ブリーザー・インバージョン スチールの新たな可能性を感じさせる流麗なフレーム

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ウエア協力:ウエイブワン、ダイアテック

インバージョン

ブリーザー・インバージョン

MTBのパイオニアが作った新感覚ロード

世界初の市販MTBを創り出したことで知られるジョー・ブリーズ。彼が追求してきた自転車に乗る楽しみを具現化したアドベンチャーバイクが、ここで紹介する「インバージョン」だ。MTB乗りのためのロードバイクと表現されるモデルだが、それは同時に、ロードバイク乗りに新発見をもたらす自転車ということでもある。

やや強いスローピングのフレームは、スチールらしく細身でシュッとしたシルエットを見せる。それに見合った柔軟な乗り味を予感させるが、さにあらず。かなり硬質であり、乗り手に単純な安楽さをもたらさない。しかし決して過度な緊張を強いるほど硬いわけではなく、テーパード形状のカーボンフォークが路面からの振動を適度に吸収しつつ、フレーム全体は前へスムーズに進んでくれる。あらためてフレームを見ると、トップチューブとダウンチューブは両端へ向かうほどボックス型になるハイドロフォーミング加工が施されている。ただの丸パイプでは発揮しえない剛性感の理由だろう。スチールというフレーム素材の新たな可能性を感じさせる一台だ。

荷物スペースを稼ぐ各種アイレットの豊富さも特徴。フォーク左右、ダウンチューブ上下、シートステー周りなど、およそ考えられる全ての場所にアイレットが設けられている。キャリヤや各種のカーゴラックを駆使したキャンピング仕様にも最適だろう。

インバージョン

フォークブレードはかなり細身。強くブレーキをかけるとわずかにしなるが、フレーム全体の挙動を乱すほど柔らかくはない。アイレットがあり、積載能力は十分

インバージョン

ヘッドチューブ寄りのボリュームを変化させているトップチューブとダウンチューブ。これによって横方向の剛性感が高まり、硬質な乗り味に結びついたと思われる

インバージョン

幅があるBBシェルを生かしてタイヤクリアランス(最大38mm)と剛性を確保したチェーンステー。ブリッジがあるのでフェンダーも付けやすい

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キャリヤ用のアイレットと太めのブリッジを備えたシートステー。振動吸収性よりもシャープな乗り味を追求したシンプルなパイプ構成だ

インプレッション

オフロード:暴れ馬を操るような独特の面白さ

インバージョン

スチールフレームの常識を覆すような軽快な走破性が味わえる。試乗車にセットされたタイヤが700×34Cとさほど太くないこともあって、荒れた路面では自転車が暴れがちだったが、過度な緊張を強いないくらいの適度な安定性は確保されており、路面と対話しながら走るような独特の楽しさがある。

オンロード:思いのほか硬質ゆえに加速感が心地よい

インバージョン

よくできたスチールロードそのままといった印象で、わずかにしなるフレームの反発を感じながら気持ちよく加速することができる。スチールフレームとしては十分に軽量でもあり、オンロードメインの乗り手も十分に満足できるだろう。大型サドルバッグを吊るしても不快な振動は発生せず、リヤ三角の剛性も高い。

SPEC

フレームセット(インバージョンチーム)価格/13万8000円(税抜)、シマノ・105完成車(インバージョンプロ)価格/26万8000円(税抜)
フレーム:Dフュージョンフルバテッドクロモリ
フレームサイズ:45、48、51、54cm
フォーク:フルカーボン
カラー:スモーク×オブシディアングレー(チーム)、ガーネット(プロ)
メインコンポーネント:シマノ・105(試乗車はアルテグラ)
クランクセット:シマノ・RS510 50/34T
カセット:シマノ・105 11-34T
ブレーキ:TRP・HY/RD油圧ディスク 160mmローター
ホイール:WTB・ST i21ディスクTCS
タイヤ:WTB・エクスポージャーTCS 700×34C
ハンドル:オーバルコンセプト・325(試乗車は725)
ステム:ブリーザー・Bロード(試乗車は3T・ARXII)
サドル:WTB・ボルトコンプ
シートポスト:ブリーザー・アルミ
試乗車実測重量:9.6kg(ペダルなし)

*構成パーツは完成車「プロ」の仕様。試乗車の「チーム」はメインコンポーネントがアルテグラで組まれていたが、構成パーツの多くはプロと共通。