パナレーサーニセコグラベル2022への遥かなる旅路
目次
日本国内において最も注目を集めるグラベルライドイベント、「パナレーサー ニセコグラベル」がついに開幕! 北海道ニセコエリアの雄大なグラベルコースを実走した神楽坂つむりさんによるレポートをお届けしよう。
INFORMATION
「パナレーサー ニセコグラベル2022」
開催日/2022年9月3日(土)~9月4日(日)
開催地/北海道ニセコ町、蘭越町
ニセコアンヌプリ国際スキー場
コース/
エクストラロングコース(約110km)
ロングコース(約90km)
ミドルコース(約65km)
ショートコース(約35km)
主催/HOKKAIDO EVENTS
REPORTER 神楽坂つむり
カメラと共に自転車で国内外を旅し、その魅力を発信する「つむりの悠々自適ライフ」ブロガー
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ニセコの魅力
美しくどこか荘厳さも感じる、ニセコアンヌプリと羊蹄山が見守るニセコエリア。国立公園に指定される場所も多く、四季折々の絶景は多くの人を引きつける魅力にあふれています。土地由来の温泉や食文化があるのも人気の理由の一つでしょうか。新千歳空港から2時間程度でアクセスできるので、北海道の中では比較的「近い」と表現でき、2030年にはJR北海道新幹線の倶知安駅が開業予定です。そんなニセコの魅力を発信したい、という思いからニセコグラベルは開催されました。
私はこれまで北海道で、自転車はもちろん登山や乗馬など各種アクティビティを経験しましたが、「試される大地」とも称されるこの地は、今や国内外から注目される世界有数のアクティビティエリアへと進化している最中だと実感します。また、グラベル遊びのフィールドは未舗装路や砂利道といった「自然」な状態に近く、あらゆる路面状況が想定されるため、走り方や遊び方の定義が困難であり非常に懐が広く自由。速度や距離の絶対至上主義ではなく、使用するバイクや着用するウェア、走るコースなど楽しみ方も人それぞれです。北海道のニセコという土地、そしてグラベルサイクリングというポテンシャルを持った要素が融合するイベントは、身を投じて体感する価値があります。
唯一無二のコース設計
今回私はチームメンバーと共に、最も長いコース「エクストラロング」を走りました。距離は約115km、獲得標高は約2200mと走り応えたっぷりです。走るとまず、ニセコグラベルの名に恥じないグラベルの多さにびっくりしました。未舗装区間の数も長さも圧倒的です。本州ではそうそうまねできないコースプロフィールですね。しかも路面状況が非常に良好で、しっかりと締まった硬めの砂利のためタイヤが良く転がってくれます。大きな岩や危険な穴もなく、乗車率は100% !
逆に速度が乗り過ぎるくらいで、スピードコントロールが肝でした。アップダウンの連続というよりは「しっかり上ってしっかり下る」系のコース設計で、パンチはあるもののリズムがつかみやすいコースです。特にダブルトラックの長い長い下りグラベルの爽快感は、筆舌に尽くし難いものがありました。本州ではグラベルという名のテクニカルなトレイルが多いのですが、ニセコのグラベルは“純度100%のグラベル”です。そして合間には「ザ・北海道」と言える雄大なパノラマビューを眺めながらゆっくり流すことができる平坦グラベルもあり、箸休めも抜かりありません。特に終盤、ニセコアンヌプリの山を眺めながら駆け抜けるグラベル区間の爽快感は最高! 森林グラベルから川沿いのフラットダート、田園地帯を抜ける丘陵グラベルまで、グラベルの質・量共に日本国内で唯一無二といえるコース設計でした。もちろん他のコースでもそのエッセンスは同様に散りばめられており、参加者全員がもれなくグラベルを堪能できる仕掛けがされていました。
自由なカルチャー
イベント当日は、集まった人の多様さに驚きました。道内外問わず、老若男女問わず、会場に詰めかけていました。世界最大のグラベルイベントであるアメリカのアンバウンドを完走したプロ選手からグラベルイベントは初めてという人まで。自転車の完成車、ウェア、パーツブランドの「中の人」が出走しているのも多く見ましたが、こんな風に体裁問わずに参加できるイベントって素敵です。その参加するスタンスもさまざまであり、多くの人が自分たちのペースや楽しみ方を最優先に走っていたのが印象的です。そこには正解なんてない、グラベルならではの個人個人が持つ楽しみ方の環のようなものがたくさん集まって一つの大きな環になる――ニセコグラベルはそんなイベントだと感じました。
型や形式に捕らわれずに、自由な精神でサイクリングそのものを楽しむ。ニセコグラベルは、自転車のプリミティブな楽しさや面白さを体現する、まさに「グラベルカルチャー」とも言えるようなイベントであったと感じます。そして、それを根本で支えるのが魅力的なコースプロフィールです。実はここが最も伝えたい内容でしたが一言で「最高!」です。本州には絶対にない、本当の意味で走って楽しいグラベルがニセコグラベルにはあります。気になる人は来年、ぜひとも参加してください。きっと素晴らしい「グラベルカルチャー」が迎えてくれるはずです。