木曽おんたけグランフォンド 秘境のロングライド
目次
まったく、毎日暑くてたまんないよな……。そんな会話を挨拶代わりに交わす毎日。そこから抜け出せるイベントがある。
長野と岐阜の県境付近、木曽、王滝村。SDA王滝や、トレイルランニングの大会会場として知られるエリアだ。チャレンジングな大会が多く開催されるエリア。そこで、ロングライドイベント「木曽おんたけグランフォンド」が開催された。
今年で2回目の開催となるこのイベント。コースは正直……、きつい。でも、ここには、ねっとりと肌に絡みつく暑さも。ドライヤーから吹き出すような熱風もない。アラフォー筆者が、子供の頃に知っている日本の夏がある。
コースは、SDA王滝の会場としても使われる、松原スポーツ公園をスタートゴールとして、谷間と3つの峠を超えるというもの。スタート後は、木曽川沿い旧中山道まで下り基調でスタート。いいウォーミングアップだ。
酒蔵である中善酒造店が最初のエイド。甘酒が振る舞われる。清廉な木曽の水で作られたおいしそうな日本酒が並ぶが、おあずけだ。
そこから上りが始まる。飛騨街道をどんどんと上って最初の峠である地蔵峠を超える。下りの途中にある展望台からは、御嶽山をのぞむ。
下ったところで、蕎麦とブルーベリーのエイドを楽しんだら2つ目の上りである長峰峠へ。その先は岐阜県高山市。ここはそれほど上りがきつくないが、最後にこのコースのKOMが待っているので抑え気味で上る。この先にイベント唯一の関門が設定されている。
そして、最後の上りは柳蘭峠を経て、飛騨御嶽尚子ボルダーロード石碑へと至る約8kmの上りだ。1793mの頂上にはエイドが用意されていて、眺望を楽しみにながら、郷土料理を味わうことができる。あとは、スタート地点まで下り基調で(途中ちょっとだけ上るけど)ビューンとフィニッシュだ。
郷土料理の大平(おおびら、写真左)が、頂上地点のエイドで振る舞われた。干し椎茸と鶏肉で出汁をとるすまし汁。地元では冠婚葬祭で食べられる料理。具材の切り方に特徴があって、お祝い事の時は角が3つあるような形に切る。葬式では四角形になるように切るというのが大平の様式とのこと。出汁が効いていて、上りで疲れ切った体にスイスイをしみこんでいく。非常に食べやすい。五平餅と、みそきゅうりも付いてきた!
手元のデータを見ると距離118km、獲得標高は1800mちょっとという記録だった。かなりの秘境ゆえに、壮大な景色を楽しめる。イベントではなく、ソロで走るにはそれなりの、プランニングと補給の携行が求められるが、イベントで走ることで、エイドの心配がない。このエリアの初心者におすすめ。
このイベントのために練習してきました
スクアドラ志賀守山店のお客さんたちが、グループで参加。去年も参加したメンバーからの「景色もいいし 走りやすい」という評判で、今年もお店の有志を誘い合って参加したそう。今年もやっぱり景色は最高。エイドで出される蕎麦の量がちょうど良くなっていた(去年はそばが一人前だったらしい)。上りが厳しいこのコースのために、練習を積んで参加したという方も無事に完走!
エイドも景色も最高
松本市のスポーツバイクショップ「バイクランチ」のスタッフと、お客さんご一行。普段は、松本を拠点に走っている皆さんは、王滝村に初訪問だそう。いざ走ってみると、その涼しさに驚いていた。「松本では汗だくになりながら走るけれど、この清涼感はすごい」とのこと。エイドで振る舞われる食事がどれも美味しいし、大平が出されるのが、コースの最高地点で、後半に向けて下りはじめる前というのは「タイミングがばっちり!」 と太鼓判。もちろんその味も大好評だった。景色は言わずもがな!
大会プロデューサー鈴木雷太さん「やっと”1回目”が開催できた」
東京五輪選手の最終合宿を、今回のイベントで走ったエリアで実施しました。そのときに、サイクリングにとてもいい環境であることに気がつきました。景色がいいのはもちろん、交通量も少なくて走りやすい。そして夏でも清涼感を味わえる。長野県内でも、涼しいエリアです。前回大会は、準備期間の関係で秋に開催しましたが、私自身は夏に開催してこそ、このエリアの魅力を感じてもらえると思っていました。今年それが実現できて、やっと”1回目が開催できた”という思いです。