おすすめグラベルロードインプレシリーズ⑩“ヤマハ・ワバッシュRT”編
目次
スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が、ヤマハのeバイク「ワバッシュRT」の実走インプレをお届けする。
YAMAHA WABASH RT
ヤマハ・ワバッシュRT
完成車価格/43万8900円
問・ヤマハ発動機
オンオフ問わず楽しめるヤマハの理想を実現した次世代モデル
電動アシスト自転車のパイオニアであるヤマハ。同社のスポーツeバイクであるYPJシリーズに加わったグラベルモデルが「ワバッシュRT」だ。フレームにおける最大の特徴は、ダウンチューブ内部をツインチューブにすることでバッテリーを合理的に内蔵し、剛性や重量バランスを高めた構造にある。モーターサイクルメーカーでもあるヤマハ発動機の造形理念を形にしたフレームだ。500Whクラスの大容量バッテリーは取り外しが可能で、家庭用の100Vコンセントによって充電できる。
パワーユニットは、定格出力240WのPWシリーズSTを採用。独自のクワッドセンサー(スピード、クランク回転、ペダリングトルク、角度)システムによって、乗り手が求める最適なアシストパワーを提供してくれる。最長で200kmもの走行が可能だ。また、ハンドルに装備したディスプレイとスイッチにより、走行モードや各種の情報を把握でき、直感的に操作できる。
グラベルバイクとしての実力も十分に高く、マキシス・ランブラー700×45Cタイヤによってオン・オフ問わない走破性を確保。ドロッパーシートポストやフレアハンドルによって、安定感ある走りを楽しむことができる。フレーム各部やフォークに豊富なボトルケージ台座を備え、荷物の積載にも対応する。メインフレームを共通としながらフラットハンドルとフロントサスペンションを備えた姉妹モデル「クロスコアRC」もラインナップしており、用途と好みで選ぶことができる。
SPEC
フレーム:アルミ
フレームサイズ:S、M、L
フォーク:アルミ
カラー:セレスタイトブルー
メインコンポーネント:シマノ・GRX
クランクセット:44T
カセット:11-42T
ブレーキ:シマノ・GRX
タイヤ:マキシス・ランブラー 700×45C
バッテリー:リチウムイオン電池36V-13.1Ah
最大走行可能距離:200km
モーター:ブラシレスDCモーター240W
試乗車実測重量:21.4kg(ペダルなし)
*サイドスタンドはオプション
IMPRESSION
バッテリーを抱え込むダウンチューブの構造が独創的で、アルミフレームの新たな可能性とこだわりを感じます。「オートマチックアシストモード」にしておけば、走ることに集中できるのも心地いいです。フロントフォークが長いために乗車姿勢がアップライトで、ドロッパーシートポストとの相乗効果で下りの安定感が高いのも魅力(田村)。
ヤマハのeバイクは乗る機会が多く、このモデルにも慣れ親しんだ安心感を覚えました。eバイクである以前に自転車としてのしっかりした造りが好感を抱かせます。グラベルをがんがん攻めることもできますが、ツーリングやふだん使いにも便利な機能が備わっています。バッテリーが別体なので、充電環境も問いません(江里口)。
「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長 田村浩
「グラベルバイクを遊びつくす!」などヤエスメディアムックシリーズの編集・執筆を担当するサイクリスト。スポーツ自転車歴は30年を超えるが、常にツーリングの相棒ととらえており、グラベルライドやキャンプもその一環。現在所有するグラベルバイクはジェイミス・レネゲードC2。近著に「自転車キャンプ大全」(技術評論社)。
サイクルスポーツ編集部 江里口恭平
温泉とグラベルを求めて全国を走り回るサイクルスポーツ編集部員。学生時代は自転車競技部に所属し、レーサー目線であらゆるジャンルの自転車とアイテムを評価することもできる。海外を含むグラベルイベントの実走参加経験も豊富だ。現在所有するグラベルバイクはサーヴェロ・アスペロ。
このようなグラベルバイクのインプレが掲載された、多彩なサイクリングの楽しみ方を紹介し、バイクパッキングで活躍するバッグやタイヤ選びのヒントも詳解する、グラベルバイクを楽しむヒントが詰まった一冊「グラベルバイクを遊びつくす!」。全国の書店、Amazonで販売しています。