「ゴアテックス プロ」が新世代へ 性能はそのままに環境負荷を低減

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高い防水・透湿性を持つことで有名であり、過酷な環境のアウトドアアクティビティ向けの生地素材であるGORE-TEX RPO(ゴアテックス プロ)の新世代が発表された。従来の性能はほぼそのままに維持しつつ、近年のプロダクトに求められる環境負荷の低減を実現したうえで高い耐久性を持つのが特徴だ。2025年秋冬シーズンより、各アウトドアブランドの製品に導入される。

ゴアテックスプロが次世代へ進化

 

GORE-TEX PROの特徴

GORE-TEX PRO発表会

2024年9月25日(水)には、メディア向けの発表会が山梨県内で催された

新世代GORE-TEX PROの生地サンプル

新世代GORE-TEX PROの生地サンプル。裏面には格子状のパターンが配され、触ってみると薄い一方で頑丈だと感じられる質感だ

 

従来のGORE-TEX PRO製品ではePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)を“メンブレン”と呼ばれる生地の中核をなす部分に用いていたが、どうしても製造するうえで環境負荷物質を排出してしまうという課題を抱えていた。

今回発表された新世代のGORE-TEX PROではこのメンブレンにePE(延伸ポリエチレン)を用いることで、従来持っていた高い性能を維持しつつ、製造するうえでの環境負荷を減らすことに成功した。具体的には、PFASフリー(PFASとはフッソ化合物のことで、自然界で分解されにくく、健康に悪影響を及ぼすと言われる)とカーボンフットプリント(その製品の原材料の調達から製造→廃棄→リサイクルまでに排出される温室効果ガスの総量のこと)の削減に成功している。カーボンフットプリントについては、従来製品よりも生地1平方メートルあたりにつき12〜39%の二酸化炭素排出量が削減される。

また高い耐久性も持っており、これによって製品を長く使い続けられることにもつながり、その点においても環境負荷の低減に貢献する。

 

先行体験会も開催。今後スポーツ自転車向けに展開されることに期待

内洋岳さんトークセッション

発表会では、日本を代表する登山家の竹内洋岳さんを招いてトークセッションも行われた

 

前述のメディア向け発表会では、この新世代GORE-TEX PROを用いたジャケット(記事冒頭の写真)を着用する“先行体験会”も行われ、筆者が実物を着用して参加してみた。場所は山梨県内某所で、雨の降る肌寒い樹海の中を軽くトレッキングしつつ、軽いケイビング(洞窟を探検するアウトドアアクティビティ)を行なった。

新世代GORE-TEX PROの先行体験会の様子

先行体験会の様子

洞窟の中は2〜3℃

洞窟の中は2〜3℃

 

着用してみた印象としては、暖かくそして蒸れることがなくて快適ということ。そして「今までのゴアテックスから何ら性能は落ちていない」と納得できるほどによく水をはじいてくれた。新素材を使って環境負荷を減らすというのはこの現代におけるものづくりでは非常に重要な意味を持つが、しかし得てしてそうした製品は性能が落ちてしまうもの、というイメージがある。が、実際に使ってみてそうしたことは微塵も感じられないことに驚いた。

なお、素材の変更によって従来製品よりもやや薄手になっており、よりコンパクトにたたむことも可能なのも特徴とのこと。

今のところこの新素材がスポーツ自転車用ウェアに導入されるかは未定だが、この製品が導入されたサイクリストのためのアイテムが登場することを期待したい。