マックオフ純正、超音波チェーン洗浄&超音波注油サービス
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ケミカルメーカーのマックオフが、イネオスグレナディアーズ、EFエデュケーションやスポンサードしていたトライアスリート、英国自転車競技連盟など、トップアスリートにしか行ってこなかったサポートが、一般サイクリストにも解禁される。
それがマックオフの「ウルトラソニックチェーンメンテナンス」だ。11月のサービス開始を前に、メディア向けに体験会が開催された。そこで紹介されたプロセスを紹介する。
超音波洗浄機によるクリーニングと注油
好き者のサイクリストやプロショップのなかには、自前で超音波洗浄機を使ったチェーン洗浄、注油を行っている人もいる。それをマックオフは、ケミカルメーカーの知見から、システムとして構築した。
超音波洗浄機を使ってチェーンを洗浄し、綺麗になったチェーンに超音波洗浄機を使ってチェーンのリンクの奥までルブを浸透させるというサービスだ。提携している以下のプロショップでのみ提供され、そこで使用される機材や ケミカルを購入できるのは、ショップのみとなる。
そもそもこのサービスは イネオス・グレナディアズやEFエデュケーション・イージーポスト、フィリッポ・ガンナのアワーレコードチャレンジ、トライアスリートなど。また英国代表選手に提供されてきたサービスである。空力に優れたフレームとホイールを用意し、高性能のタイヤを付け、エアロヘルメットをかぶり、エアロスーツを纏う。そしていいライディングポジションを手に入れた。でもまだ何かできるのではないか。そんな探究心にあふれる競技者の要望に応えるために、マックオフはこのシステムを開発した。
どのような工程?
バイクからチェーンを外し、まずは洗浄。ディグリーザーであらかじめ汚れを落としてから、超音波洗浄機に入れる。そこで使用するディグリーザーはこの超音波洗浄機専用のもので、生分解性があり、かつチェーンの部材への攻撃性が少ない。また使用される超音波の周波数も、チェーンの表面処理や素材を傷めない周波数に調整されている。より低い周波数帯は汚れがよく落ちるけれど素材を痛めるリスクがあるそうだ。
底面から発せられる超音波によってマイクロバブルが発生し その泡がチェーンにぶつかって弾ける時に汚れを浮かすことで洗浄される仕組み。チェーン両面に洗浄を行う。
片側を洗浄したら、ブラシで浮いた汚れをしっかりと落とす。この超音波洗浄機は、タイマーと温度管理機能を持っており、最適な温度に保ってチェーンを洗浄していた。
超音波洗浄機での洗浄が終わったら、ディグリーザーをぬるま湯で洗い流す。その後、チェーンの水分を飛ばすために、別のディグリーザーで軽く洗う。
超高級チェーンオイルにドボン!
今度は、チェーンに注油の工程だ。マックオフの最高級オイル「ルディキュラス(50mLで9900円!)」で満たされた超音波洗浄機にチェーンを漬ける。超音波を当てることでリンクの奥までしっかりとオイルが入る仕組みだ。洗浄の時と同じように両面に行って完了となる。
サポートしているプロチームでは、グランツールを戦っているときはエース選手のチェーンにはほぼ毎日、その他のアシスト選手には3人ずつ、交代制で施工をしている。とはいえ、こんな高頻度で施工するのは、ベストオブベストを突き詰める場合だけ。そこまでマメに施工をしなくても、1回の施工で1600kmは良い状態が維持されるということだった。
これらの施工の結果、得られる抵抗低減効果の数値は数ワットと小さな数値だった。ではなぜこのシステムを開発したのかといえば、イネオス・グレナディアズのパフォーマンスエンジニアであるダニエル・ビガム氏が、最高のパフォーマンスを発揮するためにできる最後のピースがチェーンオイルであり、それを実現する性能を要求されたことに始まる。
アワーレコードのように、1時間走って数百mでも先へたどり着きたい。グランツールのように3週間走ってライバルより数分先にフィニッシュする。そんな現場で鍛えられた商品なのだ。
プレゼンの途中で豆知識として紹介された情報がある。新品のチェーンを使うよりも、少し使い込まれたチェーンにオイルを入れる方が、計測の数値上の話だけではあるが フリクションのロスは小さくなるそう。新品のリンクがカチカチにはまっているチェーンよりも少し使い込まれたチェーンにこのサービスを施す方が摺動抵抗は少ない。あくまでも摺動抵抗に限った目線で見た場合だが、チェーンを育てるという考え方も面白いかもしれない。
・施工費用
チェーンオイルにマックオフ・ルディキュラスAFを施工する場合 価格/4480円
マックオフ・ハイドロダイナミックルブを施工する場合 価格/3980円
どちらも2024年3月31日までのキャンペーン価格