おすすめグラベルロードインプレシリーズ
目次
スポーツ自転車のジャンルとして確立された感があるグラベル&アドベンチャーバイク。その実態は多様で、モデルごとに独自の世界観を感じさせる。どれが優れているかというよりも、どれが自分の用途にふさわしいかという視点が求められる。ここでは、「グラベルバイクを遊びつくす!」編集長の田村浩と、「サイクルスポーツ」編集部の江里口恭平が実走インプレをお届けする。
バッソ・テラ
テラは、メインフレームにレイノルズ520というスタンダードスペックのクロモリパイプを使用。ロードレーサー然とした端正なスタイルを実現しつつ、巧みなパイプ加工でワイドタイヤのクリアランスを確保している。すべてのワイヤー類を外回しにしているのも特徴だ。走りの要となるフロントフォークは十分な剛性を発揮するカーボン製なので、ワイドタイヤのグリップ力やディスクブレーキの強力な制動力も確実に受け止めてくれる。フレームの角度寸法はロードバイクに近く、グラベルバイクとしてはフロントセンターなどが短い。ヘッドチューブも短めなので、適度な前傾姿勢を得ることができる。
→記事はこちら
ブリーザー・レーダーエックス
レーダーXは、屈強なクロモリフレーム&フォークに多数の荷物積載ポイントを設定したアドベンチャー志向が強いモデルだ。最大の特徴は、このカテゴリーのモデルではもっとも太い29×2.25インチというタイヤを標準装備すること。MTBでは標準的なブースト規格(ハブの幅が広い)の採用と相まって、悪路の走破性や荷物を積んだシーンでの安定感は抜群だ。他の多くのグラベルバイクはロードバイクの影響を多分に受けているが、レーダーは完全にMTB寄りで非日常的な楽しみを提案してくれるモデルだ(姉妹モデルのインバージョンはややロード寄り)。フレームの各部には7か所のボトルケージ台座を設けており、バイクパッキングはもちろん、前後キャリアとフェンダーを装備した重装備まで可能であり、乗り手が望むカスタマイズも思うがままに実現できる。もちろん、ふだん使いの足としても使い勝手がいいだろう。
→記事はこちら
コルナゴ・G3-X
イタリアンロードの最高峰と賞されるコルナゴが、満を持して投入した初のグラベルバイクがG3-X。ロードレーシングバイクの最新バージョンであるV3と同時期に開発されており、各チューブに角断面を採用してエアロ効果を高めたカーボン製モノコックフレームは、V3とG3-Xで相似形を見せる。低重心とロングホイールベースの採用も同様だ。
→記事はこちら
ファクター・オストログラベル
ツール・ド・フランスなどで活躍するロードバイク「オストロVAM」のエアロダイナミクスを忠実に受け継ぎ、一層強靭なフレームを与えられたグラベルバイクが「オストログラベル」だ。タイヤの最大クリアランスは45mmを確保。そのために大柄なフロントフォークを採用しているが、それ以外のフレーム各部の造形はエアロロードそのもので、深い前傾が取れる実戦的な乗車ポジションが可能になっている。一般的なグラベルバイクが求める快適性はすべて太いタイヤに任せ、速く走ることに特化しているフレームだと言えるだろう。非常に硬質でペダリングロスを感じさせず、乗り手の脚力を引き出してくれる。
→記事はこちら
ジェイミス・レネゲードS3
レネゲードはカーボン、スチール、アルミと各素材のフレームを採用したモデルを展開しているが、共通するのがSSD(Size SpecificDesign)と呼ばれるフレームデザイン。サイズごとに最適なジオメトリーを実現する技術だ。これによって、異なるタイヤを使い分けるシーンでも最適なハンドリングと快適性を確保している。フレーム素材やグレードが異なっても「レネゲードらしさ」を共通して感じさせる安定感ある走りが持ち味だ。また、イヤーモデルと呼ばれる頻繁な更新をせず、技術革新に合わせたペースで新モデルを投入するのも特徴だ。
→記事はこちら
メリダ・サイレックス4000
2020年に登場した先代から4年の時を経て登場したサイレックスは、グラベルバイクの定義や多用途であることの意味を問い直したかのように、再びまったく新しい姿をまとって登場した。
大きな特徴は、原点に回帰するように採用した700Cホイールであり、長いフォークによって幅45mmというタイヤクリアランスを確保したこと。これにより650Bホイールは必要ないという判断に至っている。ヘッドチューブは以前より短くされているが、そのアングルは69.5度というかなり「寝た」数値が採用されており、フォークの長さと相まって先代のサイレックスと同様なリラックスした乗車姿勢を確保している。変えるところは大胆に変えつつ、悪路の走破性に一切の妥協はないモデルだ。
→記事はこちら
ビゴーレ・山と旅の自転車プラス
ベーシックFRという独自のリジッドMTBからスタートした「山と旅の自転車」だが、ここ10年間で時代に合わせて進化。カンチブレーキからディスクへ、MTB用のメカからロード用へ、そしてスルーアクスルの採用など3度フレーム設計を更新して誕生したのが今の「プラス」である。近年もバージョンアップは続き、トップチューブとフォークブレードにアイレットが追加され、バイクパッキング適性を高めている。柔軟な進化とパーツセレクトにおける自由度の高さは、工房・ショップによるセミオーダー車ならではの長所だ。フレームサイズやタイヤの太さに合わせ、700Cだけでなく650Bを選ぶこともできる。
→記事はこちら
ベスビー・JGR1.1
eバイクのトップブランドとして、小径車タイプからMTBまで多様なモデルをラインナップする「ベスビー」。2021年にはeグラベルバイクであるJG1を発売し、今も好評だ。新たに登場したJGR1.1は、ヨーロッパデザインを採用した流麗なアルミフレームが特徴的なハイグレードモデル。より大容量になったバッテリーは内蔵タイプとなり、フレーム全体の軽量化と剛性アップを実現しつつ、自転車としての美しいフォルムを獲得している。電源のオンオフやアシストモード切り替えをボタンひとつで操作できる新型インターフェイスユニットを採用し、ハンドル周りはシンプル。ワイヤー類をステムからフレーム内に導くことで、スマートなシルエットに仕上がっている。カーボンフォークとシマノ・GRX11スピードを採用しているので、スポーツ自転車としての実力も十分だ。
→記事はこちら
スペシャライズド・ターボクレオ2エキスパート
なにも妥協せず、できることをすべて盛り込んだといえる究極のeグラベルバイクがスペシャライズドのターボクレオ2だ。
軽量で剛性が高いカーボンフレームにセットされるタイヤは700×47Cと太くなり、あらゆるシーンで高い走破性を発揮する。それをアシストする新型モーターユニットは従来モデルよりトルクが43%、パワーが33%向上しており、路面抵抗が増えるオフロードを苦もなく進ませてくれる。モーターユニットの幅がスリムなのでペダリングもしやすい。フロントには定評あるフューチャーショックを備えて路面からの振動をカットし、さらにドロッパーシートポストを備えているので悪路での安心感は抜群だ。
→記事はこちら
ヤマハ・ワバッシュRT
電動アシスト自転車のパイオニアであるヤマハ。同社のスポーツeバイクであるYPJシリーズに加わったグラベルモデルが「ワバッシュRT」だ。フレームにおける最大の特徴は、ダウンチューブ内部をツインチューブにすることでバッテリーを合理的に内蔵し、剛性や重量バランスを高めた構造にある。モーターサイクルメーカーでもあるヤマハ発動機の造形理念を形にしたフレームだ。500Whクラスの大容量バッテリーは取り外しが可能で、家庭用の100Vコンセントによって充電できる。
→記事はこちら
上記のグラベルバイクのインプレが掲載された、多彩なサイクリングの楽しみ方を紹介し、バイクパッキングで活躍するバッグやタイヤ選びのヒントも詳解する、グラベルバイクを楽しむヒントが詰まった一冊「グラベルバイクを遊びつくす!」。全国の書店、Amazonで販売しています。