ロードバイクのメンテが楽になるエフェットマリポサの新製品をテスト
目次
シーラントをはじめ、チューブレス系製品で定評があるスイスの自転車メンテナンス用品ブランド「エフェットマリポサ(Effetto Mariposa)」。そのエフェットマリポサから生分解性で後処理がしやすく、ロードバイクなどスポーツバイクのメンテナンスがぐっと楽になるクリーナーやシーラントなどの新製品が登場。早速、編集部で使って試してみた。
水ですすぐだけの後処理簡単なチェーンクリーナー「アルパインエクストラ」
松根油(しょうこんゆ)と呼ばれる、松を伐採した根から得られる油をベースとしたチェーンクリーナー。天然抽出物をベースにしていて環境にやさしい一方で、強力な洗浄力を発揮する。溶剤と界面活性剤がバランス良く配合されており、洗浄とすすぎの作用が同時に行え、チェーンに残留物をまったく残さない。クリーニング後は水ですすぐだけで簡単に落ちる。チェーンスクラブマシーンに入れて使うのがおすすめだ。
「オールパインエクストラ」をテスト!
チェーンスクラブマシーンに入れて使用するのがおすすめということで、エフェットマリポサから新登場のチェーンクリーナー、「Mangiacatena(マンジャカテーナ) チェーンスクラブマシーン」に「アルパインエクストラ」を流し入れ、汚れたチェーンを洗浄してみた。
まず、容器の先がチューブ状になっているので、溶剤をこぼさずに出しやすい。溶剤は薄い水色をしており、“松からとれた成分を感じさせるような独特の香り”がする。
チェーンスクラブマシーン自体の性能が高いことにもよると思われるが、天然抽出物ベースのチェーンクリーナーとは思えないほど洗浄力が高かった。チェーンにこびりついた黒い油汚れの塊が、塊ごとごっそりと流れ落ちて行く様子は壮観だ。
クリーナーの洗い流しも、実際水だけで簡単だった。水と混ざると乳化するようになっているようで、白い液体となってすぐ流れ落ちていく。
これまでありそうでなかった、環境に優しくかつ強力な洗浄力を発揮してくれる新しいチェーンクリーナーと言えよう。
すすぎ不要で集合住宅での使用に便利なクリーナー「オールパインライト」
松根油をベースとした、生分解性のフレームクリーナー。噴きかけてウエスでこするだけで汚れが落ちすすぎが不要なので、集合住宅なら駐輪場やベランダなど、水が使いにくい場所での使用に便利。また、電子部品が多いeバイクや電動コンポーネントの洗浄にも最適だ。駆動部の潤滑油をキープしたまま汚れを落としてくれる効果もある。
「オールパインライト」をテスト!
汚れたバイクのフレームに噴きかけてみた。スプレーするとある程度泡立った状態で溶剤が振りかかる。ウエスで拭いてみると汚れがきれいに落ちるだけなく、クリア塗装のフレームだったのだが、自分の顔が映るくらいに艶がでて、ピカピカになった。
この手のタイプのクリーナーは割ときつい臭いのものが多く、また飛散したものを吸い込むと喉が痛くなったりするものだが、オールパインライトはやや独特の香りはするもののきつい臭いという印象はなく、喉も痛くなったりしなかった。その点も良いと感じる。
集合住宅に住む人はなかなか水を使ったバイクの洗浄は難しく、また薬品を使った作業は家人に嫌がられるところなので、水を使わず簡単に汚れが落ち、かつ生分解性できつい臭いのしないこの製品は重宝するだろう。出先でさっとフレームの汚れを落としたいときにも便利そうだ。
洗い流しらくらくな生分解性シーラント「ベジタレックス」
生分解性で完全にプラスチックフリーなシーラント。ラテックスの代わりに細かく粉砕したオリーブの種とセルロース繊維から作られた成分を使用し、最大5mm幅までのパンク穴を塞ぐ効果を持つ。溶剤にはドレッシングやソースのとろみ付けに利用されるキサンタンガムを使用。ラテックス系シーラントのように専用リムーバーを使用せず、水ないしは中性洗剤で洗浄ができるのが大きな特徴だ。最長6か月も持ち交換頻度を少なくできるのがうれしく、eバイクとの相性も良い。既存モデルの「カフェラテックス」では使用不可だったCO2インフレーターの仕様も可能となっている。
「ベジタレックス」をテスト!
チューブレスレディタイヤで使用してテストしてみた。シーラントの液体は薄いさらっとした黒系の液体になっており、他のラテックス系シーラントは不透明でどろどろとしているのと対象的だ。
流し込み用のホースが付属しているため、シーラント注入器を用いなくても簡単に流し込めるのが良いと感じた。タイヤ側面から流し入れる方式でもやりやすい。また、さらさらとしているので流し込んだあとにタイヤ全体に行き渡らせるのも簡単で、その点で非常に扱いやすい。ほぼ無臭で作業中に気分が悪くならないのも良い点だ。
なお、作業中誤って衣服にシーラントを付けてしまったのだが、さらさらとしているのですぐ拭き取ったら汚れがほとんど付いていなかった。こうしたもし周囲に飛び散ってしまったときの処理のしやすさも大きな利点と感じた。
時間の都合でシーラント注入後数か月経過した状態ではなく数時間程度の状態ではあるが、たしかに水だけで簡単に洗い流すことができた。数か月後にタイヤを交換する場合だけでなく、“タイヤはまだ使えるからシーラントだけ入れ替えたい”という場面でかなり便利と言えそうだ。
チューブラータイヤのリムセメントほどではないが、タイヤ交換時のシーラント除去がとかく面倒と感じやすいチューブレスレディ。そんなチューブレスレディの常識を変える新製品として、期待大だ。
強い耐水性で雨天時でも潤滑性を持続するチェーンワックス「フラワーパワーワックス」
ひまわり種の油から精製したチェーンワックス。 金属に強く密着するとともに耐水性があり、雨天時や不本意な浸水でも潤滑効果が持続する。また、ペダリングの継続的なストレスに耐える耐久性も兼ね備える。悪路を走るMTBレースでの使用テストもクリア済みだ。そのうえで、生分解性で環境にも優しい。
「フラワーパワーワックス」をテスト!
チェーンルブ、あるいはチェーンオイルではなく“チェーンワックス”という名称のとおり、チェーンへ塗布してみると白いワックス状の液体となっていることが分かる。塗布したあとに余分を拭き取り数十分時間を置くと、乾いてチェーンがワックスでコーティングされた状態になった。
まずドライ環境で走ってみたところ、チェーンがカセットスプロケットに吸い付くような小気味よい感触を覚えた。抵抗が少ない、というよりは、このようにチェーンが確実にスプロケットにかんで回してくれるような感覚が心地良い。
耐水性があって雨天時でも潤滑効果が持続するということで、あえてチェーンと駆動系を水で濡らして走ってみたが、たしかに走行感がまったく変わらなかった。
ペダルを踏んでチェーンがスプロケットをかむ感触が心地良いので、むしろロードバイクのドライ環境での使用にも適していると感じた。もちろん、過酷なクロスカントリーMTBレースや、エンデューロやトレイルライドでも力を発揮してくれるだろう。
OTHER LINE UP〜チューブレスレディ用リム打ち対策アイテムも登場
上で紹介した新製品の他に、グラベルバイクやMTBのチューブレスレディタイヤの味方となってくれる面白いアイテムも登場。アザーラインナップとして紹介しよう。
タイヤインベーダー
チューブレスレディタイヤ向けに開発された、高密度EVA製タイヤインサート。タイヤ内部に入れておくことで、走行中のリム打ちによるリムの変形と破損、そしてパンクを防止してくれる。スポーツ用スニーカーのソールにも使われる高密度EVA製なので、非常に軽く耐久性にも優れる。シーラント剤を吸収するスポンジ素材ではないので、シーラント剤と併用することが可能なのだ。装着方法については下の公式動画を見てみてほしい。
公式動画もチェック
Brand Info〜エフェットマリポサについて
2007年に誕生したスイスのスポーツバイク用工具・ケミカルを製造するブランド。2009年にスポーツバイク用としては初となるアンモニアを含まないシーラントの「カフェラテックス」を発売し、そこから特にシーラントに強いメンテナンス用品ブランドとして高い評価を得ていった。現在は チューブレス系アイテムを中心に、ユニークで高性能な製品を展開している。