南海電鉄のサイクルトレインで和歌山へ! シマノスクエアのライドイベントをレポート
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南海電気鉄道が2022年11月19日(土)、自転車を分解せず乗車できるサイクルトレインを南海本線で実施した。シマノスクエアのイベントに合わせた貸切臨時列車で、参加者はそのままの愛車とともに移動し、和歌山でのサイクリングを楽しんだ。
ターミナル・難波駅のホームに自転車がずらり
「南海電鉄×シマノスクエア 南海線サイクルトレイン2022」と題された今回のイベント。シマノスクエアが和歌山で開催するガイドツアーに合わせて、大阪のターミナル・難波駅から和歌山市駅へのサイクルトレインが片道運行された。午前7時45分の受付時刻には、難波駅の一角にサイクリストたちが集結。自走で訪れた参加者もおり、輪行道具を省いて身軽な様子だった。
これまで南海電気鉄道でのサイクルトレインは、20年ほど前にローカル線の貴志川線で実施されたのみで、本線系統では初めてだという。同社ではサイクルトレインの活用を閑散線対策やイベント列車など模索するなかで、まず共通する課題である安全対策部分から検討しようと、今回のイベントが実現した。イベントを通じて自転車の動線や、通常の乗客との混在時の安全性をチェックした。同社ツーリズム事業部の大幡斉さんは「今回の結果を踏まえて、次年度の取り組みを検討していきたい」と前向きな様子だ。
サイクルトレインの出発時刻は8時42分。時間が近くなると数人ごとに自転車を担いで階段を上り、改札を通過して9番線ホームへ。しばらくすると乗車する4両編成の臨時列車が入線。使用するのは通勤タイプの7100系で、南海本線の現役最古参、昭和48年製のベテラン電車だ。
和歌山を楽しむガイドツアーを実施
サイクルトレインは途中2度の退避停車をはさみつつ、1時間20分かけて10時過ぎに和歌山市駅の4番ホームに到着。こちらでは階段の通過は無く、自転車を押してそのまま駅前に出ることができた。ここからはシマノスクエアが3つのガイドツアーを提供。また、行先自由のフリーライドプランも用意された。
ガイドツアーは、サイクリングと釣りの両方を楽しむ走行距離約25kmの「シマノスクエアと行く RIDE&FISHコース」、サイクリングロードを使って紀の川市までを往復する約48kmの「シマノレーシングと行く 和歌山ライドコース」、辻啓さんと小俣雄風太さんをゲストガイドに迎えた約30kmの「フォトグラファー辻さん&小俣さんと行く 映えるサイクルフォトライド」が実施された。
和歌山ライドコースには、シマノレーシングから湊涼選手、中井唯晶選手、風間翔眞選手、野寺秀徳監督が同行。紀の川サイクリングロードはやや向かい風だったが、野寺監督が程良いペースで先頭を引き、参加者は選手と交流しながら走行。選手もリラックスした様子でイベントを楽しんでいた。
紀の川市内でボリュームたっぷりの昼食を取った後は、桃農園が営むジェラート店へ。シーズン中の食事制限からひととき解放された選手も、そろってフルーツたっぷりのパフェを堪能していた。
今回はサイクルトレインを初めて利用したという参加者が多く、「自転車そのままで電車に乗れるのが新鮮」「和歌山は自走で来るのはハードルが高いので、サイクルトレインで気軽に来られて良かった」「行動範囲が広がるので普及してほしい」といった好意的な感想が聞かれた。少人数のイベントでプロ選手と一日を過ごすなかで、参加者は選手からサインをもらったり、練習方法などの質問をしたりとそれぞれに交流していた。参加者からは「プロ選手も基本、自転車が好きなんだなと印象的だった」「選手が明るく気さくで、レースでも応援したいと思った」といった声が聞かれた。
シマノスクエアは大阪・梅田のグランフロント大阪にショールーム&カフェスペースを構え、サイクリングやフィッシングを通して新しいライフスタイルを提案している。ほぼ毎月開催される「散走」と題した少人数のイベントは、これまで大阪市内が多かったが、最近は郊外に出る形が増えているそう。今後も別路線でのサイクルトレインの活用も視野に入れながら、釣りと自転車の楽しみ方を広げていきたいという。