プロメカニック永井孝樹さん直伝ロードバイク洗車法
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カーケア用品の老舗、シュアラスター(SurLuster)から待望の自転車用チェーンクリーナーとチェーンルブが登場! ロードバイクをはじめとしたスポーツバイクのメンテナンスにぴったりのこのアイテムを使った洗車方法について、メカニックとして有名なポジティーボ代表・永井孝樹さんに伝授してもらう。
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シュアラスターの自転車用新ケミカル「チェーンクリーナー」&「チェーンルブ [セミドライタイプ]」
チェーンクリーナー
スプレータイプのチェーンクリーナー。自転車に特有の空気中から来る汚れと路面から来る汚れ、そして粘度の高い油汚れでもしっかり落としてくれる特殊洗浄成分が配合されている。また、噴射の勢いが強いので、その勢いで汚れをスピーディに落としてくれる。これらの特徴から、チェーンメンテナンスに不慣れな人でも簡単・確実に取り扱うことができる。
チェーンルブ [セミドライタイプ]
スプレータイプのチェーンルブ。セミドライタイプで、非常に柔らかいオイルとなっている。フッ素樹脂配合による“ペダリングの軽さ”が特徴で、レーサーだけでなくサイクリングがメインの自転車乗りが使っても恩恵が大きい。また、ファインセラミックス配合により300kmは余裕で持つという耐久力、表面に皮膜を作り汚れの付着を防ぐ効果も持っている。
日本のプロロードレーシングチームと共同開発
これらの新製品は、宇都宮ブリッツェン/さいたまディレーブの両チームと共同開発しており、日本のプロ選手やプロメカニックの意見がしっかりと取り入れられている。一方で、シュアラスター社によると一般のサイクリストが使いやすいようにすることを主眼に置いており、自信を持っておすすめできるアイテムに仕上がっているという。
永井孝樹さん直伝 シュアラスターのケミカルを使ったロードバイク洗車法
ここからは、メカニックとして高名なポジティーボ代表の永井孝樹さんに、シュアラスターの新製品とその他おすすめアイテムを使ったロードバイク洗車術を教えてもらう。
作業する前に準備するもの/準備すること
「まず、自宅の屋外で作業する場合でコンクリートの地面を汚したくないといった場合は、保護マットを敷くことをおすすめします。マットでなくても、どんなものでも構いません。もちろん、必要ないという方は敷かなくてもOKです。それから、メンテナンススタンドはあると非常に便利です。ホイールは前後ともあらかじめ外しておきましょう。チェーンを回しやすくするダミーハブもできれば用意すると便利です。市販のもので、何でも構いません」と永井さん。
「水道を確保しましょう。シャワーヘッド付きのホースもあると便利です」。
「それから、ホームセンターで手に入るものでいいので、食器洗い用などの細長いブラシ、耐油性のハケ、ハンドブラシ、バケツを用意しましょう。シュアラスターのチェーンクリーナーに付属してくるブラシも使います」。
「作業に適した服装にしてください。手の汚れ/手荒れを防ぐために耐油性のゴム手袋、水で濡れても大丈夫なようにゴム長靴、そしてエプロンを着るといいですね」。
STEP1 チェーンクリーナーで駆動系を洗浄する
「最初に、油で汚れているチェーン・ディレーラー・スプロケットの駆動系をシュアラスターのチェーンクリーナーで洗浄していきます」。
チェーン洗浄
「チェーンクリーナーをチェーンに噴きかけていきます。このとき、ウエスを当てると周りに飛び散ることもありません。
シュアラスターのチェーンクリーナーですが、噴射力が強くて噴きかけるだけで結構汚れが落ちます。洗浄力自体も高くて、粘度の高いしつこい汚れも落としてくれます。またノズルがよくできていて、狙った部分に集中して溶剤が当たるので、無駄がないです」。
「次に、チェーンクリーナーに付属のブラシでこすり、汚れをよく浮かします。このときのコツは、毛先をあまり強く押し当てないことです。強く押し当てると毛先が寝てしまい、汚れを浮かしにくくなるからです。また、チェーンのリンクの内部によく当たるようにします。チェーンの上から、下からと、両側からこすりましょう」。
「汚れを浮かしたら、それが乾かないうちにもう一度チェーンクリーナーを噴きかけて汚れを落とします」。
プーリーとチェーンリングの洗浄
「続いて汚れがたまりやすい、リヤディレーラーのプーリー部分です。ここも直接チェーンクリーナーを噴きかけて、付属のブラシで汚れを浮かしてください。汚れが浮いたらまたチェーンと同様にチェーンクリーナーをかけて汚れを落とします」。
「このシュアラスター チェーンクリーナー付属のブラシですが、ちょうど良い硬さで、こうした部分の汚れを浮かして落とすのに便利ですね」。
「その次はチェーンリングです。ここもまずは直接チェーンクリーナーを噴きかけて、付属のブラシで汚れを浮かします。耐油性のハケを持っている人は、併用して隙間まで汚れを浮かしましょう。アウターに入れたりインナーに入れたりして、クランクを回転させながらブラッシングしていくとやりやすいです。
汚れが浮いたら、同じように仕上げとしてチェーンクリーナーを噴きかけ、汚れを落とします」。
フロントディレーラー&リヤディレーラー本体の洗浄
「フロントディレーラーも同様に、最初にチェーンクリーナーを噴きかけ、その後でハケを使って汚れを浮かせていきます。内部にはしっかり毛先が届くようにしてください。ただし、強く押し当てて毛先は寝かさないように。汚れが浮いたら、やはり乾かないうちに再度チェーンクリーナーを噴きかけ、仕上げとして汚れを落とします」。
「チェーン洗浄の後それに続いてリヤディレーラーのプーリー部分の洗浄をしましたが、今度はリヤディレーラー本体の部分を洗浄します。やり方は同じで、最初にチェーンクリーナーを噴きかけ、その後でハケで汚れを浮かし、最後にまたチェーンクリーナーを噴きかけて仕上げとして汚れを落とします。フロントディレーラー同様に、複雑に入り組んでいる部分にハケの毛先が届くようにするのがコツです」。
見えない部分に汚れがたまりやすい
フロントディレーラーとリヤディレーラーのように複雑な形状の部品には、目に見えない部分に汚れがたまっていくことが多いです。内部やプレートの内側にもしっかりと目を向けて、汚れを落とすようにしてください」。
カセットスプロケットの洗浄
「次にリヤホイールのカセットスプロケットの洗浄です。最初にパーツクリーナーを噴きかけます。裏面など、細かいところにもしっかりかけるようにしてください。ポイントは、上の写真のようにカセットスプロケットが斜め下を向くようにして、上からスプレーすることです。こうすると溶剤が下に垂れて効率が良く、かつハブの内部へのクリーナーの侵入を押さえられます。リムにしたたることもありません。なお、ディスクブレーキの場合はこのときブレーキローターに溶剤がかかるかもしれませんが、後できれいに落とすので問題ありません」。
「次にクリーナーが乾かないうちに、付属ブラシでこすって汚れを浮かします。溶剤は下の方に垂れてくるので、下側をこすると良いです。ブラシでこすりながらカセットスプロケットを回転させていくと作業が早いですよ。終わったら、チェーンクリーナーを再度噴きかけ、仕上げとして汚れを落とします」。
STEP2 全体のシャンプー洗浄
「駆動系のチェーンクリーナーによる洗浄が完了したら、次は全体のシャンプー洗浄を行います」。
シャンプー洗浄で使用するアイテム
「ここで使うのは上の2つのアイテムです。スポンジはできたら2つ用意して、先ほどチェーンクリーナーで洗浄した油が付着していた部分に使うものとその他のフレーム&ホイール本体に使う用を分けてください。フレーム&ホイール本体に使うスポンジは、傷をつけないように良いものを使うことをおすすめします」。
バケツにゼロシャンプーを入れ、水で泡立たせる
「バケツにゼロシャンプーを適量入れ、水をシャワーでかけて泡立たせます。この製品はシャワーをかけるだけて簡単に泡立つようになっています。しっかりと泡を作っておくことが大事です」。
フレーム&フォーク全体に水を軽くかける
「最初に、上から全体的に軽く水をかけます。これによって、砂や細かなほこり、鉄粉などを洗い流します。これをやらずにいきなりスポンジで洗い始めると、そうしたものを巻き込んでフレームなどを傷つける原因となります」。
ディスクブレーキの場合はブレーキキャリパーを先にきれいにする
「ディスクブレーキの場合は、ショップでプロが洗車する場合はブレーキパッドを最初に外して洗います。ただ、一般の方がそれをやるのは難しいと思うので、一番最初に水をかけてきれいにし、汚れていないきれいな状態のブラシで内部を洗浄してください。要するに、ブレーキパッドが油分を吸わないようにすることが大切ということです」。
洗いにくい部分から先に洗浄する
「次に、最初にパーツクリーナーで洗浄した駆動系の部分と、バイク下側の“洗いにくい部分”から洗浄するのが永井流です。最初にフレーム部分など大きくて分かりやすい所から取りかかると、泡に埋もれて汚れを見逃しやすくなるからです。まずはブラシを使って手が届きにくい部分から行います」。
「次にスポンジを使い、チェーンを包んでクランクを回転させながら泡立てて洗います。そしてクランクとチェーンリングもスポンジで洗います。先に説明したように、こうした油汚れを含む駆動系を洗うスポンジは、フレームなどを洗うスポンジとは分けてください。ペダルもこのとき一緒に洗ってしまいます」。
「リヤディレーラーとフロントディレーラーの外側も洗います」。
フレーム&フォークをスポンジで洗う
「駆動系が洗い終わったら、フレームなどに使う用のスポンジに切り替えて、フレーム&フォークを洗っていきます。このときも、下側の洗い残しやすい部分から洗ってください。例えばBBの下側とか、チェーンステーのあたり、フォークの裏側です」。
「ハンドルまわりも泡立ててスポンジで洗ってしまってOKです。汗やよだれが付着して腐食しやすい部分なので、しっかり泡で汚れを引き剥がしてあげます。サイクルコンピューターとライトなどのブラケットも装着したまま洗ってOKです。ただし、本体は先に取り外しておくように」。
「サドルの裏側はしっかりブラシを差し込んで洗ってください」。
「ボトルケージまわりも意外と汚れます。特にスポーツドリンクの糖分が固まってひどい汚れになったり、BB裏側に垂れてワイヤリードの動きを悪くすることがよくあるので、このあたりもしっかりと洗っておきます」。
フレーム&フォーク全体に水をかけて泡を流す
「フレーム&フォーク全体を洗い終わったら、水をかけて泡を流します。泡が乾かないうちにできるだけ早く流してください。コツは、上から水をかけていくことです。泡は下に流れていくので、上からかけていくと効率が良いです。
このときやってはいけない水のかけ方があります。ヘッドパーツ/BB/リヤディレーラーのプーリーの回転部分など、水の侵入を防ぎたい所に集中的に水をかけてしまうことです。どうしても毛細管現象で水が入ってしまいますから、このあたりはさっと短時間だけ水をかけるようにしてください」。
ホイールのシャンプー洗浄→ディスクブレーキの場合はブレーキローターを先に
「続いてホイールのシャンプー洗浄です。ディスクブレーキの場合は、油分の付いていないきれいなスポンジで先にブレーキローターを洗ってしまいます。ここに油分を付けないようにするためです」。
カセットスプロケット&ハブの洗浄
「次にカセットスプロケットです。ハンドブラシを使って、回転させながらゴシゴシしていくと作業が早いです。
そして細長いブラシを使って、洗いにくいハブの部分も洗ってしまいます」。
リムをスポンジで洗う
「リムをスポンジを使って洗います。もし雨の日に走った後なら、タイヤとリムとの隙間に汚れがたまりやすいので、ハンドブラシを使ってしっかり汚れを落としましょう」。
スポークを洗う
「スポークもスポンジで洗います。このときコツがあって、スポークの交差部分にスポンジを差し込むように洗わないことです。ここでスポンジがちぎれてしまって残るためです」。
水をかけてホイールの泡を流す
「前後とも洗い終わったら、上から水をかけて流します。カセットスプロケットには注意が必要で、ロックリング部分を斜め下に向けるようにして水をかけることです。ここを上にして水をかけるとハブに水が入ってしまう可能性があります」。
STEP3 水分の拭き取り
水分の拭き取りで使うシュアラスター マイクロファイバークロス
「水分の拭き取り用に、高性能なマイクロファイバークロスを使います。また、チェーンの拭き取り用に汚れてすぐ捨ててもいいウエスを別で用意するといいでしょう」。
全体を優しく拭く
「まず、細かい所を拭いていく前に、全体的に優しくクロスで拭いていきます。このとき、バイクがきれいになっているので、傷や破損を発見する良い機会になります。じっくりバイクの状態をチェックしてあげてください」。
細かなパーツは水分を吸わせていくイメージで
「例えばブレーキキャリパーなど、細かいパーツについては、拭き取るというよりクロスを包み込んだり当てて水分を吸わせるイメージで水分を取り除きます」。
チェーンは汚れてもいいウエスで拭く
「チェーンは少し汚れが残っていたりすることもあるので、ボロ布やペーパーウエスなど、すぐ捨ててもいいようなウエスでくるんで、クランクを回して拭き取ってください」。
ホイールはじっくり気の済むまで拭き上げる
「ホイールは、特にリムブレーキの場合は割と汚れが残っていることがあるので、よくチェックしながら気の済むまでじっくり拭いてください。カセットスプロケットは、指でくるくると回して水を飛ばしてあげればOKです。ロックリング部分には、クロスを当てて水分を吸わせてください」。
ブレーキローターは専用のクロスを用意すること
「ディスクブレーキの場合は、ブレーキローターを拭くときは別のきれいなクロスを用意してください。そこまでしないといけないの? と思うかもしれませんが、安全に関わる部分で特に油分の付着には気をつけたいですから、そこまで注意をしてほしいと思います」。
STEP4 仕上げのコーティング作業
「仕上げの拭き上げとコーティング作業を行います。使うのは、シュアラスターのゼロフィニッシュです。コーティングを行えるだけでなく、汚れを落とすこともできるので、ここまでやってまだ残っている汚れの拭き取りも可能です。コーティング作業をしておくと、その成分によって汚れが付きにくくなるという特性が出ます。なので、ぜひやっておきたい作業です」。
仕上げのコーティング作業で使うシュアラスター ゼロフィニッシュ
「マイクロファイバークロスに適量を噴きかけ、バイク全体を拭いていきます。液剤を伸ばしていくようにしながら拭き上げましょう」。
STEP5 注油
「最後に注油です。使うのはシュアラスター チェーンルブ [セミドライタイプ]です。スプレー式の場合は、クランクを回しながら違ったアールに1リンクずつ噴きかけていくのがポイントです」。
チェーンに注油する
「ディスクブレーキの場合は、ブレーキキャリパーに万一溶剤がかかってしまわないように、あらかじめウエスで養生しておくと良いです」。
ディレーラーの関節部分に注油する
「チェーンに注油し終わったら、少し乾くまで待ちます。その間に、ディレーラーの関節部分に注油します。サビ防止と軽く油膜を作ってあげることが目的なので、さっとかけてあげればOKです。
このシュアラスターのチェーンルブ [セミドライタイプ]ですが、ノズルの部分が使いやすいので、チェーンだけでなくディレーラーのピボット部分など、注油しにくい細かい部分にもしっかり注油できるのが良いポイントです。粘性もちょうどよく、それも注油のしやすさにつながっていると思います」。
チェーンルブの拭き取り
「少し時間が経過してある程度ルブがチェーンに浸透したなと思ったところで、汚れてもいいウエスでチェーンルブの余分を拭き取ります。このときのポイントですが、リンク内部を拭くのではなくて、チェーンの両側面を拭くようにすることです。クランクを回しながら、ウエスを指で両サイドから当てて拭くと良いです。
以上で、洗車は完了です」。
水を使えない人はどうやって洗車する?
ここまでは水を使った洗車方法について教えてもらったが、アパートなどの集合住宅に暮らす人は水を使って洗車するのは難しい。そうした人はどうしたらいいのか?
「チェーンクリーナーを使って、駆動系のチェーン・チェーンリング・ディレーラーまわり・カセットスプロケットを洗浄するところまでは流れは同じです。水で流す代わりに、最後にそれらをウエスで拭き取ってください。それで十分にきれいになります。
その後で、フレームやホイールなどを全体的にシャンプー洗浄する作業の代わりに、ゼロフィニッシュで拭き上げてきれいにしてください。最初は全体的に拭いていってから、細部をきれいにしていくと効率がいいです。シャンプー洗浄しなくても、これでかなりきれいになります。
要するに、シャンプー洗浄をして水で流す作業の代わりに、このゼロフィニッシュを使うということですね。室内でも、工夫して愛車をきれいにしてみてください。
なお、室内で行う場合は換気をするように気をつけてください。また、必要に応じて床や壁が汚れないようにマットや新聞などで養生してください」。
面倒くさくならない方法で、300〜400kmに一回は洗車を
最後に、永井さんからアドバイスだ。
「水が使えるか、使えないかなど洗車をする環境は人それぞれ違いますが、今回使ったシュアラスターの製品は、工夫次第で臨機応変に対応できるのが良いポイントです。こうしたアイテムをうまく使って洗車を心がけることで、バイクもいい状態で乗れるし、消耗パーツの寿命も伸びます。
300km〜400kmに一回、30分くらいの時間からでいいので洗車をしてもらえるとベストだと思います。ただ、面倒くさくならない、自分なりにやりやすい方法を見つけてください。それが洗車作業が長続きするコツです」。
Brand Info〜シュアラスターについて
1947年にアメリカのカリフォルニア州で誕生した自動車ケア用