注目の最新モデルを試乗&紹介 エルヴス・ファラス エボ(ELVES FALATH EVO)

目次

エアロロードのジャンルにコストパフォーマンスを引っ提げて登場したのは、コテコテのエアロフォルムを突き詰めたエルヴスのファラスエボ。エルヴスは2016年にアメリカで設立された新興バイクブランドだ。

ファラスエボ

ELVES
FALATH EVO

エルヴス・ファラス エボ
フレームセット価格/14万5200円(税別)※商品配達時に消費税支払い

相反する2面性を併せ持ったエアロロード

フレームデザインでは、エアロ効果を狙って随所にカムテール形状や絞りの入った幅広なダウンチューブを配置。特に前面投影面積を減らすデザインは抜かりがなく、ハンドルポジションを大きく下げてサドルとの落差を取ることが可能となっている。フレーム素材には東レのUD高弾性カーボンを使用し、応力が掛かり剛性が必要なヘッドチューブやBB周辺にはT1000カーボンを多く使用している。エアロロードとしては太めの32Cのタイヤが装着できるクリアランスを持ち、タイムトライアルからロングライドまでをタイヤの太さによってカバーできるという一面もあり、速さと快適さの両立を併せ持っている。エルヴスはフレームだけでなく、コストパフォーマンスの高いオロメのエアロハンドルバーとホイールもラインアップしており、4種類の幅と6種類のステム長から選べるハンドルバーを組み合わせることによりケーブルをフレームに内装でき、トップチューブ上面とステムがツライチになるセッティングを行える。5年間のグローバル保証が付き、フレームカラーは7種類が用意されているが、驚くことにカスタムペイントが無償で提供されるという。ユーザーの所有欲をかき立ててくれる企業努力がすごい。

DETAILS

ファラスエボのシートクランプ

シートポストの確実な固定と最大限の空気抵抗減を狙ってアルミ製の蓋が備わっているシートクランプ。蓋はゴムのブッシュでも機能はするだろうが、細部まで確実な手法でデザインされる

オロメ・エアロエボハンドルバー

ステム一体型となるオリジナルのオロメ・エアロエボハンドルバー。ケーブル類をハンドルに内装し、ヘッドチューブを経由してフレームに引き入れ、徹底して空気抵抗を削減する

ファラスエボのBBまわり

横から見ると非常にボリューム感のある形状となっているが、正面や上から見ると大きく絞りが入っており、前面投影面積を少なくして空気抵抗を減らすように考えられた形状となっている

ファラスエボのUCI認可マーク

フレーム形状の自由度などに制限のあるUCI(国際自転車競技連合)の認可を受けている。UCI準拠の公認大会に出場するライダーは、このマークが入ったフレームでなければならない

ファラスエボのホイール

カーボンのレイアップを最適化し、高張力カーボンを最も重要な位置に使用することによってリム剛性を高めている。薄いプリプレグによって積層数を増やし、高剛性と軽量化の両立を実現

ファラスエボのシートステーまわり

32Cの太めのタイヤも難なく収まり、もう少し太めのタイヤも装着できそうなクリアランスを持つ。フロントフォークもクラウン部分から幅が広がり、同じく32Cのタイヤをすっぽりと収める

SPEC

フレーム╱カーボン
フォーク╱カーボン
メインコンポ╱シマノ・アルテグラR8170
ホイール╱オロメ・ヴァラールTH50D
タイヤ╱ヴィットリア・コルサネクスト 700×32C
ハンドル&ステム╱オロメ・エアロエボ
サドル╱フィジーク・ヴェントアルゴR3アダプティブ
シートポスト╱エルヴス・ファラス エボ専用
サイズ╱46、49、52、54、56、59、61
カラー╱シルバーグリーングレーカメレオンほか全7色(カラーカスタム可)
試乗車重量╱7.80kg(ペダルなし)

GEOMETRY

ファラスエボのジオメトリ図

SIZE

ファラスエボのサイズ表

IMPRESSION「直進安定性が高く乗り心地の良い演出が魅力」

ファラスエボに乗る小笠原さん

ここまで「エアロ」を前面に押し出しているモデルが徐々に減りつつあるなかで、ファラスエボの持つ特徴的な見た目は「速く走りたい」という気持ちにさせてくれる。しかしペダルを回してみるとBB周辺の剛性は穏やかで、足に柔らかい踏み心地を返してくる。ウィップを存分に感じられ、オロメのホイールのしなやかさも合わさってペダリングリズムを取りやすく、一定スピードでの巡航が気持ち良く行える。逆に、スピードに強弱を付けるようなパワーを一気にかけるライディングでは剛性不足を僅かに感じてしまうが、タイムトライアルやロングライドを目的とした設計ということもあり、スピード変化を余り付けずにシッティングメインで回すことによって性能を発揮する。ヒルクライムでも同じくダンシングではなくシッティングをメインとしてペダリングを行えば、フレーム重量以上の軽いクライミングに感じられる。若干だがハンドリングにクセがあり、左右に切れ込み過ぎて常にせわしなさを感じてしまうが、その反面、直進安定性は高く、高速になればなるほどハンドルに手を添えているだけでも安定し、バイクが前に前に進んで行く。タイヤを26Cにチェンジしてのライドでは軽快感が増し、快適性は大きく損なわれずフレーム素性の高さを感じた。

RIDER 小笠原崇裕

MTBやトライアスロンなどで日本人トップクラスのアスリートとして活躍。現在はUCI公認コーチとして若手選手の育成にあたる。