バイシクルコーヒーの創業者が来日! ブランドの理念や思いを語る

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コーヒーを淹れるマット氏

2009年に米カリフォルニア州オークランドで創業したバイシクルコーヒー。その東京支店となる「バイシクルコーヒートーキョー」のリニューアルオープンにあたり、創業メンバーのMatthew Mckee氏が来日した。4月6日(日)に行われたイベントにおいて、サステナブルコーヒーを扱うようになったきっかけや理念などを聞くことができたので、その内容をお届けしよう。

サンフランシスコのベイエリアで創業

皆さんは「バイシクルコーヒー」をご存じだろうか。今から16年前の2009年、アメリカ・カリフォルニア州のオークランドで誕生したコーヒーのブランドであり、フェアトレードによって取り引きされた最高品質のオーガニックコーヒーを販売している。これ自体は決して珍しくはないが、彼らは自分たちで焙煎した豆を、環境負荷の少ない自転車で得意先に届けていることが最大のポイントだ。ゆえにブランド名もそのまま「バイシクルコーヒー」になったという。

バイシクルコーヒーが販売しているコーヒー豆

バイシクルコーヒーが販売しているコーヒー豆。生豆はオークランドから船便で届けられ、店内にある10kg釜のロースターにて焙煎を行っている。なお、パッケージには生分解性100%のバイオプラスティックを使用

3月にリニューアルオープンしたトーキョー

東京支店にあたる「バイシクルコーヒートーキョー」は葛飾区金町にあり、3月1日にリニューアルオープンしたばかり。経営母体は、カナダ発のサイクリングアパレルブランド「セブンメッシュ」などを取り扱う輸入代理店のサンウエストで、バイシクルコーヒーとの付き合いは2012年にスタートした。

バイシクルコーヒーの外観

8階建ての新築ビル「レイオーバー金町」の1階にバイシクルコーヒートーキョーが入る。江戸川サイクリングロードからも近く、店の内外にサイクルラックが用意されている

リニューアルオープンに伴い、創業メンバーの一人であるMatthew Mckee氏(以下マット氏)がオークランドから来日した。新店舗を見たマット氏は「想像以上にクールだね。2階のスペースからは立体的に店内を見下ろせるし、くつろげる場所が自由に選べる。ここトーキョーのメンバーは本当に素晴らしいよ!」と、率直な印象を語ってくれた。

カウンターに施された独特なパターン

店内のカウンターに施された独特なパターンは、グアテマラの伝統的な織物からインスパイアされたもので、コーヒーが育つ風景やそこで働く人々の文化を反映しているという

2階からの眺め

2階の一部スペースもカフェの客席として開放されており、こうした眺めの良さもマット氏のお気に入りポイントだという

マシュー・マッキー氏と清水大輔さん

右がMatthew Mckee氏。左はバイシクルコーヒートーキョーの清水大輔さんで、昨年もオークランドにあるヘッドクォーターで研修を受けている

リーマンショックが開業のきっかけに

「1990年代、私はエスプレッソで有名なシアトルで過ごしていたので、コーヒーは身近な存在でした。2001年に移り住んだサンフランシスコではハンドドリップコーヒーがはやっていて、仕事でストレスを感じた時にはブラックを飲むようになりました(笑)。ただ、本格的にコーヒーと向き合うようになったのは、弟と一緒にコスタリカやパナマなどを巡っていたときですね。当時、弟はナイトクラブを2軒経営していて、その内装を私がデザインしたんですが、そこを売って中南米あたりにツリーハウスビレッジを作って移住しようと考えていたんです」(マット氏)

バイシクルコーヒートーキョーで腕を振るうマット氏

バイシクルコーヒートーキョーで腕を振るうマット氏。陶器製のオリジナルドリッパーはオークランドのヘッドクォーターでも使用されており、販売も行っている

「中南米で見たのは、貧困にあえぐコーヒー農家の現実でした。販路を持たないので安く買い叩かれていたんです。それと同時に我々を襲ったのは、サブプライムローン問題やリーマンショックでした。ナイトクラブの買い手がいなくなったため、私たちはコーヒー農園で学んだことを生かすべく、社会に貢献できる手段として“バイシクルコーヒー”のコンセプトを思い付きました。それに共感してくれたのがサンウエストの皆さんで、我々の理念を正しく理解してくれていることから、今では安心してブランドを任せています」(マット氏)

トレーラー付きeバイクに乗るマット氏

実際にデリバリーで使用しているトレーラー付きのeバイク、スペシャライズドの「TURBO VADO SL(ターボバドエスエル)」を駆るマット氏

日本のサイクリストは「ラッキー」

最後に、日本のサイクリストに向けてメッセージをいただいた。
「私はこれまでに世界中の国を巡ってきましたが、日本は安心して自転車に乗れる数少ない国の一つなんです。だから、皆さんは本当にラッキーなんですね。これからもぜひ安全にサイクリングを楽しんでください!」(マット氏)

バイシクルコーヒートーキョー

バイシクルコーヒートーキョーのスタッフと記念撮影。JR金町駅から徒歩7分の距離にあり、カフェの営業時間は8:00~18:00。定休日は月曜日(祝日を除く)