フジ・ジャリ1.3 あらゆる旅を可能にする硬派かつ多用途なアルミモデル

目次

ウエア協力:ウエイブワン、ダイアテック

フジ・ジャリ1.3

フジ・ジャリ1.3

シンプルな外観に秘めた高い拡張性

日本生まれのアメリカンブランドであるフジ。グランツールを走るレーサーから遊び心あるストリートモデルまで多様なラインナップを誇るが、一段と力が入っているのがアドベンチャーロードである「ジャリ」(もちろん由来は砂利)シリーズだ。カーボン、アルミ、スチールとグレードごとに各種のフレーム素材を採用しているが、ここではアルミフレーム+スラム・エイペックス1Xを採用したジャリ1・3を紹介する。

どの素材を用いたジャリにも共通するのが独特の硬質感であり、特にアルミフレーム採用の本モデルはその個性が際立っている。アルミが硬いというのはよく言われることだが、それゆえの心地よい加速感を保ちつつ、足に疲れがこない柔軟性も併せ持つのがジャリの個性。ハードブレーキングするとたわむほどしなやかなカーボンフォークと独特な曲げ加工が施されたシートステーによって「全体として硬いのに疲れにくい」という絶妙な乗り味を実現している。フォークやフレーム各部にはアイレットを完備しており、さまざまなツーリングスタイルにも対応できる。スラムのコンポは、シマノ・GRXが普及しつつある今日では長所となり得ないが、早くからフロントシングルを採用したメカであり、直感的な変速操作とアドベンチャーバイクにふさわしい信頼感が魅力だ。

フジ・ジャリ1.3

細身のカーボンフォークにケージやフェンダー用のアイレットを完備。このグレードではワイヤー引きの機械式ディスクブレーキだが、手頃な価格が魅力だ。

フジ・ジャリ1.3

扁平に加工されたダウンチューブにワイヤーとホースを内蔵。下面にアイレットを備えるが、やや前寄りなのでツールボトルなどを入れた場合はタイヤとの干渉に注意が必要。

フジ・ジャリ1.3

同じく扁平に加工されたトップチューブには、万一の担ぎを想定したシリコンパッドが貼られている。アドベンチャーバイクであるジャリのコンセプトを象徴する配慮だ。

フジ・ジャリ1.3

薄いチェーンステーとベンド加工されたシートステーによる広いクリアランスのおかげで、最大で700×45mmまたは650×47mmのタイヤに対応する。

インプレッション

オフロード:タイヤに仕事をさせる硬質な乗り味

フジ・ジャリ1.3

本モデルのフレームはアルミのイメージそのままに硬質だ。一方で寝かせ気味のヘッドアングルや長めのシートステーなど設計全般は安定志向なので、路面が荒れていたり荷物が多いシーンでも、タイヤのグリップ力を信じて気負わずに進むことができる。よくしなるフォークが路面の状況も的確に伝えてくれる。

オンロード:乗り手を甘えさせない適度な快適性が好感

フジ・ジャリ1.3

踏めば踏んだだけ素直に進んでくれる。スチールやカーボンのようにフレーム全体が細かな振動を消し去るような優しい乗り味ではないが、不快と感じるような大きな衝撃はしっかり和らげてくれる。ダート走行で疲れたあとも、自走で帰ろうと思えるだけの安定感と快適性は十分に備わっていることが実感できる。

SPEC

スラム・Apex 1X完成車価格:18万5000円(税抜)
フレームA6-SLスーパーバテッドアルミ
フレームサイズ:46、49、52、54、56cm
フォーク:FC-440クロスカーボン
カラー:マットシルバー
メインコンポーネント:スラム・Apex 1X
クランクセット:FSA・オメガアドベンチャー 40T
カセット:スラム・PG1130 11-42T
ブレーキ:テクトロ・MD-C550機械式ディスク、160mmローター
ホイール:WTB・ST i23
タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSK 700×38C
ハンドルオーバルコンセプト・325
ステムオーバルコンセプト・313
サドルオーバルコンセプト・438
シートポストオーバルコンセプト・300
試乗車実測重量:9.6kg(ペダルなし)