おすすめグラベルロードインプレシリーズ⑤“ジェイミス・レネゲードS3”編

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スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、ジェイミスの「レネゲードS3」の実走インプレをお届けする。

レネゲードS3

JAMIS RENEGADE S3
ジェイミス・レネゲードS3

シマノ・GRX400完成車価格/25万3000円
問・ジェイミスジャパン

アドベンチャーバイクの原点にして先端をゆく多用途モデル

1979年にビーチクルーザーから自転車作りを始め、80年代にはMTBのダカールやドラゴンで世界を席巻したアメリカンブランドがジェイミス。アドベンチャーロードとして「レネゲード」を世に出したのは2015年であり、それ以来、このカテゴリーの原点かつ定番として多くのファンを生み出している。

レネゲードはカーボン、スチール、アルミと各素材のフレームを採用したモデルを展開しているが、共通するのがSSD(Size SpecificDesign)と呼ばれるフレームデザイン。サイズごとに最適なジオメトリーを実現する技術だ。これによって、異なるタイヤを使い分けるシーンでも最適なハンドリングと快適性を確保している。フレーム素材やグレードが異なっても「レネゲードらしさ」を共通して感じさせる安定感ある走りが持ち味だ。また、イヤーモデルと呼ばれる頻繁な更新をせず、技術革新に合わせたペースで新モデルを投入するのも特徴だ。

ここで紹介するS3は、フレーム素材にレイノルズ520というスタンダードなクロモリチューブを使ったミドルグレードモデル。カーボンフォークが一新されており、より軽快な走りを実現しつつ3対のボトルケージ台座を追加。大型のカーゴケージにも対応できるようになった。エンド各部のストレージポイントも充実しており、普段使いと長期ツーリングの双方で活躍できる。コンポーネントにシマノ・GRX400シリーズを採用し、コストパフォーマンスの高さも見逃せない。

フォークの先端

フォーク先端部に差し替え構造を採用。車軸を下側にセットすればタイヤクリアランスが拡大し、フェンダーなども余裕で取り付けることができる

BBまわり

スチールらしいオーソドックスなフレーム構成。ワイヤー類はメンテナンスがしやすい外回し。チェーンステーにはブリッジを設け、フェンダー用のアイレットがある

フォーク

新設計のカーボンフォーク。フレーム側はボリュームがあるが、先端へ向かってシェイプされ、良好な振動吸収性を発揮する。ケージ用の3対のアイレットも装備

リヤエンド

フレームエンドにもアイレットを完備し、キャリアとフェンダーの双方を取り付けることができる。車輪を外した時に便利なチェーンフックも備わっている

SPEC

フレーム:レイノルズ520ダブルバテッドクロモリ
フレームサイズ:48、51、54、56、58、61cm
フォーク:カーボン
カラー:ピュアホワイト、キネティックグレー、ネイビーパール
メインコンポーネント:シマノ・GRX400
クランクセット:FSA・オメガ 30/46T
カセット:シマノ・CN HG500 11-34T(10スピード)
ブレーキ:シマノ・GRX400
ホイール:WTB・ST i23 TCS
タイヤ:WTB・ナノ 700×40C
ハンドル:リッチー・バキアノコンプ
ステム:リッチー・4-Axis
サドル:ジェイミス・コンフォート
シートポスト:リッチー・ロード
試乗車実測重量:11.3kg(ペダルなし)

IMPRESSION

レネゲードS3に乗る田村さん

カーボンフレームのレネゲードに乗っていますが、スチールフレームのS3も乗り味はそっくり。フォークはいずれもカーボンなので、そこでレネゲードらしい安定感を確立しているのでしょう。全体的な走行性能や振動の吸収性はカーボンのCシリーズやワンランク上のクロモリを採用したS2に及びませんが、十分に満足できる一台(田村)。

レネゲードS3に乗る江里口

重量があるので軽快さは限定的ですが、そのぶん安定感は高く、グラベルにえいっと突っ込める安心感があります。軽いバイクは荷物を積んでしまうとキャラクターが変わってしまいますが、そういう意味でもこのレネゲードは安心。グラベルライドとキャンプツーリング、どちらも体験してみたいという人におすすめ(江里口)。

「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩

「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。

サイクルスポーツ編集部 江里口恭平

温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。

 

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