こだわりが詰まったORUCASE(オルケース)のバッグに迫る

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Presented by intertec

サイクリストのツーリング志向が高まる昨今、その多様なニーズに応えるべく自転車用バッグも続々と新作が登場し、百花繚乱の様相を呈している。そこへ新たに加わったのがORUCASE(オルケース)の多彩で個性的なバッグだ。

オルケース

 

オルケースとは?

ORUCASE(オルケース)というブランド名は、日本語の「折る」に由来し、折り紙から発想を得たという。二人のプロロードレーサーがオルケースを創業したのは2012年。そのきっかけは、コンパクトな自転車ケースの開発だった。折り紙のように自転車をたたんで(前後の車輪を外して)収納するケースによって、各国を転戦する際に生じる航空運賃のオーバーチャージを節約するのが目的だった。その後、競技から引退した二人は、アメリカ西海岸のサンディエゴを拠点とし、より多様な自転車の遊び方を追求する。その成果が、ここで紹介する各種のバッグだ。

 

注目のトップチューブバッグ

オルケースのトップチューブバッグ

やはり、まずはじめに紹介するのは、オルケース・【デザインラボ】トップチューブバッグだ。一見すると極めてオーソドックスなデザインに見えるトップチューブバッグだが、触った誰もが驚く。それは「マグネティックジッパー」による開閉だ。機械的なファスナーを排し、片手を差し込むだけでバッグ内部にアクセスできる。必要なアイテムをつかみ出せば、磁力によってピタリと閉じる。ファスナーの引き手を動かす、という当たり前の所作が不要になり、荷物を出し入れするたびに感動する。そんなバッグは初めてだ。

ざっくりと縫い付けられた「デザインラボ」のタグは、ごく少数が作られる特別なシリーズであることを示す。他の多くのモデルはメイドイン・メキシコもしくはベトナムだが、デザインラボはメイドインUSAだ。

オルケースのトップチューブバッグ

マグネティックジッパーによって、片手だけのワンアクションで瞬時に中身を取り出せるトップチューブバッグ。乗車中のアクセス頻度が高いトップチューブバッグにとって理想的な開閉方法だ。指を差し込むと容易に開くが、そうでない時は15対のマグネットによって隙間なくピタリと閉じる。中の荷物が勝手に飛び出すようなことは皆無で、小雨も気にならない(完全防水ではない)。容量は1Lで、モバイルバッテリーや補給食の収納にベストなボリュームだ。

オルケースのトップチューブバッグの底面

底面の生地はフレーム上で滑りにくいようにエンボス加工が施されている。ボルトオンによる装着にも対応し、面ファスナーを外すことができるのも心憎い配慮だ。

オルケースのトップチューブバッグ

前面からUSBケーブルを引き出すことができるので、各種機器へ給電しやすい。ステムへはパラコード(細引き)を回して固定する。これはナイスアイデアで、面ファスナーより見た目がスッキリして固定力も十分。両側面にはプレートが入っているのでトップチューブ上でしっかり自立し、ダンシングをしても揺れが少ない。

トップチューブバッグは大柄な荷物を収めることはできないが、普段使いからロングライドまで、あらゆるスタイルのサイクリングに役立つスペースだ。ロードやグラベルバイク、クロスバイクなどあらゆる車種で便利に使うことができる。そこに圧倒的と言えるほど優秀な製品を投入したのは、オルケースの見事な戦略だろう。なぜなら、必然的に他のバッグもオルケースで揃えたくなるからだ。

 

用途で選べるハンドルバーバッグ

オルケースのハンドルバーバッグ

ハンドルバーバッグは大中小の3モデルをラインナップする。大と中は荷室に断熱材が挿入されており、荷物の保護に加えて保冷・保温効果も期待できる。いずれのモデルもハンドルへの固定には樹脂製のスキーストラップ(スキー板を束ねるバンド)を採用しているのが他にはない特徴だ。

オルケースのハンドルバーバッグ(大)

ハンドルバーバッグ大(本国での名称はSmuggler XL Handlebar Bag)。4.5Lとシリーズ中で最大の容量を誇る。出先で湯沸かしするためのクッカー・バーナーや、レインウエアが余裕で収まるボリュームだ。本体はケブラーで強化されたX-PACの生地を用いており、全面に配されたドットは再帰反射。メイン荷室には厚さ7mmのウレタン素材が挿入されており、荷物への衝撃を和らげつつ、バッグ全体をシャキッとさせてくれる。限定的だが保温・保冷力も期待できる。右側のパネルが全開するので、大きな荷物の出し入れがしやすいのもうれしいところ。上面にもファスナーがあり、乗車中はこちらを開閉すれば荷物(補給食など)にアクセスしやすい。ファスナーはいずれも止水タイプで、防水性も高い。上面と左右にマチなしの小さなポケットがある。

オルケースのハンドルバーバッグ
オルケースのハンドルバーバッグ

 

 

オルケースのハンドルバーバッグ

アウトドア界で幅広く利用されている「ボレー」のスキーストラップが付属し、ウレタンフォームを介してハンドルに固定する。一般的なナイロンベルト&ラダーロックよりも格段に固定力が強いので揺れやズレが少なくなり、それでいて着脱も簡単。すべてのバッグがこうするべき……と言ったら過言だろうか。

オルケースのハンドルバーバッグ

厚さ25mmのウレタンフォームのおかげでハンドルとのクリアランスを確保できるので、上ハンドルもしっかり握ることができる。これは中サイズモデルも同様。小サイズモデルは幅が狭いので、ウレタンフォームなしでもハンドルを握りやすい。

オルケースのハンドルバーバッグ

このサイズ感のハンドルバーバッグとしては珍しく、前面にバンジーコードを備える。脱いだジャケットなど、一時的に増えた荷物の保持に便利だ。バッグをしっかりハンドルの前に装着すれば、タイヤとのクリアランスも問題ない(下へ向けて吊るように取り付けてしまうと干渉する)。各種のギアを吊るすことができるループが3つあり、全体にアウトドア感に満ちたバッグだ。

オルケースのハンドルバーバッグ(中)

オルケースのハンドルバーバッグ(中)

オルケース・ハンドルバーバッグ中(本国での名称はSmuggler HC Handlebar Bag)。容量は2.1Lとなり、軽量タイプの輪行袋がちょうど収まるボリューム。メイン荷室内にストレッチメッシュのポケットとキーストラップがある。

オルケースのハンドルバーバッグ(小)

オルケース・ハンドルバーバッグ小(本国での名称はThe Smuggler Handlebar Bag)。容量はグッと小さな1.15Lだが、開口部が広いので荷物を出し入れしやすく、小ぶりなカメラなども余裕で収まる。ポケットやギアループなどは削ぎ落とされたシンプルな一気室構造だ。

オルケースのハンドルバーバッグ(中)

 

手頃なサイズ感のフレームバッグ

オルケースのフレームバッグ

フレームバッグは2モデル。いずれも細身でボトルケージと共存できるスタイルだ。長さ42cmの【デザインラボ】フレームバッグ スモールは、筆者のフレームサイズ(54cm)にちょうどよく収まる。X-PAC生地を裏地なしで用いており、軽量ながら十分にタフな作りだ。左側の長いファスナーからメイン荷室にアクセスできる。容量は2.2Lと限定的だが、ほかのバッグには収めづらい長尺物に対応できるのが魅力だ。反対側にもファスナーがあり、マチなしの小さなポケットを備える。フレームへの取り付けベルトの一部にパラコードを用いているのはトップチューブバッグと同様であり、見た目にもよいアクセントになってくれる。縫い目があるので完全防水ではないが、こちらも止水ファスナーを採用しており、生地の特性とあいまって十分な防水性を備える。

オルケースのフレームバッグ

当然ながら長尺の荷物を納めやすい。釣り竿、三脚、携帯ポンプなどの収納に最適。重い荷物を入れても走行フィールに与える影響が少ない。

オルケースのフレームバッグ

【デザインラボ】フレームバッグ ミニ。こちらは長さ24cmとぐっと短いが、スモールと同様の生地を使っており、本格的な構造だ。容量は1.65Lとわずかだが、コーヒーセットなどを十分に収めることができる。工具など体積の割に重いものの収納スペースとしても最適であり、小さなフレームサイズでも採用できる。

オルケースのフレームバッグ

 

芸が細かいサドルバッグ

オルケースのサドルバッグ

オルケースのバッグラインナップのなかで、ぱっと見では違いがわかりにくいのがサドルバッグだ。容量0.4Lと0.5Lというわずかなサイズ違いに、生地使いと仕切りの有無が異なる2バージョンあり、合計で4タイプのサドルバッグが存在する。名称にHCと付くサドルバッグはハンドルバーバッグの大・中と同じ素材であり、内部にチューブと工具をホールドする仕切りバンドを備える。HCと付かないサドルバッグもX-PACの生地を裏地なしで使っており、内部に仕切りがないシンプルな構造だ。いずれのサドルバッグも、1本のスキーストラップだけでサドルレールに取り付けるのは共通だ。シンプルながら完璧な固定力を発揮してくれる。

オルケースのサドルバッグ

HCタイプのサドルバッグ。左が0.4L、右が0.5Lモデル。表記容量以上にボリューム感に違いがあり、前者はロード用の細いチューブに最適で、後者ならグラベルバイク用の大柄なチューブもしっかり収めることもできる。

いずれのサドルバッグも、他のバッグに比べて驚くほど小ぶりだ。近年の「バイクパッキング」の盛り上がりを支えてきた各社の大型サドルバッグ(5〜17L)とは桁が違う小ささである。乗車時にアクセスできないサドルバッグはチューブと工具が入れば十分、というのがオルケースの考え方なのだろうか。それはそれで元プロロードレーサーが興したブランドらしいと思えるが、自転車キャンプが大好きな筆者としては、いずれは大型サドルバッグもラインナップに加えて欲しいと思う。

 

オルケースのサドルバッグ

オルケース・ブラックホールHCフィードバッグ。いわゆるステムバッグだが、こちらも取り付けにスキーストラップを採用しており、このタイプのバッグに目立つ揺れがかなり少ないのが好印象。上部の巾着式フラップが長く、短いボトルから長めのボトルまでしっかりホールドできる。補給食のスペースとしてもベター。

 

バッグで広がる自転車旅の可能性

オルケース

自転車は、ただ単に走るだけでも楽しい趣味であり、スポーツだ。しかし、プラスαの「遊び」を盛り込めるのも自転車の魅力である。そこに他のスポーツでは得られない醍醐味と達成感がある。道中で写真を撮ったり、釣りをしたり、食事をしたり……そうしたプラスαの楽しみを可能にするのがバッグの役割であり、「旅」という非日常感を味あわせてくれる。補給食や工具、防寒着に加えて趣味の道具を持って走り出せば、サイクリングは何倍も面白くなる。

今回、オルケースのバッグを装着して向かったのは、伊豆半島の付け根にある沼津市である。駿河湾越しに富士山を望むことができ、素朴な漁村と走りごたえのある峠が共存する。新幹線が利用できる三島駅が近いので、各方面からの輪行アクセスも上々だ。

オルケース

西伊豆スカイラインへ。標高800mほどまで上り、下る。オルケースの各バッグは揺れが少なく荷物の重さを感じさせない。無人区間が長いルートだが、バッグのおかげで余裕ある補給食や防寒着を携行できるので、不安なく進むことができる。

オルケース

気になる堤防に差し掛かったら、フレームバッグに収めた釣り具の出番。青く透明な駿河湾へルアーをキャストするのは爽快そのもの。

オルケース

内浦あたりの堤防は、駿河湾越しに富士山を望む特等席だ。ハンドルバーバッグに収めたジェットボイル(バーナーとクッカーがセットになった調理器具)を取り出し、湯を沸かしてカップ麺に注ぐ。たったそれだけで最高のランチだ。オルケースのバッグを活用すれば、旅の可能性は大きく広がる。

 

●SPEC

オルケース

オルケース・【デザインラボ】トップチューブバッグ
価格:8800円
寸法:長さ20cm×高さ10cm×幅5cm
容量:1.0L
実測重量:99g

オルケース・ハンドルバーバッグ(大)
価格:1万7600円
寸法:幅27cm×直径15cm
容量:4.5L
実測重量:334g

オルケース・ハンドルバーバッグ(中)
価格:8580円
寸法:幅21cm×直径10cm
容量:2.1L
実測重量:128g

オルケース・ハンドルバーバッグ(小)
価格:7150円
寸法:幅18cm×直径9.5cm
容量:1.15L
実測重量:82g

オルケース・【デザインラボ】フレームバッグ スモール
価格:1万4300円
寸法:長さ42cm×高さ10cm×幅5cm
容量:2.2L
実測重量:129g

オルケース・【デザインラボ】フレームバッグ ミニ
価格:8800円
寸法:長さ24cm×高さ10cm×幅5cm
容量:1.65L
実測重量:81g

オルケース・サドルバッグHC 0.5L
価格:6600円
寸法:長さ10cm×高さ7.5cm×幅6.5cm
容量:0.5L
実測重量:84g

オルケース・サドルバッグHC 0.4L
価格:6380円
寸法:長さ10cm×高さ5.5cm×幅6.5cm
容量:0.4L
実測重量:79g

オルケース・サドルバッグX-PAC 0.5L
価格:5170円
寸法:長さ10cm×高さ6.5cm×幅6.5cm
容量:0.5L
実測重量:59g

オルケース・サドルバッグX-PAC 0.4L
価格:4950円
寸法:長さ10cm×高さ5cm×幅6.5cm
容量:0.4L
実測重量:59g(ブラックマルチカモ)

オルケース・ブラックホールHCフィードバッグ
価格:9680円
寸法:径10cm×高さ15cm(拡張時22cm)
容量:1.25〜1.75L
実測重量:111g