ファクター・ビスタ ロードの最新トレンドを余すところなく凝縮したグラベルレーサー
目次
乗り手と用途を選ぶ一点突破型モデル
2007年にイギリスのエンジニアリング会社から誕生したファクター。歴史は浅いが、その技術力と積極的なレース参戦で存在感を高めつつあるブランドだ。「ビスタ」はファクターが持てる技術の総力を挙げたオールロードという位置付けのモデルだ。
ビスタはタイヤこそ幅30〜35mmと太めが想定されているが、その実態は完全なエアロロードだ。ヘッドチューブを上下からクランプするヒンジタイプのヘッドデザインを採用し、ハンドルはステム一体型。空気抵抗に最も影響を与えると言われるフレーム前面周りが徹底的にエアロ形状なのが特徴だ。リア三角もコンパクトでエアロ効果の追求に余念がない。
末広がりの専用ハンドルを採用しており、グラベル向けであることは間違いないモデルだが、その個性であるエアロ効果を実感できる速度域でグラベルを走ることが筆者にはできない(汗)。シートステーが細い割には乗り味がどこまでも硬質で、特に上りで推進力が高い……とは思う。
今後、国内でもグラベルレースが盛り上がれば、本モデルのように尖ったモデルの真価が発揮されるだろう。米国カンザス州で開催され、グラベルレースの頂点と言われる「ダーティカンザ」で入賞し、全米グラベルランキング2019年の女子トップに輝いた竹下佳映さんが駆るのも、ファクター・ビスタだ。
インプレッション
オフロード:スキルがあれば猛烈に速い……はず
フォークやシートステーが極端に細いが、悪路でも積極的にしなったりはせず、あくまで剛性重視でペダリングの効率を重視している印象。フレーム自体が乗り手を楽にはしてくれないのでタイヤ選びが重要になるが、幅35mmまでしか対応せず、ファンライドよりシクロクロス系のレース向けとなる。
オンロード:速度域が高いほど安定感が増す
レーシングロードそのもの。のんびり走っているとフラつくが、トルクをかけてスピードを乗せていくほどビシッと安定する。エアロヒンジ形状のフォークの空力効果を確かめられるほどの速度域はなかなか維持できないが、ハンドル周りに当たる空気の抜けがよいなとは感じた。上りでもスムーズに加速できる。
SPEC
フレームセット価格:54万5000円(税抜)
フレーム:カーボン
フレームサイズ:49、52、54、56、58cm
フォーク:カーボン
カラー:ストーングレー、CHPT3Devesa、ブラック、ハンターグリーン
フレームセット付属品:フロントフォーク、ステム一体型ハンドル、シートポスト(オフセット15mm)、セラミックスピードBB、ヘッドセット、ガーミン用コンピュータマウント、バーテープ
試乗車実測重量:8.0kg(ペダルなし)