“富山湾岸サイクリング”参加だけじゃもったいない! 2泊3日の富山じてんしゃ旅
目次
2021年ナショナルサイクルルートに指定された“富山湾岸サイクリングコース”を走行し春の富山湾、食と温泉を満喫してきたぞ~
「ニッポンのじてんしゃ旅 富山サイクリングガイド」発売記念ライド!
筆者の富山初訪問は2021年夏のこと。富山県のサイクリング動画制作のアドバイザーとして、ロケハン、撮影に立ち会い、県全域を車で駆けずり回った。その数日だけではあるが、今まで見たことのない景色、抜群においしい魚と酒、そして穏やかな富山県民の人柄にすっかりどハマりしてしまった……。
ラッキーなことにそこからご縁をいただき、2022年の桜の季節から、海に浮かぶ立山連峰に雪が積もり始める初冬にかけて、季節毎に異なる富山の魅力を伝えるべく取材を繰り返し、サイクルスポーツ本誌で連載する運びとなった。
そして、めでたく2023年3月末に“ニッポンのじてんしゃ旅”シリーズ第8弾となる「富山サイクリングガイド」を3月末に出版したのだが、2021年以来、幾度も富山を訪れてはいるものの、実は一度もサイクリングをしたことがなく(汗)、編集人として名前が印字されているからには、一刻も早く走らなければ……という思いで、今回「富山湾岸サイクリング2023」への参加を決めたのだった。
おしとやかな県民性なのか、PRが控えめな富山県……
最初に言うとくが、これは批判ではない。むしろ筆者は富山の素晴らしさを全国に伝えたいと切に願う関西人だ(関西なんか~い!)。2年前に初訪問するまで、黒部ダムと立山黒部アルペンルートしか知らなかったが(私だけやったらスンマセン……)、前述したように富山は見たことのない景観の宝石箱だった。五箇山(ごかやま)の合掌造り、富山湾の上に雲のように浮かぶ雄大な立山連峰、八尾(やつお)の街並み、あさひ舟川「春の四重奏」、岩瀬の街並み、日本のベニス「内川エリア」、生地(いくじ)の清水(しょうず)めぐり、東山の円筒分水嶺、散居村(さんきょそん)の田植え時期限定の絶景夕陽、、、枚挙にいとまがないほど魅力的なスポットが富山にはあった。しかも東京から富山までわずか2時間で行けることを東京人はあまり知らない……。これは何とせねば!
仕事柄、全国津々浦々あらゆる土地を訪れるが、出版人として、こんなに魅力的なエリアやのに伝わっていないのはもったいなさすぎる……。何とか全国に発信したい!!!
そう思ってたところ、どうやら取材に関わったスタッフ全員も同じように感じていたようだ。その想いが「ニッポンのじてんしゃ旅 富山サイクリングガイド」にぎっしりと詰まっているので、ぜひお手に取ってご覧いただきたい!
東京から富山までわずか2時間て知ってた!?
大会前日、北陸新幹線「はくたか」で今回のスタート地点となる黒部宇奈月温泉駅へと向かう。開湯100周年を迎えるということで、今年は黒部市スタートになったそうだ。
出発時の東京はまさかの土砂降り(涙)。天気予報では富山も100%雨マーク……。しかし、筆者は超がつくほどの「晴れ男」。何の不安も感じることもなく、乗車すること30分、あれよあれよという間に大会当日の予報が晴れマークに変わってきてるやないか……(ドヤ顔)。
東京から2時間ちょい、黒部宇奈月温泉駅に着くと、「ニッポンのじてんしゃ旅」専属モデルで、元部下でもある志磨子が迎えに来てくれていた。どうやら富山に住む友人に会うため、数日前から富山に前乗りしていたようだ。今回の旅は一人ではないので、勝手にテンションは上がる……。
駅前でレンタカーを借り、投宿する「バーデン明日(あけび)」へと向かう。こちらは富山県が指定する「サイクリストに優しい宿」で源泉かけ流しの温泉が売りではあるが、地元食材をふんだんに使った夕食もおいしく、しかもフロントのお姉さんが皆さん可愛くて、しかも愛想がいいという、おっちゃんがメロメロになる要素しかない宿だった。
東京からわずか2時間、サイクリストウェルカムの温泉宿に泊まって、おいしい料理とお酒をいただく……考えただけでも顔がにやけてきますやろ~。
「富山湾岸サイクリング2023」参加レポート
そして、いよいよ大会当日。5:00AMの段階では小雨が振っていた。しかし天気の子ならぬ、天気のおじさんは、何の不安もなく大会会場となる「黒部市総合公園」へと向かう。
今回の旅(大会参加含む)は、「ニッポンのじてんしゃ旅 富山サイクリングガイド」でお世話になった方々にお礼をしたいという裏テーマもあるのだが、会場へ着くなり、次々とお会いすることができ、テンションUP↑。2年前まで、富山に知り合いはまったくいなかったが、それが再会を果たし、ハグしたり、握手したりする仲間ができるなんて、ホンマこの仕事最高やんか……(涙)。
大会は6:30AMに180kmエントリーから、130km、80km、ファミリーコースの順にスタート。小雨交じりながらも、徐々に青空も見え始める。「ええで、ええで」と独りごちる。筆者がエントリーした130kmコースも最初の朝日エイドまでは、小雨が降っていたが、次の入善(にゅうぜん)エイド(40km地点)では雨も上がり、海沿いを青空を眺めながら走った。「神やな、わし……」と独りごちる。
すっかり青空になり気分良く走ってたのだが、50km地点辺りから、強烈な西風が吹き始め、景色を楽しむ余裕がなくなる。こっそりと参加者のお背中を拝借しながら頑張ってペダルを回していると、何と運良く魚津エイド(55km地点)を発見。信号を渡りエイドに入ったその時、いつもの癖ですれ違う女性の顔を見たら、まさかの知った顔が……。2017年に四国一周のプレスツアーでご一緒した、女優の一青 妙(ひとと たえ)さんじゃないスカ! 思わず引き返し、再会を喜ぶと同伴されてる方もまさかの知った顔という(笑)。全員で完走を願い記念写真を撮った。1600名以上エントリーしてるのにサイクルイベントて面白いッスね……。
魚津を過ぎた後は、さらにえげつない向かい風が強度を増したが、途中で出合った60代半ばの東京町田から参加した元気なおっちゃん(アイアンマンレース完走者)とローテーションしながら走り、昼食のドリームスタジオへと到着。何か建物の裏のほうに誘導され、さらに通路みたいなところを通り、パッと視界が開けたその瞬間、そこはまさかの競輪バンクが……。一気にテンション上がるが、傾斜部分は走行禁止となっていた。そりゃそやろな。
昼食の後も、折り返し地点の射水エイド(87km)までは、ずっと向かい風に苦しめられたが、「復路は絶対、楽なはずや!」とおっちゃんと話しながら何とか頑張った。途中、数か所かルートで迷うところもあったが、おっちゃんがガーミンにルートをセットしてくれていたので、一度もルートを外すことはなかった。ホンマに感謝したい。
予想通り復路は完全に追い風となり、楽ちんモードに突入。滑川市ではこれは絶対、旧街道の宿場町やなと言える道を通り、さらにテンションは上がる(後で調べたら「北国街道の滑川宿」と判明)。その後も追い風モードで海っぺりを軽快に走り、途中、地元サイクリストの金岡さんとご一緒したり、17歳の少年と一緒にゴールしたりと幸せな気分で走りきることができた。一つ残念なのは、撮影のため、ストップ&ゴーを繰り返すうちに先ほどのおっちゃんとはぐれてしまい、お名前も聞けてなかったので、ゴール後も再会を果たせず写真を撮り損なったことだ。これからはせめて、ゼッケン番号だけでも覚えておくようにしよう……。
イベント参加だけじゃもったいない、家族やパートナーも楽しめる“富山じてんしゃ旅”
湾岸サイクリング完走後、今回は富山観光をするために後泊することにした。それはこの時期でしか見られない景色や、この時期でしか体験できないエンタメを同伴者と楽しみたいからだ! イベント完走後にすぐ帰宅したいという気持ちは分からないでもないが「でもちょっと待って~、延泊してでも絶対見ておきたい景色が、ここ富山にはあるのよ~w(尾木ママ風)」。
夕食後、イベントのSNS投稿をしつつ寝落ちしてしまったが、志磨子に電話で起こしてもらい、「ホタルイカの身投げ」へといざ出陣! この時期、地元民は、たも網を持って、波打ち際に青白い光を発するホタルイカをすくいに行くのが定番だと聞いていたので、疲れていようが、何が何でも行こうと決めていた。イメージとしては潮干狩りに近いと思うが、それ以上に出くわす確率が圧倒的に低く、神秘的、且つ期間限定の狩猟採集民族体験エンタメだと思うので、来年の湾岸サイクリング大会に行こうと思ってる人は、ぜひとも行ってほしい。残念ながらホタルイカハントは叶わなかったが、志磨子が楽しんでくれたから、ままっ、ええかな……。
ホタルイカハントからホテルに着いた深夜以降、記憶はまったくない……。何故か分からないが、志磨子に「明日はロビー8時集合!」と言い放ったらしい……。翌朝起きたら時計は9時。彼女は8時にフロントで待っていたという……。「ホンマ、スンマセン」この日何回言ったセリフだろう……(汗)。
そんな彼女に気兼ねしつつも、筆者は、チェックアウト後、前からめちゃくちゃ気になってていた、「STAR UOZU」Tシャツを買いに近所のショッピングセンターへと向かう。実は、魚津に後泊した理由はこのTシャツが欲しかったからなのだ。念願の品をゲットし、テンション急上昇↑。楽しい1日の始まりだ。「志磨子、まじでスマン、こんな大人になるなよ!」とは一切言わず、いよいよ富山観光へと向かった。
今回の旅で志磨子には「富山じてんしゃ旅のロケを通じて、この時期にもう一回行ってみたいところをピックアップしといて!」とオーダーしておいた。そしてこの日は、それを基に観光しようと決めていた。彼女のリクエストは「ホタルイカの身投げ」「八尾の桂樹舎で八尾和紙の購入」「あさひ舟川“春の四重奏”」「入善のフラワーロード」「富山湾鮨」「入善 牡蠣ノ星」だった。
「STAR UOZU」Tシャツをゲットして、心に余裕ができたおっちゃんは、彼女の願いを全て叶えるべく、レンタカーのハンドルを握ったのだが、いきなり「八尾の桂樹舎」が月曜休みということで、若干動揺するものの、それならば「東部エリアをとことん楽しもやないか!」と切り替え「入善のフラワーロード」へと向かった。そして突如として現れる壮大なチューリップ畑に同伴者が目を輝かせてくれるのが何ともうれしいやんか。
そして車で移動中、そこからほど近い国指定天然記念物「杉沢の沢スギ」の看板に反応してくれたので、ついでに寄ることに。特に期待することなく行ってみたのだが、黒部川末端部の豊富な湧水地に立地する杉林で、入った瞬間、近隣より明らかにひんやりとするのが実感できるほど自然の恵みを感じられるスポットだった。
次は「あさひ舟川“春の四重奏”」へと向かう。移動時間は20分ほど。今年は全国的に桜の開花が早く、すでに富山の桜も終わっているのは分かっているのだが、一度は見てみたいと思っていたスポットだ。
時計を見ると、すでに12時半を過ぎていた。「腹が減った~」。富山湾鮨か牡蠣で迷ったのだが、二人とも無類の牡蠣好きということが判明したため、再び入善に車を走らせる。やはり移動距離は20分ほどだ。このコンパクトなエリアで充実の観光スポットが点在するのも珍しいんとちゃうかな。うらやましい限りだ。
入善 牡蠣ノ星に到着したのは13時。月曜日にもかかわらず、ほぼ満席だったが、すぐに席に案内してもらう。牡蠣専門店だけに、焼き、蒸し、生、フライ、牡蠣ご飯と種類が豊富だ。少し迷いながらも再訪の志磨子にリードしてもらいオーダーしたのだが、たまたま担当していただいたベテランお姉さんの対応が神レベルで、牡蠣の開け方はもちろんだが、食べ方は焼きも蒸しも「塩がイチオシ!」とアドバイスしてもらって食べたところ、それが抜群においしくて、もちろん牡蠣そのものが新鮮でプリプリというのもあるが、今まで食べた牡蠣のなかで、間違いなくNo.1だった。
最高の昼食を食べて、ほぼ放心状態となった二人だが、もう少し時間があったので、昨夜のリベンジを果たすべく滑川の「ほたるいかミュージアム」へ行くことに(笑)。カーナビで検索すると30分ほど。これまた近いな! 富山、おそるべし……。
ここは世界で唯一、ホタルイカの生態系を学ぶことができるミュージアムだ。5月末まで、ホタルイカの発光ショーも実施している。ちなみに志磨子は昨年の4月のロケで、予約必至の「ほたるいか海上観光」に向かったのだが、風が強くまさかのDNSという残念な結果になっている(涙)。
2泊3日の富山旅もいよいよ終わる。個人的にはナショナルサイクルルート「富山湾岸サイクリングコース」を走ることができたし、温泉にもつかり、うまいもんをたくさん食べれたし、楽しさ満開のじてんしゃ旅だった。帰宅すると志磨子から「今回も楽しい旅をありがとうございました!」のメッセージが来た。
“富山湾岸サイクリング”参加だけじゃもったいない!2泊3日の富山じてんしゃ旅。サイクリング&観光を楽しむひとが少しでも増えることを一人の富山ファンとして切に願う。今度は西側に行こかな……。