キャニオン・グレイルCF SL 8.0 このジャンル随一の実力を感じさせる異形のダブルデッカー
目次
「欲しい!」と思わせるルックスと確かな走り
ドイツらしい技術志向とダイレクトセールスによるコストパフォーマンスで知られるキャニオン。そして、唯一無二の二階建てハンドルがあまりにも独創的なグラベルバイクが「グレイル」だ。
一見するとステムが存在しないかにも見えるコクピットだが、ブラケットを握ると何の違和感もない。市販のハンドルやステムを利用できないのでフィッティングに一抹の不安はあるが、幸い筆者はSサイズのフレームと標準のコクピット周りで自然な乗車姿勢が得られた。そしてこぎだすと、フレーム全体の硬質感によって鋭い加速を味わうことができる。高品質カーボン特有の乾いた感触だが、いやな突き上げが少なく、着座できるシーンも多い。VCLSシートポストというサドル下で二股に裂けた構造も効いてる印象だ。標準装備のタイヤ(シュワルベ・Gワンバイト)の良好なグリップ感と相まって、オンとオフを区別せずに快走できる。
注目のハンドルだが、GRXの優れたSTIレバーと相まって、グラベルではブラケットを握るシーンが圧倒的に多いので、二階建て構造のメリットは感じにくい。一方、オンロードでフラット部を握って流すようなシーンでは、振動が嘘のように消えて心地よい。また、下ハンを握った際に一階部分が親指をサポートしてくれ、操作感が良好だ。総じて「欲しい」と思わせる魅力が詰まった一台だ。
インプレッション
オフロード:突き上げが少なく着座できるシーンが増える
重量以上に軽く感じる乗り味で、上りの加速感が気持ちいい。コースが下りに転じても気持ちよさは続き、路面からの突き上げがかなり穏やかだ。他に比べて明らかに振動吸収性に優れ、着座できるシーンが増える。フレーム全体とシートポスト、そして優秀なタイヤの相乗効果を実感できる。
オンロード:スカッと加速できる剛性感と軽さ
ほとんどロードバイク。コンマ1秒を競うロードレースでないかぎり、舗装路上でもグレイルに不満を感じることはないだろう。700×40Cのタイヤでもなお軽快で鋭い加速を味わうことができる。フレックスゾーンである上部ハンドルのフラット部を握ると、嘘のように路面の振動が消える。
SPEC
シマノ・GRX800完成車価格:28万9000円
フレーム:キャニオン・グレイルCF SLディスク
フレームサイズ:2XS、XS、S、M、L、XL、2XL
フォーク:キャニオン・FK0070 CFディスク
カラー:クラウドグレー、ディスカバリーブルー
メインコンポーネント:シマノ・GRX800
クランクセット:シマノ・FC-RX810-2 48/31T
カセット:シマノ・アルテグラHG800 11-34
ブレーキ:シマノ・BR-RX810
ホイール:DTスイス・G1800スプラインdb
タイヤ:シュワルベ・Gワンバイト 700×40C(XSサイズ以下は650×40B)
ハンドル:キャニオン・CP07グラベルコクピットCF(ステム一体型)
サドル:フィジーク・アリアンテR5
シートポスト:キャニオン・S15 VCLS 2.0 CF
試乗車実測重量:8.8kg(ペダルなし、ケージ2つ込み)