おすすめグラベルロードインプレシリーズ① “バッソ・テラ”編
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スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、バッソの「テラ」の実走インプレをお届けする。
BASSO TERRA
バッソ・テラ
シマノ・GRX610完成車価格/30万8000円
問・ジョブインターナショナル
伸び感ある推進力と素直なハンドリングが光るスチールモデル
イタリアのレーシングブランドとして確固たる地位を占めている「バッソ」。グラベルバイクへの取り組みも熱心で、カーボンフレームの「パルタ」とアルミフレームの「ファンゴ」、そしてスチールフレームの「テラ」をラインナップする。
ここで紹介するテラは、メインフレームにレイノルズ520というスタンダードスペックのクロモリパイプを使用。ロードレーサー然とした端正なスタイルを実現しつつ、巧みなパイプ加工でワイドタイヤのクリアランスを確保している。すべてのワイヤー類を外回しにしているのも特徴だ。走りの要となるフロントフォークは十分な剛性を発揮するカーボン製なので、ワイドタイヤのグリップ力やディスクブレーキの強力な制動力も確実に受け止めてくれる。フレームの角度寸法はロードバイクに近く、グラベルバイクとしてはフロントセンターなどが短い。ヘッドチューブも短めなので、適度な前傾姿勢を得ることができる。
テラが初登場したのは2020年。フレーム自体に大きな変更は見られないが、最新バージョンではコンポーネントやホイールが全面的に刷新されており、12速化を果たしたシマノ・GRX610をほぼフルセットで採用している。フロントシングルなので直感的な操作性とシンプルな外観が魅力だ。フルクラムの完成車用ホイールであるラピッドレッド900は回転性能に優れ、中速域以上での巡行性能を底上げしている。舗装路の快走性能と悪路の走破性のバランスがよい万能モデルだ。
SPEC
フレーム:レイノルズ520(クロモリ)
フレームサイズ:480、510、540mm
フォーク:カーボン
カラー:ホワイト、レッド
メインコンポーネント:シマノ・GRX610
12スピード カセット:シマノ・CS-M7100 10-45T
ブレーキ:シマノ・BR-RX400
ホイール:フルクラム・ラピッドレッド
タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSS 700×38C
試乗車実測重量:10.7kg(ペダルなし)
IMPRESSION
「太いタイヤを履いたロードバイク」というグラベルバイクの原点を感じさせる一台。重量はあるけれど自然な加速感が心地よく、スムーズに距離が伸びます。フロントセンターが短く、舵角を大きくするとシューズの先にタイヤが触れて気を使いますが、それだけにハンドリングはシャープで爽快。シンプルなシルエットも好印象です(田村)。
スチールフレームの魅力を実感しました。カーボンのように振動を消し去らず、適度に伝えてくれるから路面の状況が把握しやすいです。ペダリングを受けて弾かれるように押し出される感覚も楽しい。速く走ろうと思えば応えてくれます。息の長いモデルですが、ホイールやコンポーネントがアップデートされて実力は十分(江里口)。
「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩
「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。
サイクルスポーツ編集部 江里口恭平
温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。
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