おすすめグラベルロードインプレシリーズ③ “コルナゴ・G3-X”編
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スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、コルナゴの「G3-X」の実走インプレをお届けする。
COLNAGO G3-X
コルナゴ・G3-X
スラム・ライバルAXS完成車価格/68万2000円
問・アキボウ
ロードレーサー譲りの快走感が心地よいコルナゴ初のグラベルバイク
イタリアンロードの最高峰と賞されるコルナゴが、満を持して投入した初のグラベルバイクがG3-X。ロードレーシングバイクの最新バージョンであるV3と同時期に開発されており、各チューブに角断面を採用してエアロ効果を高めたカーボン製モノコックフレームは、V3とG3-Xで相似形を見せる。低重心とロングホイールベースの採用も同様だ。
もちろんタイアクリアランスは拡大されており、最大28Cのタイヤに対応するV3に対し、G3-Xは40Cタイヤを標準装備する。フレームのジオメトリーも共通点が多いが、タイヤクリアランスの拡大に伴って、フロント・リアセンターともに長めの設計になっている。レーシーなイメージが強いコルナゴだが、その真骨頂は安定感の高さにもある。それは間違いなくG3-Xにも受け継がれており、荒れたグラベルも十分に走りきれる走破性を身につけている。そのうえでヘッドチューブは比較的短めに抑えられており、フォークが長くなった分を吸収してV3とほぼ共通した乗車ポジションを得ることができる。走行環境が異なっても、早く走るために追求すべき基本性能はロードバイクとグラベルバイクで共通である、という設計思想が垣間見えるようだ。このあたりは、コルナゴ最高峰のC68シリーズと同様である。実際、G3-Xに幅30mm以下のロードタイヤを履かせれば、舗装路の滑走感はV3に限りなく近いだろう。抜群に快適なエンデュランスロードとしてG3-Xを選んでも間違いはないはずだ。
SPEC
フレーム:カーボン
フレームサイズ:460、490、520mm
フォーク:カーボン
カラー:G3G2
メインコンポーネント:スラム・ライバルAXS
クランクセット:スラム・ライバル 40T
カセット:ヴェロ・CS XG 1251 D1 XPLR10-44T
ブレーキ:スラム・ライバルETAP AXS
ホイール:フルクラム・ラピッドレッド900 DB
タイヤ:ピレリ・チントゥラートグラベルH 700×40C
ハンドル:デダ・グラベル100 RHM
ステム:デダ・ZERO1
サドル:プロロゴ・カッパRS
シートポスト:コルナゴ・カーボン
試乗車実測重量:9.1kg(ペダルなし)
IMPRESSION
メジャーブランドのグラベルバイクとしては最後発であり、最初から完成度が非常に高いモデルです。基本的にはロードバイクそのものといった軽快な乗り味ですが、太いタイヤを無理やり履かせた感は皆無で、安定感の高さを実感できます。オンロードでは快走でき、グラベルでは乗車技術を補ってくれるような懐の深さがあります(田村)。
とても上質な乗り味で、さすがはコルナゴだなと実感させられました。オンロードでの滑らかな走りは絶品です。オフロードでも安定感は十分に高く、かなり荒れた路面でも思いのままに進むことができました。ロードバイクから乗り換えてもまったく違和感はないでしょう。多くの人におすすめしやすい優等生です(江里口)。
「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩
「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。
サイクルスポーツ編集部 江里口恭平
温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。
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