スペシャライズドの名作eクロスバイク「VADO SL」が新型に

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世界的スポーツ自転車ブランド、スペシャライズド(SPECIALIZED)のeクロスバイクシリーズ「VADO(バド)SL」が第2世代へとモデルチェンジを果たした。他ブランドのものより一歩先をゆく軽さと自然な乗り味で評判だったが、第2世代では全体として重量増とはなるもののバッテリーとモーターをより強力なものへ進化させる方向を選んだ。

スペシャライズドの名作eクロスバイク「VADO SL」が新型に

 

VADO SL 2の特徴

VADO SL 2の特徴

※写真は試乗車のため、実際に販売されるモデルとは仕様が異なる場合がある

今作では、カーボンフレームタイプとアルミフレームタイプの2種類をラインナップ。

フレーム形状が大きく変わっており、同時にバッテリー容量が520Whに増え、モーターがターボ SL 1.2モーターへと進化した。バッテリー容量が増えた分、細身でスタイリッシュだった第1世代に比較し、フレーム形状は“筋肉質”になったように見える。

モーターについては、第1世代が240Wのパワーと35Nmのトルクだったのに対して、今作で320Wで50Nmと、大きく強化されている。

重量だが、カーボンフレームタイプのモデル(VADO SL 2 6.0)で15.9kg、アルミフレームタイプのモデル(VADO SL 2 5.0及び同4.0)で20.1kg〜20.2kgと、アルミフレームながら15kg台に収まっていた(Lサイズの実測重量)前世代に比べれば全体的に重量増だ。

独自のサスペンションシステム「フューチャーショック」は全モデルに搭載され、カーボンフレームタイプにはより上位の「フューチャーショック3.2」がつく。

VADO SL 2のディスプレー

今作から新たにステムにディスプレーが搭載された(前作ではトップチューブに内蔵されるタイプだった)。ハンドル手元にスイッチがあり、モードの切り替え等の操作が可能だ

ハンドルグリップ付近に設置された手元スイッチ

ハンドルグリップ付近に設置された手元スイッチ

MIK HD ラック

頑丈なリヤキャリヤの「MIK HD ラック」を搭載できるようになり、ほかにパニヤ、トレーラー、チャイルドシートも取り付けが可能。自転車全体の最大積載重量は何と41kgだ。なお、アルミフレームのモデルにはこちらのリヤキャリヤが初期装備される

新型VADOのシステムロック

独自の防犯機構「システムロック」が使用できるようになった。オリジナルアプリを使うもので、“施錠”設定中に自転車が動かされた場合、警告音やライトを作動させられる。また、iOSアプリ「探す」にも対応する

 

VADO SL 2シリーズラインナップ

カーボンフレームタイプが1モデル、アルミフレームタイプが4モデルだ。アルミフレームタイプではトップチューブをまたぎやすい、「ステップスルー」タイプもラインナップする。なお、前世代に当たる「VADO SL GEN 1」は継続ラインナップとなる。

 

VADO SL 2 6.0

VADO SL 2 6.0

●価格:77万円
●フレーム素材:カーボン
●メインコンポーネント:シマノ・XT(12速)
●タイヤサイズ:700×47C
●付属品:ヘッドライト、テールランプ

 

VADO SL 2 5.0

VADO SL 2 5.0

●価格:55万円
●フレーム素材:アルミ
●メインコンポーネント:シマノ・キューズ(11速)
●タイヤサイズ:700×47C
●付属品:マッドガード、リヤキャリヤ、ヘッドライト、テールランプ

 

VADO SL 2 4.0

VADO SL 2 4.0

●価格:49万5000円
●フレーム素材:アルミ
●メインコンポーネント:シマノ・キューズ(10速)
●タイヤサイズ:700×47C
●付属品:マッドガード、リヤキャリヤ、ヘッドライト、テールランプ

 

VADO SL 2 ステップスルー

またぎやすいシートチューブ形状の「ステップスルー」モデルも用意。VADO SL 2 5.0 Step-Through(55万円)と同4.0 Step-Through(49万5000円)の2モデルだ。写真は同4.0 Step-Through ※試乗車のため実際の使用とは異なる場合がある

 

編集部員が試乗してみた

軽くではあるが、編集部員が試乗してみた印象をお伝えしよう。

まず、ラインナップ全体として重量が増えている(特にアルミフレームタイプは約5kg増)が、それを感じさせない軽やかで人力のクロスバイクに近い自然な乗り味は健在だった。カーボンフレームタイプのモデルは、その軽さがより際立つ。バッテリー容量が増えてモーターがより強力になったうえで従来の乗り味を損なっていない点は非常に良いと言える。

アシスト性能については、非常に自然で滑らか、かつ強力になっているという印象。どのくらいバッテリーが持つのかまでは試してはいないが、容量がアップしているのだからより持つようになってもいるに違いないはず。

残念なのは、走りはいいが重量自体が重くなっていることか。持ち運んだり駐輪したりするとき、カーボンフレームタイプのモデルはまだいいとして、アルミフレームタイプのモデルはそれなりにずっしりくる。そうした点がないのが前世代のVADO SL GEN 1の良い点で、他社のeクロスバイクが霞むほどの利点でもあったのだが……。

とはいえ、バッテリー容量増・モーター強化をして重量が増えたうえで前作のような自然で軽やかな走行感を出しているのはさすがはスペシャライズド、と称えたい。

あと性能とは関係がなく、個人の好みによる点ではあるのだが、見た目が“マッチョ”な感じになってしまったのもちょっと残念。“シュッとした”前作はカッコよく感じられたのだが。まあ、前世代も継続して販売なので、そこは好みに応じて購入すれば良いだろう。