スコープサイクリングの最新ホイールセット「ARTECH(アーテック)」発売

目次

SCOPE CYCLING(スコープサイクリング)から最新ホイールセット「ARTECH(アーテック)」が発売される。

スコープサイクリング アーテック

2013年にオランダのアイントホーフェンで創業したSCOPE CYCLING。アイントホーフェンはオランダ中部に位置し、ハイレベルなアートやデザイン、カルチャーを発信する街。

そんな流行への感度高い街に拠点を置くSCOPE CYCLINGは、エンジニアとデザイナーのチームであるとともに、何よりも情熱的なサイクリスト集団であることも強みにしており、彼らのモットーはNO Excuse(言い訳はしない)。その情熱は製品開発にも活かされ、独自のダイヤモンドラチェットハブを搭載したフリーボディをはじめ、世界を舞台に戦うプロフェッショナルチームのために、誰もが驚くような新機軸の開発を行う技術力も持ち合わせている。

例えばUCIワールドチームであるチームDSMのために、SCOPE CYCLINGは過酷なパヴェ区間で知られるパリ〜ルーベのレース中に、選手が任意でタイヤの空気圧をコントロールできる装置であるATMOZを開発し、2023年にこれを実戦投入した。これはSCOPE CYCLINGの高い技術を証明するものと言える。

そんな彼らが何百万年にわたる地球上の自然と生物の進化から得たインスピレーションと、卓越したエンジニアリングのフュージョンが、サイクリング業界に革命的なホイールセットをもたらした。それがARTECH(アーテック)の誕生だ。

 

アーテックの特徴

AEA アルゴリズム強化エアロダイナミクス

スコープサイクリング アーテック

ARTECHリムの形状は、アルゴリズム強化エアロダイナミクス(AEA:Algorithm Enhanced Aerodynamics)テクノロジーによって定義されている。このアルゴリズムは、最も空力的なリムプロファイルの空力性能を導き出すもの。

2017年にSCOPE CYCLINGがデルフト工科大学(航空宇宙工学)と共同で開発した初期のAEAは2Dベースで、これに対してエアロダイナミクスのベンチマークを再定義するためにSCOPE CYCLINGはアルゴリズムを進化させ、コンポーネントを含む完全なバイクを含めた3Dベースに置き換えた。その目的は、市場で最もハイレベルで安定したスピードを追求する空力的に優れたホイールの実現であった。

その達成のために風洞実験でさまざまなテストプロトコルが検証され、開発パートナーであるアイントホーフェン工科大学、デルフト工科大学、シュワルベ、SKF、チームDSMの協力を得てテストが繰り返された。

 

特徴的な表面構造デザイン

スコープサイクリング アーテック

スコープサイクリング アーテック
スコープサイクリング アーテック

ARTECHのルックス、その最大の特徴は表面上のデザイン。ARTECHリムの表面構造デザインは魚の鱗をイメージしたもの。魚の鱗は、魚が水中を移動するときの抵抗を減らすことに役立つ。ここに着目したSCOPE CYCLINGは、鱗の効果をリムの表面構造に応用した。

大気中を移動する物体には、その表面上に空気の流れが発生するが、リムの表面が滑らかな場合、そこに流れる空気の流れは時間の経過とともに不安定になる。SCOPE CYCLINGは、魚の鱗をデザインした表面構造は、リム表面上を異なる速度で流れる空気の帯を生成し、この流れを安定させる効果があることを実証。

結果として空気抵抗を低減する表面構造のAeroscalesが誕生した。scaleには鱗(うろこ)の語意もある通り、同時にこれがARTECH視覚上の特徴にもなった。

 

軽量性の追求 〜3Dのハブ〜

スコープサイクリング アーテック

スコープサイクリング アーテック

ARTECHの誕生は徹底したエアロダイナミクスの追求とともに軽量化も大きなテーマとして進められ、その大きなポイントはハブにあった。

コンピューター上のシミュレーションで不要な部材をそぎ落とし、軽量かつ強度が必要な部分だけを残して最適なハブシェル形状をつくりあげることを目的としていた。これをトポロジーの最適化と言う。これはハブにかかる荷重と特定の設計領域に基づいてハブシェルの形状を最適化する数学的アルゴリズム。このアルゴリズムは、必要な強度を確保しながら、最も軽量な設計を導き出す。

しかし設計を基に作り出すハブシェルは従来の金属切削では達成ができないことは誰の目から見ても明らかであり、その結果3Dプリントの技術が採用された。素材もスカンジウム、アルミニウム、マグネシウムの高性能合金材料であるScalmalloy(スカルマロイ)を使用することで、軽量で強靭なハブが完成したのだ。

興味深いことに、トポロジー最適化の結果、ハブシェルの一部はまるで生物の構造体のようになり、リムの表面構造と同様、自然の力が再び示されることになった。そしてそれは見た目だけではなく、市場で最も軽量な199gのハブセットの誕生でもあった。

また、SCOPE CYCLING独自のダイヤモンドラチェットシステムも見直され、ラチェットにより軽量なチタンを使うことにより、さらなる耐久性と軽量化を実現している。

 

軽量性の追求 〜スポーク・リム〜

スコープサイクリング アーテック

スコープサイクリング アーテック

ARTECHのCarbonlite Aerospokesは軽量のUDカーボン素材で作られている。これによりARTECHは重量を増加することなく空力形状を最適化している。

ARTECHのCarbonlite Aerospokesは2:1のスポークパターンで、リム内部にニップルを設けてある。これは高い横方向の剛性を確保するためでもあり、スポークの張力均等化とフランジとの寸法を長く取ることにより加速時や登坂時の効率を高める効果がある。

また、デルフト工科大学(オランダ)の協力を得て、SCOPE CYCLINGはリムのカーボンレイアップを最適化し、軽量性、強度、剛性を向上させた。このカーボンレイアップは、リムの内側にあるスポークホールの周りを局所的に強化している。部分的にカーボンの積層を増やす手法で、これによりリムの重量が大幅に軽減され、強度と剛性が確保されている。

 

アーテック製品概要

ARTECHのラインアップは、4つのカテゴリー(ROAD・ALL ROAD・GRAVEL・TRIATHLON)で展開する。

ROADとALL ROADが先行して発表され、GRAVELとTRIATHLONの詳細は後日発表となる。ROADとALL ROADの両カテゴリーは、それぞれリムハイトの違いで3モデル展開。価格も全て同一で、これまでのシリーズ展開と変わらない。

ARTECH ROADは剛性、耐久性、安全性を損なうことなく、舗装路用に開発された最速かつ最軽量のホイール、ALL ROADはロード用ホイールとしてのエアロ性能から、グラベルユースとしても対応するポテンシャルを持つカテゴリーのホイールで、ROADよりもリムの内幅が2mm広く設計されている。

 

【ROAD】

ARTECH 2
重量:965g
リムハイト:22mm
リム内幅:23mm
空力的にベストなタイヤ幅:28mm

ARTECH 4
重量:1,120g
リムハイト:45mm
リム内幅:23mm
空力的にベストなタイヤ幅:28mm

ARTECH 6
重量:1,244g
リムハイト:65mm
リム内幅:23mm
空力的にベストなタイヤ幅:28mm

スコープサイクリング アーテック

左から:ARTECH2、ARTECH4、ARTECH6

 

 

【ALL ROAD】

ARTECH 2.A
重量:990g
リムハイト:22mm
リム内幅:25mm
空力的にベストなタイヤ幅:30mm

ARTECH 4.A
重量:1,200g
リムハイト:45mm
リム内幅:25mm
空力的にベストなタイヤ幅:30mm

ARTECH 6.A
重量:1,319g
リムハイト:65mm
リム内幅:25mm
空力的にベストなタイヤ幅:30mm

スコープサイクリング アーテック

左から:ARTECH 2.A、ARTECH 4.A、ARTECH 6.A

 

 

SCOPE CYCLING ARTECH
スコープサイクリング アーテック

・販売価格/全モデル:76万8900円、セラミックスピード仕様:85万4700円

・全モデル チューブレス・クリンチャー対応

・全モデル フリーボディ:シマノ・カンパニョーロ・SRAM XD・シマノマイクロスプライン・カンパニョーロN3W対応

・全モデル ロゴカラー:WHITE・BLACK

・全モデル セラミックスピードベアリング仕様選択可能

・全モデル NO Excuse