おすすめグラベルロードインプレシリーズ⑨“スペシャライズド・ターボクレオ2エキスパート”編

目次

スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、スペシャライズドのeバイク「ターボクレオ2エキスパート」の実走インプレをお届けする。

ターボクレオ2エキスパート

SPECIALIZED Turbo Creo 2 EXPERT
スペシャライズド・ターボクレオ2エキスパート

完成車価格/121万円
スペシャライズド・ジャパン

圧倒的なパワーと別格の走破性を手にした究極のeバイク

なにも妥協せず、できることをすべて盛り込んだといえる究極のeグラベルバイクがスペシャライズドのターボクレオ2だ。

軽量で剛性が高いカーボンフレームにセットされるタイヤは700×47Cと太くなり、あらゆるシーンで高い走破性を発揮する。それをアシストする新型モーターユニットは従来モデルよりトルクが43%、パワーが33%向上しており、路面抵抗が増えるオフロードを苦もなく進ませてくれる。モーターユニットの幅がスリムなのでペダリングもしやすい。フロントには定評あるフューチャーショックを備えて路面からの振動をカットし、さらにドロッパーシートポストを備えているので悪路での安心感は抜群だ。

アシストモードの変更はリモートスイッチで行うことができ、ハンドルバーから手を離す必要がない。電源のオンオフやバッテリー残量の確認などは、トップチューブ前方に設置されたコンパクトなマスターマインドTCUで直感的に行うことができる。無線によるアップデートも可能。

内蔵バッテリーの容量も十分にあり、すぐれたパワーマネジメントによって最長で195kmの航続距離を誇る。林道ツーリングも舗装路のロングライドも、キャリアを装着して荷物を満載したキャンプツーリングも、それぞれ余裕でこなしてくれるだろう。「スーパーヒーローのような脚力」が得られるというのが、本モデルを駆る醍醐味だ。サイクリングの可能性を広げてくれる、新時代にふさわしいeバイクだ。

フューチャーショック

20mmトラベルのフューチャーショックを搭載。路面から手や腕に伝わる衝撃を大幅に緩和してくれる。上部のダイヤルで減衰力を好みに調整することができる

モーター

従来よりパワーが33%増えた320Whのモーターユニット。ダイレクト感あふれるパワフルなアシスト力を発揮してくれる。モーター音はかなり静かだ

アシストモード切り替えのリモートスイッチ

ハンドルにアシストモード切り替えのリモートスイッチが配置され、手を離すことなく操作できるので、グラベルでも集中力が途切れない

マスターマインドTCU

アシストモードなどライド中に必要な情報をひと目で確認できるマスターマインドTCUを搭載。専用アプリを介してアップデートや表示のカスタマイズも可能

SPEC

フレーム:ファクト11rカーボン
フレームサイズ:49、52、54、56、58cm
フォーク:ファクトカーボンカラー:メタリックオブシディアン/オブシディアン、ブラックパールバーチ/ブラックパールスペックル
メインコンポーネント:スラム・ライバル/GX eTap AXS
クランクセット:スラム・アロイDUB
カセット:スラム・PG1230 11-50T(12スピード)
ブレーキ:スラム・ライバルeTap AXS
ホイール:ロヴァール・テラC
タイヤ:スペシャライズド・トレーサープロ 700×47C
ハンドル:スペシャライズド・アドベンチャーギアホバー
ステム:スペシャライズド・フューチャーステムプロ
サドル:スペシャライズド・ボディジオメトリパワーエキスパート
シートポスト:トランスXドロッパー
バッテリー:スペシャライズド・SL1-320 320Wh
最大走行可能距離:195km
モーター:スペシャライズド・1.2 SLカスタム
試乗車実測重量:14.0kg(ペダルなし)

IMPRESSION

ターボクレオ2エキスパートに乗る田村さん

とにかくパワフルで、乗り手の意思を先読みしたかのような素早いアシストに驚かされます。グラベル林道の上りに入る時に感じてしまう、体力的な不安が解消されます。そして、フューチャーショックとドロッパーシートポストが下りでも安定した走りをサポートしてくれるので、乗っている間ずっと笑顔でいられる夢の自転車ですね(田村)。

ターボクレオ2エキスパートに乗る江里口

これまでのクレオはオンロードも意識した仕様でしたが、最新モデルはグラベル適性が高まっています。トルクフルに駆け上がってくれ、バッテリーの持ちも十分。もちろんオンロードも快適なので、予算さえ確保できるなら万人におすすめ。重量も際立って軽いので、なにをするのも楽。体力に縛られないサイクリングが待っています(江里口)。

「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩

「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。

サイクルスポーツ編集部 江里口恭平

温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。

 

このようなグラベルバイクのインプレが掲載された、多彩なサイクリングの楽しみ方を紹介し、バイクパッキングで活躍するバッグやタイヤ選びのヒントも詳解する、グラベルバイクを楽しむヒントが詰まった一冊「グラベルバイクを遊びつくす!」。全国の書店、Amazonで販売しています。

グラベルバイクを遊びつくす!