キャニオンから新型「グレイル」発売 “あらゆる面から速さを実現する”グラベルレースバイク

目次

キャニオンのグラベルバイク「グレイル」が第二世代になった。ハンドリング、エアロ性能、パワー伝達と反応性、快適性を備えるフレーム、そしてカスタマイズ機能によって、あらゆる種類のライドや地形において、ハイスピードで走破する喜びをもたらす。

新型グレイル

photo:茂田羽生

キャニオンの新型グレイルを動画で紹介

IMPRESSION:王道形状を取り入れて先代から全方位的に正常進化

個人的に2階建てハンドルの先代グレイルに乗っている。新型はそのハンドルを捨て新しいハンドルになり、ケーブル内装が進んで、空力面・重量面で進化していると感じた。直進安定性は高いのにレーンチェンジなどの際の反応がよく、上りも飛ぶように走り、高速巡航性能も向上している。先代グレイルは舗装路も未舗装路も軽快に走るが、新型は高い走破性はそのままに軽快さに磨きがかかった。今回の試乗車は自分の適正よりサイズが小さかったから、適正サイズに乗ったらさらに好印象だろう。新機構ではダウンチューブのストレージがよい。サドルバッグで携行している荷物が余裕で収まった。実際のライドの条件で空力性能が損なわれないよう、荷物の携行方法まで考慮している点は素晴らしい。

グレイルに乗る浅野さん

photo:茂田羽生

RIDER 浅野真則

ロードバイクばかり乗っていたが、2年ほど前に試乗した先代グレイルが気に入りすぎて私的に購入。日々のライド、グラベルレースやイベント、撮影など、グラベルバイクに乗りまくる。

新型グレイルの詳細

二階建てハンドルが特徴のキャニオン初のグラベルバイクである初代グレイル(最大タイヤ幅42mm)が2018年に発売されて以来、グラベルシーンは大きく進化、拡大を遂げている。2021年にはアンダーバイキングやバイクパッキングに対応できる、グリズル(最大タイヤ幅50mm)がリリースされた。

初代グレイル

初代グレイル。当面の間継続生産される

グレイル

ドロッパーポスト付きモデルもあるグレイル

2022年には第一回UCIグラベル世界選手権が開催され、2023年にはUCIグラベルワールドシリーズが開幕。バイクの走行パフォーマンスが要求される一方で、他の多くのグラベルイベントやレースもあり、それぞれ必要な性能や機能が異なりる。そのため、ライディングする地形や路面、イベントの特性に合わせてカスタマイズ可能なバイクが必要となった。新型グレイルはこれに応えるようなものとして開発された。

新型グレイル

新型グレイル

最大タイヤ幅42mmの新型グレイルは、スピードと軽さを第一に追求する場合、すべての装備を取り外してシンプルに。そこから、補給食や携行品のためのストレージを追加したり、パンクやメカトラ対策のための装備をフレームに内装したり、長距離ライドのためのエアロバーを取り付けたりと、グラベルライドの性質に合わせてカスタマイズできる。

ピーター・ステティナ

新型グレイルの開発において重要な役割を果たした、プログラベルレーサーのパイオニア、ピーター・ステティナ

グレイル

新型グレイルは3クラスのグレードからなる。ハイエンドモデルは、キャロリン・シフをアンバウンド・グラベル200優勝に導いた「CFR」。アッパーミドルクラスとして、CFRと同じ機能特徴を備える「CF SLX」。エントリーミドルクラスとしてコストパフォーマンスに優れる「CF SL」をラインナップする。

エアロダイナミクス

SBT GRVL

レース距離227km、獲得標高3000mのアメリカのグラベルレース、SBT GRVLで2位入賞したキャニオンライダーのペトル・ヴァコック(チェコ)の平均速度は時速38kmだった。しかも、ロードレースと比較して集団の人数は小さく、単独走行となる時間も多くなる。つまり、グラベルレースでは、ロードレースと同等もしくはそれ以上に空力が重要となる。

そのため、前方投影面積が大きくなる初代グレイルの二階建てハンドルを新型グレイルでは採用しないなど、グラベルライド環境下での速さをあらゆる面から追求した。結果として、新型グレイルは初代と比較して空力性能が向上しているという。

カスタマイズ可能なパッケージ

エアロバーを付けたグレイル

新型グレイルは高度にカスタマイズ可能なパフォーマンスグラベルバイクを目標としている。

ロードフィドロッククイックローダー

フレーム前三角にフィドロックマグネットシステムでスピーディに脱着できるフレームバッグ「ロードフィドロッククイックローダー」を装着すれば、空力をさらに向上できる。

ロードダウンチューブストレージ(CFR、CF SLXに搭載)

ロードダウンチューブストレージ

ダウンチューブに設けられたハッチ裏側には、キャニオンミニツールを標準装備。別売のトピーク・マイクロロケットポンプを装着可能。

ロードツールパック(CFR、CF SLXに搭載)

ロードツールパック

防水処理が施れたロードツールパックには、ロードツールスリーブ(どちらも標準装備)を収納可能。タイヤレバー、CO2カートリッジ、CO2インフレーター、TPUチューブ(いずれも別売)を収納できる。

ロードフォークスリーブ
重量増、そして振動吸収性能の低下を招くフロントフォークマウントを排除。代わりに、必要な時だけ取り付けできるスリーブ構造のマウントにより、ボトルやギアを片側最大3kgまで搭載できる。

トップチューブ・ダウンチューブのマウントポイント
グリズル同様、トップチューブバッグを直付けできるトップチューブマウント、3つ目のボトルケージを装着できるダウンチューブマウントを備える。

ディフェンドファストフェンダー
悪天候のライドにおける快適性を向上させる専用フェンダーをクリーンに装着可能。フェンダーを装着しても最大タイヤ幅42mmは変わらない。

ダブルドロップバー

ダブルドロップバー

ダブルドロップと名付けられた新しいシルエットの一体型コクピット。グラベルでの振動吸収性能、そして長時間のライドでの快適性、ハイスピードでラフなライドを安定してコントロールするためのエルゴノミクスを備えている。

ダブルドロップバーには3種ある。CFR、CF SLXに標準装備、ギアグルーブ搭載の「CP0039」、CF SLに標準装備、ギアグルーブ非搭載の「CP0034」、ギアグルーブを搭載し別売りとなる「CP0047グラベルコクピット」だ。

ギアグルーブには、GPSコンピュータやスマートフォンに加え、TTバイク「スピードマックス」に搭載する調整可能なエアロエクステンションを含む幅広いアクセサリーを装着できる。

ダブルドロップバーにサイコンを装着 ダブルドロップバーにエクステンションを装着

振動吸収性能、エアロ、軽さ、パワー伝達、メンテナンス頻度低減のバランス

グレイル

長距離ライドやオフロードでのライドにおいて、疲労を抑えるための振動吸収性能は重要だ。しかし、エアロ、軽さ、パワー伝達・機械的構造を排除しメンテナンス頻度を低減させることもレースバイクとして必須の性能だ。そのため、新型グレイルのシートポストでは、アルティメットと同形状のDシェイプシートポストを採用。これによって、初代グレイルのVCLS2.0リーフスプリング式シートポストから42gの軽量化を果たしながら、カーボン積層の変更により振動吸収性能を向上させている。

一定したコーナーリングを実現するジオメトリ

グレイル

初代グレイルとグリズルは、エンデュランスロードバイクのエンデュレースを基礎としたジオメトリーを採用していた。しかし、新型グレイルでは、新世代のグラベルレースバイクとして求められる安定感と自由自在のシャープなハンドリングを実現するために、軽量オールラウンドロードバイクの「アルティメット」とクロスカントリーMTBの「エクシード」とを組み合わせたようなジオメトが新たに開発された。初代グレイルから、ホイールベースを27mm延長、ヘッド角を1°寝せた71.5°に設定(S〜Lサイズ)。トレイル値は69mmに設定されている(S〜Lサイズ)。

最上位モデルの「CFR」

キャロリン・シフ

アンバウンド・グラベル200で優勝したキャロリン・シフ(キャニオン・コレクティブ)

グレイル初となるハイエンドのグレイルCFR(キャニオン・ファクトリー・レーシングの略)は、これまでにキャニオンが製造した中で最速かつ最も効率的なグラベルバイクだという。最高品質のカーボンを用いて精密な製造プロセスで生産されるCFRは、少ない材料でフレーム剛性を高めている。CF SLXと比較し(Mサイズ平均重量)、フレームセットで118g軽く(フレーム重量はCFR 855g、CF SLX 933g、CF SL 953g)、BB剛性、ヘッドチューブ剛性は10%、フォーク剛性は4.5%高い。

下記に加えて、カシア・ニエウィアドマ(キャニオン//スラムレーシング、ポーランド代表)が、GRVL DZZL(グラベル・ダズル迷彩)デザインのグレイルCFRでUCIグラベル世界選手権を制覇。激坂を攻略するために、ギヤレシオを46T、10-52Tとカスタマイズしている

2位に15分以上の差をつけたキャロリン・シフ(キャニオン・コレクティブ)のアンバウンド・グラベル200優勝や、ティファニー・クロムウェル(キャニオン・スラムレーシング)のUCIグラベルワールドシリーズの優勝でも性能が実証されており、こうしたプロの活躍を称えて、GRVL DZZL(グラベル・ダズル迷彩)デザインのアートワークを採用した世界限定70台の「グレイルCFR LTD」も発売される。

新型グレイルのラインナップ

グレイルCFR LTD

グレイルCFR LTD(世界限定70台)
価格:126万円
カラー:グラベルダズル
コンポーネント:スラム・レッドAXS XPLR 1×12S、クオーク・スパイダーパワーメーター
重量:8.04kg

グレイルCFR AXS

グレイルCFR AXS
価格:100万9000円
カラー:ヘールボップ
コンポーネント:スラム・レッドAXS XPLR 1×12S、クオーク・スパイダーパワーメーター
重量:8.04kg

グレイルCFR Di2

グレイルCFR Di2
価格:87万9000円
カラー:マーズアタック
コンポーネント:シマノ・GRX Di2 2×11S
重量:8.30kg

グレイルCF SLX 8 AXS

グレイルCF SLX 8 AXS
価格:66万9000円
カラー:サンドグレイン
コンポーネント:スラム・フォースAXS XPLR 1×12S
重量:8.14kg

グレイルCF SLX 8 Di2

グレイルCF SLX 8 Di2
価格:62万9000円
カラー:メタルグラインド
コンポーネント:シマノ・GRX Di2 2×11S
重量:8.50kg

グレイルCF SL 7 AXS

グレイルCF SL 7 AXS
価格:43万9000円
カラー:クイックサンド
コンポーネント:スラム・ライバルAXS XPLR
重量:9.82kg

グレイルCF SL 8

グレイルCF SL 8
価格:37万9000円
カラー:ストーングラインド
コンポーネント:シマノ・GRX820 1×12S
重量:8.74kg

グレイルCF SL 7
価格:33万9000円
カラー:ストーングラインド
コンポーネント:シマノ・GRX610 2×12S
重量:9.22kg

※重量はMサイズ完成車平均重量。価格については、ドイツから日本への配送料2万4300円が別途かかる。ドイツのキャニオン社から直接購入し個人輸入する形態となり、日本の消費税をキャニオン社は領収しないため、表示価格には日本の消費税は含まれない。消費税額は輸入通関時に税関にて個別に決定されるため事前には分からない。なお、自転車の関税は無税。消費税は注文品を受け取る際、配達員へ現金にて支払う。

キャニオン公式ストアの新型グレイル特設ページ

新型グレイルの試乗会、イベント出展での実車展示を開催

新型グレイル試乗会

キャニオン東京テストセンターでの試乗モデルに新型グレイルCFR、CF SLXが登場。事前予約制でじっくり試乗できる。

試乗会開催日:
2023年10月21日(土)、22(日)

アクセス:
キャニオン東京テストセンター
〒192-0362 東京都八王子市松木51−7
京王相模原線京王堀之内駅から1km(徒歩12分)。多摩ニュータウン通り沿い。南多摩尾根幹線道路(尾根幹)ぐりーんうぉーく多摩の交差点から約2km。

参加費:
モデルにより1500円、2000円、2500円/回(1回の貸し出し枠は1時間単位で実走時間40分間)

試乗予約ページ

乗る練習

キャニオンバイクを使用する乗る練習チームの「乗る練習 赤字解消フェス」に、キャニオンが出展。新型グレイルCFR 2XSサイズの実車展示と、パーツ、アクセサリー、試乗車のガレージセールを行う。

開催日:
2023年10月21日(土)18:00〜22:00

アクセス:
+PLUS LOBBY日本橋
東京都中央区日本橋横山町6-14

乗る練習 赤字解消フェスの詳細はこちら