話題のブーストオイルシリーズをフィッテ倉本店長がインプレ!
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現役プロロードレーサー・吉田隼人選手(マトリックスパワータグ所属)が監修した話題のケミカルブランド、ブーストオイルシリーズ(BOOST OIL Series)がついに販売開始。製品を紹介するとともに、チェーンオイルについて有名プロショップ Fitte(フィッテ)の倉本佳明店長によるインプレッションをお届けする。
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ブーストオイルシリーズとは
ブーストオイルシリーズは“現役プロ選手が納得するチェーンオイルを作る”というコンセプトから、吉田隼人選手が監修して誕生したケミカルブランドだ。特にチェーンオイルについては、低抵抗・汚れない・飛散しないの3つをポイントとしている。
現在はチェーンオイル2種類・ディグリーザー1種類・グリス2種類のラインナップだが、新作を開発中で今後ラインナップは追加されていく予定だ。
ブーストオイル ヴィオラ(BOOST OIL viora)
オールラウンドに使えるタイプのチェーンオイル。汚れにくく飛散しないというポイントを押さえつつも、低い抵抗と高い耐久性を実現しており、ザーザー降りの雨のレースでも4時間は持つ。容器が特殊でスポイト式となっており、チェーンの1コマずつ適量を注すことが可能で、浸透性も高い。ベースオイルに最高品質のものを用いており、まさにプロ仕様の最高級オイルとなっている。
ブーストオイル ヴェルデ(BOOST OIL verde)
ブーストオイル ヴィオラの性能はそのままに、より悪天候時の耐久性を持たせたチェーンオイル。雨のレースでも6時間は余裕で持つほどの耐久力がある。コンディションの悪いレースではこちらを選択すると良い。
ブーストオイルシリーズのその他ラインナップ
チェーンパーツディグリーザー(Chain Parts DEGREASER)
水溶性のディグリーザーで、プラスチック容器での使用も問題なく、ほぼ無臭。環境への負荷も少ない。一方で十分な洗浄力も実現している。チェーンはもちろん、各部駆動系の洗浄に使用できる。
プレミアムグリス(PREMIUM GREASE)
万能に使えるタイプの高性能グリス。ネジ山やBBまわりのサビ防止にもおすすめだ。なお、ヘッドパーツやハブなど、より圧力がかかる部分に適したタイプのグリスも今後発売する予定だ。
カーボングリス(CARBON GREASE)
カーボンパーツ用のグリス。カーボンハンドルやカーボンシートポストなどの固定とずれ防止に活躍する。通常のカーボンパーツ用グリスはコンパウンド(粒状の成分)が配合されているが、これはコンパウンドを含まない。それでいてコンパウンドありのものと同等のずれ防止効果を発揮する。コンパウンドがない分、カーボンパーツを傷つけてしまう心配がない。
ブーストオイル ヴィオラ&ヴェルデをFitte倉本店長がインプレッション
気になるチェーンオイル2種類について、有名プロショップ、Fitteの倉本店長にインプレッションしてもらう。新品チェーンを脱脂したものを装着し、ヴィオラとヴェルデそれぞれを塗布して約200kmずつ走り込んでもらった。
踏んだときに柔らかい感じがする
「まず第一印象として、踏んだときに柔らかい感じがしました」と倉本店長。
「長距離を走って脚に疲労がこない柔らかさと言いましょうか、踏んでもガツガツこない感じがします」。
特に印象的だったのは、アウター×ローの、いわゆる“たすき掛け”状態での抵抗の少なさ、そして微妙な柔らかさです。この状態はかなりチェーンが曲がって抵抗が大きくなるのですが、それでも抵抗が少ない感じがしました。レース中では上り坂でインナーに落としてしまったら集団からちぎれてしまう、という場面がありますが、そんなときでもたすき掛け状態で踏ん張れますね。チェーンのラインを気にせず使える抵抗感でした。
これは、ブーストオイル ヴェルデの方がより感じられました。楕円リングで使ってみたのですが、アウター×ロー状態でクランク逆回転してもチェーン落ちしにくくなりました。チェーンの横の動きも良くなるというか、チェーンが張っていない状態でもしなりが出る感じがします
」。
汚れはするけど飛散しない。だからパーツに優しい
「汚れないというポイントについてですが、実際汚れました。自然な汚れはつくにはつきます。
ただし、砂などの異物がつきにくいです。雨上がりの日に主に走ったので、路面に砂などが浮いた状態だったのですが、それでもそれを拾っていませんでした。この異物がつきにくいというのは重要で、それによってチェーン・カセットスプロケット・チェーンリングにダメージを与えにくいのです。つまり、減らない。これは良い点です。
カセットスプロケット・プーリー・チェーンリングに残る汚れもさらっとしていて、よくありがちなギトギトに固まった汚れになりにくいです。それもいい感じです。ディグリーザーを軽くウエスに含ませて拭き取れば、“あらきれい”となりますよ。
一方で飛散しない、というポイントについては、そのとおり飛散はしないと思います。チェーンステーの部分にはインナーに落としたときにちょっとだけ汚れが飛んでいますが、特にオイルが飛んで汚れやすいリムの右側面には飛んでいませんでした。これは特にリムブレーキタイプを使っている人にはブレーキング性能に影響するので、大切だと思います。
なお、これはヴィオラとヴェルデの両方で変わりませんでした」。
より耐久力の高いタイプのブーストオイル ヴェルデでも、汚れ・飛散具合が変わらないというのは興味深い。
200kmは余裕で持つ
「耐久性についてですが、今回は雨の中では走らず、どちらも200kmずつのテスト走行でしたが、肌感覚でその程度の距離なら余裕で持つという印象です」。
ブーストオイルシリーズ総合評価〜レーサーのためだけのものじゃない
最後に、チェーンオイルについて総合評価をお願いしよう。かなり高級なものであるし、レーサーのためのオイルではあるが、これは一般ライダーにとってはどうなのだろうか? どんな人におすすめなのか?
「レーサーが開発したオイルということで、レーサーのためだけのものと思われがちかもしれませんが、そうではないと思います。これは一般のライダーが使っていいものだと思いますね。
異物を拾いにくく汚れが固まりになりにくいという点は、バイクの寿命を伸ばすことにもつながります。また、せっかくロードレーサー(ロードバイク)に乗るのだから、やはり抵抗の少ない状態で走りたいですよね。
そして、“バイクをいじるにあたってちゃんとしたいいものを使っているよ”という満足感が得られる点も大事だと思います。走りに行く気も満ちてくるし、所有欲も満たせる。私達一般ライダーがまるでF1カーを最高級オイルでメンテナンスしているかのような、そんな気分を味わえるという点でも良いと思いますよ」。