サーヴェロ・アスペロディスクGRX 文句なしに速いうえに誰もが納得の扱いやすさを備えた真のオールラウンダー

目次

ウエア協力:ウエイブワン、ダイアテック

アスペロ

サーヴェロ・アスペロディスクGRX

あらゆる路面で意のままに操れる

カナダ発祥のサーヴェロは、Sシリーズに代表されるエアロロードやタイムトライアルバイクの印象が強いレーシングブランドだ。2016年にCシリーズというディスクブレーキ採用のエンデュランスロードを投入し、その高い走破性と安定感が注目を集めたが、対応タイヤ幅が32mmまでと中途半端で、ロードレースを狙ったのかグラベル志向なのか位置付けが分かりづらかった。

昨年に登場した「アスペロ」は、Cシリーズを思い切ってタフな仕様に生まれ変わらせた完全なグラベルバイクだ。ターゲットはレース志向が強いサーヴェロらしく、「グラベルレース」という。そうした晴れ舞台やニーズがほとんどない現在の日本において受け入れられるのだろうか……。

まったくの杞憂だった。ごく普通に、安心かつ楽しくダート林道を走ることができるモデルだ。サーヴェロらしくホイールベースは切り詰められているし、フレーム全体に硬さはある。それでいて疲れにくく、路面の当たりは思いのほかソフトで弾かれない。ハンドリングは適度におとなしく、スピードが乗る下り、歩くような遅さになる上りのいずれでも狙ったラインを通すことができる。オンロードでは当たり前のように軽快だ。荷物積載を考慮したアイレットなどは少ないが、上質なツーリングバイクとして活躍の場は広いだろう。まさに万能モデルだ。

アスペロ

先端に「トレールミキサー」と呼ばれる機構を備えたフォーク。±5mmのオフセット量を選択でき、ホイールを650Bに換装しても自然なハンドリングになる

アスペロ

エアロロード然としたシートステー。こちらも細くサスペンション効果が期待できるデザインだ。シートステーが低いと大型サドルバッグとの相性もよい

アスペロ

プロテクターを配したダウンチューブ下面にもアイレットを備える。全体としてアイレットは多くないので、ツーリング志向が高いモデルではない

アスペロ

BBより下がった位置から伸びるシートステー。根元ではダウンチューブと一体になるほどボリュームがあるが、エンドへ向かうほど細身になって振動を吸収する

インプレッション

オフロード:路面に吸い付くような絶妙の接地感

アスペロ

サーヴェロのグラベルレーサーということで身構えていたのだが、ピーキーな挙動はまったくなく、驚くほど扱いやすい。フレーム自体はしっかり硬いのに不思議と路面の当たりがソフトに感じられ、ダートをぐいぐい走っても疲れにくい。接地感がよくて弾かれないから、無駄なパワーを使わずに済むのだろう。

オンロード:硬質なのに疲れにくいバランスがよい剛性感

アスペロ

オンロードでも扱いやすさは変わらない。ドネリーの万能タイヤを履いている効果もあって、太くても無駄に路面をこじるような抵抗感が薄く、スムーズに加速することができる。路面の小さな凹凸は当然のように消し去ってくれるから、手や腰への負担が少なく疲れにくい。これも理想の自転車に近い万能車だ。

SPEC

シマノ・GRX完成車価格:52万円(税抜)、フレームセット価格:32万円(税抜)
フレーム:カーボン
フレームサイズ: 48、51、54、56cm
フォーク:カーボン
カラー:ミッドオリーブ×デューン
メインコンポーネント: シマノ・GRXシリーズ
クランクセット: イーストン・EA90 47/32T
カセット:シマノ・HG800 11-34T
ブレーキ: シマノ・アルテグラR8070
ホイール: イーストン・EA70AX
タイヤ:ドネリー・X’Plor MSO チューブレス 700×40C
ハンドル:イーストン・EA50 AX
ステム:イーストン・EA50
サドル:プロロゴ・ディメンションNDR STN
シートポスト:イーストン・EA50
試乗車実測重量:9.1kg(ペダルなし)