シマノ鈴鹿ロード2023 ビギナーもガチ勢も楽しんだ2日間

目次

サイクリストにとって夏の風物詩とも言えるシマノ鈴鹿ロードが今年も8月19日〜20日の日程で開かれた。表彰台を目指すガチ勢もレース初参加のビギナーも、老若男女が楽しんだ自転車の祭典をレポートする。

トップアマチュアのステージレース5ステージ・スズカ

シマノ鈴鹿ロードは、アマチュアサイクリストの晴れ舞台。このレースの表彰台に立つことを目標に練習に励むサイクリストも少なくない。

そんな中でも、JBCFプロツアーやエリートツアーの上位クラスで走るようなトップクラスのアマチュアレーサーによるステージレースが5ステージ・スズカだ。2日間で個人TTやチームTTを含む全5ステージ、総距離106.2kmを走るアマチュアレースでは珍しいステージレース。1チーム4〜6人で構成し、ステージ優勝だけでなく個人総合時間賞、団体総合時間賞を賭けて戦う。今年から個人総合ジュニア賞も新設された。

今年は個人総合時間賞、団体総合時間賞とも最終ステージまで混戦となり、第5ステージも各チームの思惑が入り乱れる手に汗握る戦いとなった。個人総合時間賞は第4ステージまでトップだった川崎嘉久選手(Nerebani)が手堅い走りで死守。団体総合時間賞はNerebaniがTHE LAST TORORO STARS(Igname)を最終ステージで逆転して獲得した。

2023シマノ鈴鹿ロード

2023シマノ鈴鹿ロード5ステージ

 

女子カテゴリーもアツい

女子選手だけで争われるカテゴリーが設けられる種目もある。小学生の各クラス、2周の部、3周の部、1時間サイクルマラソン、シマノ鈴鹿ロードレースクラシック女子エリートという個人種目だけでなく、チームタイムトライアルや2時間エンデュランスなどのチーム種目にも女子カテゴリーがある。

チーム種目の2時間エンデューロでは仲間と和気あいあいと走るチームも少なくないが、チームTTでは本格的なTTバイクを投入する気合いの入ったチームもあった。

2023シマノ鈴鹿ロード女子チームTT

2023シマノ鈴鹿ロード女子チームTT

2023シマノ鈴鹿ロード女子チームTT

 

国内トップレーサーによる戦い、シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

シマノ鈴鹿ロードと併催されるシマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子は、シマノレーシングやJCLチームUKYO、マトリックス・パワータグ、宇都宮ブリッツェン、ヴィクトワール広島、キナンレーシングチーム、埼玉那須サンブレイブといったJBCFプロツアーやJCLに所属する国内トップチームの選手たちによるレースだ。

今年はレース中盤に11人の逃げが決まり、さらに終盤にその中からチームUKYOの小石祐馬選手と岡篤志選手、愛三工業レーシングチームの鈴木譲選手の3人が飛び出し、最終周回で岡選手が単独で逃げ、それをメイン集団が追う形となった。

2023シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

2023シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

2023シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

2023シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

最終コーナーを立ち上がったあとのホームストレートで岡選手は吸収され、優勝はスプリント争いとなり、スパークル大分の沢田桂太郎選手が優勝、2位にも同チームの黒枝咲哉選手が入り、ワンツーフィニッシュを飾った。

前日の土曜日に開催されるチームTTのJCF登録クラスにもシマノレーシングや宇都宮ブリッツェン、ブリヂストンアンカーなどのチームが参戦。次元の違う走りを見せた。

2023シマノ鈴鹿ロードレースクラシック男子

選手たちはレース前にスポンサー企業が出展するPRブースにあいさつ回りに出ることが多く、運がよければサインや記念撮影にも応じてくれる。自分が走るだけでなく、トップ選手の走りを間近で見ることができたり、選手たちとふれあうことができるのも、シマノ鈴鹿ロードの魅力と言える。

歴代バイクとチームジャージが並んだシマノレーシング創設50周年記念展示

今年はシマノレーシング創設から50周年の節目の年にあたり、会場ではシマノレーシング創設50周年記念展示が行われた。大阪府堺市のシマノ自転車博物館の全面協力で、歴代のチームバイクと同時期に選手たちが着用したチームジャージがずらりと並んだ。

同館の事務局長でシマノレーシングの初代メンバーの長谷部雅幸さんは「オールドファンには懐かしく感じてもらえ、それ以外の方も『自分はこの時代以降なら知っている』と関心を持ってご覧いただいている。シマノレーシングの伝統を展示を通じて感じていただきたい」と話した。

2023シマノ鈴鹿シマノレーシング50周年記念展示

 

キッズイベントやお役立ち講座などレース以外の楽しみも

シマノ鈴鹿ロードは、小学生や中学生のためのレースのほか、未就学児のためのミニレース・ミルキーもある。国内トップ選手の中には「初レースはシマノ鈴鹿ロードだった」という選手も実は多い。

レースだけでなく、子どもたちが楽しめるイベントもある。中でも人気なのが自転車の安全な乗り方や集団走行の基礎を学べるウィラースクール。今年で17回目というおなじみのイベントで、未就学児と小学生が対象の子ども向けと大人向けのスクールが行われている。毎回国内トップ選手が講師としてスクールを手伝い、直接指導する場面もあるが、レースに参加する選手は無料で受講できるため、毎回定員がいっぱいになるほどの人気だ。

2023シマノ鈴鹿キッズイベント

2023シマノ鈴鹿キッズイベント

2023シマノ鈴鹿キッズイベント

レース以外のイベントが充実しているのもシマノ鈴鹿ロードの魅力だ。自転車関係のブランドや自治体・企業などがブース出展するPRブースは、各ブランドの製品が展示されるだけでなく、話題のバイクやホイールの試乗、ヘルメットやシューズなどの試着もできるとあって、サイクルショーのような雰囲気。会場特別価格での物販も行われる。「レースもいいけどブース巡りが楽しみ」という人がいるほどの人気だ。

また、無料で受講できる知っ得講座も人気だ。今年はサイクルライフナビゲーターの絹代さんが疲労回復をテーマに、管理栄養士の河南こころさんがウェイトコントロールをテーマにそれぞれ講座を行った。レースに出て無料のイベントもめいっぱい楽しめるシマノ鈴鹿ロードは、非常にタイパ・コスパに優れたイベントと言える。

2023シマノ鈴鹿講座

 

参加者の声

●フォーチュンバイクの皆さん

フォーチュンバイクの皆さん

東京都江東区のスポーツ自転車専門店・フォーチュンバイクの皆さんは、毎年東京から団体で参加し、チームオフィスも毎年借りている“常連”さん。今年は荷室にサイクルキャリアのある観光バスをチャーターし、20人以上のメンバーで参加した。「みんなでバスをチャーターして遠征するという非日常感がいいんですよね」と錦織大祐店長(最前列左から3人目)。
今年はチームから朝倉寛史さん(最前列中央)が土曜日の3周の部1組で2位に入るなど盛り上がった。「レースは年1回シマノ鈴鹿に出場するだけですが、今年は鈴鹿サーキットの走り方を熟知する佐野淳哉選手のレッスンを受けて万全の態勢で臨んだ。作戦がはまって2位になれたのはうれしいですが、来年は優勝したいです!」と朝倉さん。

●みんカフェサイクリングクラブの皆さん

みんカフェサイクリングクラブの皆さん

静岡県湖西市の浜名湖のほとりにある「はまなこみんなのカフェ」の店長・岡井詠子さんと自転車仲間の松尾揚子さん、沼田信子さんの3人で結成した「みんカフェサイクリングクラブ」の皆さん。土曜日に岡井さんと松尾さんは2時間エンデュランスのレディスクラスに出場し、4位入賞したものの「表彰台を逃して悔しい」と岡井さん。お話をうかがったのは日曜日のチームTTレディースのコース入場前のタイミングでこのレースの目標をうかがうと「表彰台に立つこと!」と即答。レースは僅差の4位となったものの、3人がまとまって走るチームワークの良さが印象的だった。

●ぶるー・のまーず&リングッドマンズの皆さん

ぶるー・のまーず&リングッドマンズの皆さん

2時間エンデュランスのピットで、ラーメン二郎のトッピングを思わせる「ニンニクマシマシアブラギガマックス」とカタカナでプリントされたそろいのTシャツを着て存在感を放っていた4人。大阪の会社の同僚といい、自転車歴はみんな6〜7年と長いものの、「シマノ鈴鹿ロードに出場するのは今回が初めて」とのこと。4人は同じチームではなく、ぶるー・のまーずとリングッドマンズというチームに分かれて参加し、2時間エンデュランスの前にチームTTも走ったそう。たっぷり走ったこの日は「アブラギガマックス」のトッピングでも問題なし!?