羽田空港跡地にサイクリング拠点設置を検討 試走会を実施
かつて羽田空港の敷地だった跡地は現在あまり活用がされておらず、そこに「羽田空港公園」を設置するべく整備が進められている。そこへサイクリング拠点も設置できないかという検討もなされており、2023年6月30日に関係者約30人が集まった試走会が開催された。多摩川サイクリングロードから羽田空港までをつなぐルートも将来的には実現できないかなどの意見交換もなされた。
羽田空港公園の予定地は、東京モノレール・天空橋駅の南側に広がる場所にある。今回の試走会は東京都大田区が主催したもので、国土交通省の職員や地元大田区の関係職員、自転車業界関係者などが参加した。羽田空港公園予定地をスタート地点とし、羽田空港と周辺の見所スポットを巡る約10kmのコースを、電動アシスト自転車などに乗って巡り、課題点などを検討した。
羽田空港第3ターミナルビルの前を自転車を押して通行していたところ、入り口で自転車をバラバラに分解して飛行機輪行してきた外国人観光客と偶然居合わせた。この空港はセキュリティの観点から自転車の乗り入れは禁止されているが、今後インバウンドの観点で自転車の通行が認めらた通路などが完成すれば、自転車で東京を巡る外国人観光客の集客につなげられるかもしれない。
今回の試走会に参加した、奥多摩近辺でレンタサイクルとサイクリグツアーサービスを展開する「トレックリング」の沼倉正毅さんは、「奥多摩駅をスタートし、多摩川の上流から河口までを巡るレンタルeバイクでのサイクリングツアーを今後展開できないかの視察もかねて参加しました。ここにサイクリング拠点ができれば、飛行機も間近に見られて楽しいですし、いろいろな可能性が広がりそうです」と話す。
当日飛び入りで参加した地元大田区在住のロードバイク乗りの男性は、「スポーツ自転車に乗る者の意見としては、やはり多摩川沿いを自転車で安心して走れる環境を作ってほしいということです。東京都とその近辺のサイクリストがわざわざ羽田空港まで自転車で行くことはあまり考えられませんね」と話していた。
さまざまな意見が出たが、いわゆる多摩川サイクリングロードが延長されていつか完成するであろうこの公園までスムーズにくることができるようになれば、東京西部のサイクリング環境はがらりと変わるだろう。また、空港から自転車の通行ができる環境が整えば、インバウンドの集客の可能性も大きくなる。今後この公園予定地がどのように整備されていくのか、そして周辺環境がどう変わっていくのか、注目したい。