

エロエブースのフルサスバイク

スタイリッシュなキャリヤメーカー「エロエ(aeroe)」で見つけたフルサスバイク。ストラップオンでタフなキャリアを取り付け可能。ドライバッグも洗練されている

Pardusのバイク

Pardusのバイク

新城幸也が今季所属するチーム、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニのレースバイク「PARDUS

XDSのアルミエアロロード

エルトゥーのコンポ搭載モデル

中国バイクメーカー「XDS」のアルミエアロロード(1枚目手前)。同郷の「エルトゥー(L-Twoo)」コンポーネントを装備したモデルも確認できた

次回はコンポーネントを特集予定。今しばらくお待ちください。