12速Di2化したシマノのグラベル用コンポ・GRXを試乗インプレッション
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シマノのグラベルバイク用コンポーネント「GRX」。2023年に登場した機械式12速からおよそ1年の時間を経て、待望のDi2モデルが仲間入りした。ストレスフリーでハンドリングを軽快にする電動シフトは、より快適なライドを実現する。今回は新たにリリースされたグラベルコンポーネントRX825シリーズのインプレッションをお届けしよう。
改めてシマノ・RX825シリーズの特徴をおさらい
シマノが展開するグラベルバイク用コンポーネントの「GRX」シリーズ。世界中のグラベルライダーが信頼を寄せる、まさに昨今のグラベルブームを牽引する存在だ。RX825は、2×12スピードのDi2モデルを実現、GRXシリーズのフラグシップモデルに相当する。オンロードと比較して路面状況の影響をより受けるグラベルライドにおいて、Di2による高速で確実なワイヤレスシフトは、全てのグラベルシーンにおいて大きなメリットをライダーへ提供すると言えよう。
RX825シリーズ試乗インプレッション~グラベルをより楽しく快適にする存在
まずは試乗する前に、いよいよGRXシリーズに12速のDi2モデルが登場したな、と。待望のモデルでしたからね。そして試乗してみて結論から言うと、シリアス層からファン層まで、全てのグラベルライダーに恩恵を与えるプロダクトと言えると感じました。
シフティング感
まず目に止まった点はスムースで確実なシフティング。操作に安定感があって小気味良く、心地が良い。さすがはシマノのDi2だなと実感させられました。軽くワンタッチするだけでスーッとギヤが切り替わる。路面からの衝撃が激しく、身体へのダメージが大きいグラベルライドにおいて大きなメリットになることは間違いないと感じました。
特にいいなと思ったのは、グラベルの上り坂のときなどトルクがかかる状態であってもスムースにシフトチェンジしてくれることです。変速タイミングや走行状況を気にすることなくシフトワークが可能でした。
また、チェーンが暴れやすいグラベルの下り坂でリヤディレーラーに搭載されたスタビライザーをONにしてみると、バタつきを大幅に抑えてくれてシフト操作が安定しました。油断をしたら大きな怪我につながりやすいグラベルの下り坂において、スタビライザーとDi2のおかげで路面状況の判断と自身の走りに集中することができるので、こちらも大きなメリットだと思います。
デュアルコントロールレバーの使い心地
まずいいなと思ったのは、過酷な状況でも手がブラケットから外れてしまいにくく、滑りにくくなっていたことでした。
大きめで先端が反り立ったようなブラケット形状になっていますが、この形状のおかげで手をブラケットに預けることができて、親指がすっぽ抜ける心配がないと感じました。特に下りにおける安定感と安心感につながっています。MTBのようなフロントサスペンションがないグラベルバイクは、ダイレクトに路面からの衝撃がハンドルバーに伝わってきますから、この形状はグラベルライドにおける強い味方となるでしょう。
また、前作と同様にリブ付きの表面テクスチャーが採用されていますが、実際に汗や雨などで手元が滑ることを防いでくれていました。これも安定感に貢献しています。
ブレーキレバーにも滑り止めコーティングが施されていて、程よくグリップしてくれるので荒れた路面を走行していても安定したブレーキングができると思いました。またブレーキレバーが横広の形状なので、指との接触面が大きく、軽いブレーキタッチを可能にしてくれる印象を受けます。また、下ハンドルを使っているときでも、その丸みを帯びたデザインによって、どの角度からブレーキレバーにアプローチしても違和感を感じることなく、ノンストレスでブレーキ操作ができますよ。
一方でフレアハンドルにより最適化された形状になっているとのことですが、今回の試乗車にはフレアハンドルが搭載されていなかったので実際の相性は試せていませんが、年々グラベルバイクのスタンダードになりつつあるフレアハンドルを念頭においているあたりは、グラベルシーンのトレンドをしっかりプロダクトへ反映していて、ユーザーフレンドリーな好印象を受けますね。
新機能「フロントシフト ネクスト」は?
新たな機能として加わった「フロントシフト ネクスト」も試してみました。従来2つのボタンで行っていたフロントディレーラーの操作を1つのボタンで操作する設定にできる機能です。これを設定することで1つの変速ボタンに空きが出るので、そこへ専用アプリで好みの操作設定をすることも可能になります。
使ってみて感じたのは、フロント変速操作が直感的でシンプルになるという点ももちろんですが、自身のバイクをより一層パーソナライズできるのが良いな、ということです。自分好みにいじれる良さと言いましょうか。専用アプリの画面もコンポーネントの画像が主体なので直感的に操作することができ、設定に迷うことは少なさそうです。こういったかゆいところに手が届くような使い勝手の良さは、地味ではありますがありがたいですね。
RX825シリーズによってもたらされた“グラベル12速Di2”は、今後グラベルライドを楽しむためのスタンダードになっていくのではないかと感じます。グラベルライドをより一層楽しく、快適に、そして身近なものにしてくれる存在と言えるのではないでしょうか。
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