第2回自転車甲子園が愛媛県松山市で開催
目次
全国の高校生を対象とした「第2回自転車甲子園」が11月13日(日)の「愛媛サイクリングの日」に開催された。
開催日:2022年11月13日(日)
主催:愛媛県自転車新文化推進協会
協力:株式会社ジャイアント、本州四国連絡高速道路株式会社
協賛:自転車新文化基金會 、株式会社オージーケーカブト、株式会社ウエイブワン
会場:ANAクラウンプラザホテル松山、松山城山公園 管理広場
開催の目的とは?
「自転車甲子園」は、このイベントを通して、高校生が自転車に関する正しい知識や技術を身に付けると共に、 地域の自然環境や文化への理解を深め、サイクリングを通じて、地域の魅力を 発見・発信できる人材として活躍すること。また、地域課題に向き合う活動により、生徒・学校が社会的に影響の高い活動をしていることをお互いに認識しあい、 県内外へ発信していくことを目的としている。
競技種目は4部構成
第一種目は道路交通法やマナーに関するクイズ
10問あり、1問3点なので、全正解で30点となる。結構難しい問題が多いが、シンキングタイムはわずか30秒なので、焦りは禁物だ。ちなみにこのような問題があったのだが、「制限速度が時速50kmの道路でも、原動機付き自転車は時速30kmを越えると、速度超過になるが自転車は、この標識のある道路で何km制限になるか?」
答えは50kmなのだが、みなさん、知ってました? 30点満点の高校はなかったが、ここだけの話、筆者は10問中6問しか正解できなかった(汗)。もっと、勉強せねば……。
実技種目は4種目
最初の種目はヘルメットの装着。3人中何人が正しい装着ができているかを競う。制限時間は2分で審査はオージーケーカブトのスタッフが行う。1人がちゃんと装着できていたら3点、2人で6点、3人全員成功で10点となる。
ちなみにチェックポイントはヘルメットの淵が眉毛のラインの上にある。あご紐の長さは指2本入る。アジャスターが耳の下にくるの3か所だ。
10点満点は、新居浜高校、今治明徳高校、松山北高校、松山北中島分校、伊予高校、内子高校、八幡浜工業高校の7校と、さすが自転車ヘルメット装着率日本一の愛媛県ですね!
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競技終了後にオージーケーカブトの柿山さんより、命を守るための正しい被り方指導があった。自信のない人はこちらでチェックしよう!
実技種目の「8の字スラローム」「スタンディング2m」「20cm × 30mの1本橋」は、雨天につき中止となり新たな種目として、「パンク修理」に変更された。各校に車輪1本が用意され、空気を抜き、チューブを外し再びチューブを入れて、空気を入れるという競技を10分以内に行う。パンクを想定しての競技なのだが、別のチューブに交換するわけではないので、パンク箇所確認(タイヤの裏側を手で確認/チューブを確認)を忘れていて、減点されているのが多かったように思う。
地域の活動や取り組みに関するスピーチ(5分)
テーマは「地域課題」「交通安全」「地域活性化」「新たな価値づくり」のいずれかを選択。ちなみにスピーチの順番はクイズと実技の合計点の低い高校から行われる。
スピーチは、eバイクを使ったツーリングで町おこし、自転車事故を減らすためには、ライドイベントの実施、交通安全マップの作成、通学路の危険な道路を調査し、県への自転車レーン設置の提案、地域交流、地域の魅力発信、新入生歓迎サイクリング、地元食材を使った補給食の開発、サイクリスト向けヘアスタイル、サイクルトレインを使ったルート造成、四国で唯一の国際的なMTBコースで遊ぼう、駅を中心としたサイクリングマップの作成など、昨年よりパワーアップしたスピーチはお世辞抜きに面白い内容だった。また複数の学校が「愛媛県は自転車先進県」というワードを使っているのが自覚と自信があって、すごいなと思った。それにしても審査員の厳しい質問が聞いてるこちらも「もうそれぐらいにしてあげて~」と思えるほど容赦なく続いたが、少数だが質問も想定して準備してた学校もあったように感じた。
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しまなみの起点にはなっているが、市内を散策する人が少ないという課題を見つけ、八十八ヶ所霊場、造船所、わくわく細道、パン屋を実走取材し、寄り道ガイドマップを作成した今治明徳高校。地元食材を使った携帯補給食「カロリーめいとく」の開発など、地元愛あふれる提案に、おっちゃんは、ただただ関心するばかり
上位4校による討論バトル

決勝に進んだのは新居浜東高校、今治明徳高校、弓削高校、松山北高校の4校。そして討論議題は「自転車交通事故を激減させるための方法は?」に決まった。4校ともユニークなアイデアを出し、お互いの問題を指摘し、それに対応する討論バトルは見ているこちらがドキドキするが、険悪なムードとは皆無で、むしろ清々しささえ感じるものだった。それにしても女子のほうが弁がたつのは何でやろ……
9回逆転サヨナラ満塁ホームランの展開に思わず……
弓削高校はクイズと実技で11位だったが「行政、マスコミ、地域の人を巻き込んだイベントを作り、参加者に喜んでもらえた」という起死回生のスピーチで決勝に進出し、討論バトルでも「自転車の歩道走行を禁止し、自転車専用道の新設する」という、まさに2017年、パリ市長が掲げた「自転車専用レーン整備計画」がコロナ禍で一気に進んだことで知られる「パリの自転車革命」のような斬新なアイデアを披露し、他校からのツッコミにも冷静沈着に対応できたのが最優秀賞につながったと思う。
まったく偶然のことだが、筆者は今年の8月に行われた、弓削高校の今回のプレゼンで発表された「eバイクサイクリングツアー」を取材で訪れていた。何故ならば、それは「日本初の高校生によるサイクリングガイドツアー」だったからだ。実際にツアーに参加し、そのホスピタリティとそこに至るまでの経過を聞き、記事を書かせていただいた。
それもあってか、勝手に保護者の気持ちになってたので、優秀賞の発表の瞬間、思わず涙ぐんでしまった。
全国に広まっていってほしいイベント!
警視庁は10月末より自転車の悪質な交通違反について、取り締まりを強化し、これまで「警告」にとどめていたものに「赤切符」を交付し、検挙する方針を固めた。
具体的に取り締まるのは、信号無視、一時不停止、右側通行、徐行せずに歩道を通行の4項目の違反。また、愛媛県では2015年に自転車通学生のヘルメット着用が義務化されたが、今年の4月、道路交通法の一部改正により、令和5年4月27日までに全ての自転車利用者にヘルメット着用が努力義務化される。
コロナ禍を期に全国で自転車利用が増えている昨今、自転車事故も増加傾向にあり、正しい知識や技術を身に付けることを目的とした「自転車甲子園」が全国に広まっていってほしいと切に願う。また、このムーブメントが広がることで、参加した高校生がいつの日か親となり、自分の子供や周囲の人に「自転車の素晴らしさ」を正しく伝えることができるようになれば、いつの日か「自転車先進国・日本」というワードが生まれてくるのではないだろうか。その思いも含め、引き続き「自転車甲子園」を応援していきたいと思う。
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左から【審査委員長】愛媛県副知事 八矢拓さん【特別審査員】国土交通省 自転車活用推進本部 事務局次長 金籠史彦さん
【審査員】愛媛県警察交通部交通企画課長 井出誠志さん、愛媛県教育委員会事務局 指導部長 島瀬省吾さん、 自転車新文化推進協会 参与 上甲俊史さん、自転車新文化スーパーバイザー 門田基志さん
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審査委員長 愛媛県 八矢 拓副知事
「昨年よりもさらに質の高いプレゼンを聞くことができました。昨年の「自転車甲子園」でも多く発表された危険エリアの報告を踏まえ、今年度は道路を修繕する部署に各高校と自治体とで意見交換をし、どういう場所が危険なのか認識をすり合わせるようにお願いしました。今回皆さんが調べたところを是非、学校側にも伝えて、学校側が行政と一緒になって、皆さんの安全を確保していく動きにつながればと考えています。今日は非常に楽しい時間でした」
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国土交通省 自転車活用推進本部 事務局次長 金籠史彦さん
「今日はフレッシュな意見を聞けていい刺激をもらいました。皆さんにお願いをしたいのは、今日のためにいろんなことを調べ、準備し、いろんな人とつながったり、議論したりと一生懸命されたことを今日で終わることなく、今回の学び、刺激を是非ともまわりの人につないでいってほしい
第2回大会の参加校(13校)
新居浜東高等学校、弓削高等学校、今治明徳高等学校、松山北高等学校、松山北高等学校中島分校、松山中央高等学校、松山西中等教育学校、東温高等学校、伊予高等学校、内子高等学校、八幡浜工業高等学校、宇和島東高等学校津島分校、北宇和高等学校(順不同)