「福10ルート」は、福岡の海から山へ、田畑から町並みへ。美しい国定公園や歴史的な世界遺産に出会える見どころもたくさん。多彩なルートで福岡県の素顔を見せてくれます。時に険しいヒルクライムも、豊かな自然や歴史・文化と触れ合える大きな楽しみの一つ。さぁロードバイクやクロスバイクに乗って、自分らしい「フクオカ新体験」を楽しんで。※【前編】の記事から続きます。
⑥北九州・京築ルート
※コース番号は【前編】から続きます。
【走行距離】約89km
【獲得標高】約323m
人気の観光地・門司港(もじこう)レトロ地区をスタートして、九州本土最北端の企救(きく)半島をターン。関門橋から豊前(ぶぜん)海沿いの東海岸を南へ向かい、大分県中津市との県境まで向かうルートです。海上をまっすぐ伸びる新北九州空港連絡橋や旧街道の個性的な橋の姿を巡る視点も新鮮。また夏季のハモ料理や冬季の牡蠣(カキ)小屋など、新鮮な魚介グルメを気軽に楽しめるのも大きな魅力。京築地域に継承される伝統の神楽にも触れる機会がありそうです。
①関門橋 本州と九州とを結ぶ関門橋はそのすぐ真下の県道を走ることができ、その姿は迫力満点です。橋脚付近には「導きの神様」として知られる和布刈神社(めかりじんじゃ)が鎮座。創建から約1800年もの間、関門海峡を見守り、人々の道先を照らす神社へのお参りも忘れずに。
②新北九州空港連絡橋 人工島に造られた北九州空港へ続く長さ2.1kmの海上橋で、シャープなデザインはアジア景観デザイン学会や土木学会のデザイン賞を受賞。海の上を自転車で走れる爽快な体験をぜひ。
③メタセの杜 築上町(ちくじょうまち)の物産館や広大な芝生広場もある、メタセコイアの木々に囲まれた憩いの森。メタセコイアの並木道は映えスポットとしても人気で、サイクリストの休憩にもぴったりです。
④火力発電所を望む河口 豊前海を望む海岸に行きたくて偶然見つけた小さな河口。JR宇島駅近くの日豊本線の小さなガードをくぐると、石灯籠のある堤防と干潟の海の向こうに火力発電所が現れます。
⑤高洲御旅所(たかすおたびしょ) 海岸線の堤防の先に、珍しい海の際に立つ鳥居が現れます。ここはかつて菅原道真が九州へやって来た際に上陸した場所である、という伝承が残されています。鳥居までは歩道が整備されているので、記念撮影スポットとして立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
⑥佐井川橋(さいがわばし) 大分県との県境に位置する吉富町では川に架かる橋に注目。佐井川橋は1920年に建設された当時のまま、現役で活躍する鉄筋コンクリート橋で、近代土木遺産に指定されています。
⑦山国橋 こちらも吉富町の橋ポイント。1934年に山国川に架けられた鉄筋コンクリート橋。赤レンガの橋脚には2つの窓があり、かわいい昭和モダンなデザインが旅情をくすぐります。
⑦あさくら・大刀洗周遊ルート
【走行距離】約73km
【獲得標高】約578m
筑後平野の北部地域、田園が一面に広がる大刀洗町から朝倉市の奥深い山間まで、福岡県の豊かな水と緑を実感するルートです。九州の小京都・秋月(あきづき)から小石原に向かう国道500号沿線に連続する江川ダム・寺内ダム・小石原川ダムという3つのダムを巡るのもオススメ。また日田彦山線BRT(バス・ラピッド・トランジット)「ひこぼしライン」周辺には美しい棚田や3つの大きな“めがね橋”があり、見どころがいっぱい。平野と山間部、多彩な風景の変化に注目してください。
①朝倉の三連水車 朝倉の象徴である三連水車は約230年前に設置され、今も周辺の田畑を潤す日本最古の実働する水車です。周辺には二連水車も稼働し、水車群を形成。美しい緑の田園風景が広がります。
②平塚川添遺跡(ひらつかかわぞえいせき)公園 1991年、弥生時代から古墳時代の環濠や竪穴建物が発見され、国史跡に指定。その後、公園として整備され高床倉庫などを再現。入口のサイクルラックに自転車を停めて見学が可能です。
③寺内ダム 朝倉地域の洪水対策や農業用水のため佐田川に造られた高さ83mのロックフィル式ダム。平野が続く集落に突然ダムが現れるロケーションに驚きますが、なぜかなじむ風景です。
④江川ダム 福岡都市圏や久留米地区への上水道供給などを大きな目的とする重力式コンクリートダム。豊かな水を湛える人造湖は、近くの歴史ある城下町・秋月の名を受けて「上秋月湖(かみあきづきこ)」と呼ばれます。
⑤小石原焼皿山 「飛び鉋(とびかんな)」や「刷毛目(はけめ)」など素朴なデザインが愛される小石原焼は、350年以上の歴史。窯元が集まる皿山の道には石畳が敷かれ、その風情に惹かれます。
⑥栗木野橋梁(くりきのきょうりょう) 2017年、九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線が「BRTひこぼしライン」として再スタート。東峰村の山間に姿を見せる高さ20mの大きなめがね橋も、観光名所として注目です。
⑧久留米・うきは周遊ルート
【走行距離】約77km
【獲得標高】約132m
JR久留米駅をスタートし九州屈指の人気を誇る「道の駅うきは」まで往復する、ほぼ平坦で初心者にも走りやすいルートです。久留米市街地を過ぎれば耳納(みのう)連山の麓を東西に結ぶ「山苞(やまづと)の道」へ。沿線の果樹園を眺め地域の魅力を感じながら道の駅を目指します。帰りは筑後川の広い河川敷を活かしたサイクリングロードを通って再び久留米の街へ。広がる果樹園や田畑、筑後川の河原で爽やかな風を感じてください。
①草野の伝統的町並み 旧日田街道の草野宿として栄えた一帯は、江戸末期から明治時代にかけての町屋や古社寺が並ぶ伝統的町並み保存地区。かわいらしい歴史資料館やギャラリー巡りもぜひ。
②山苞の道 耳納連山の麓、豊かな自然の中を約6kmにわたって穏やかな風景が広がる「山苞の道」。周辺はブドウや柿などさまざまな果樹園が続き、フルーツ王国の姿を実感させてくれます。
③水田から見る耳納連山 久留米市の高良山(こうらさん)からうきは市南部に連なる耳納連山は、パッと見てすぐにわかる直線的な稜線が特徴。平野部の水田からも山容が鮮やかでサイクリストには東西の道標です。
④うきはの果樹園 筑後川の中流域は季節ごとに多彩なフルーツが自慢。中でも柿は「太秋柿(たいしゅうがき)」や「富有柿(ふゆうがき)」など人気種が地域一帯に。道沿いに実りの様子を見ることができ、一面が色づく晩秋の紅葉にも注目です。
⑤恵蘇宿橋(えそのしゅくばし) 朝倉の三連水車に水を送る筑後川・山田堰のすぐ下流、うきは市と朝倉市を結ぶ橋。筑後川の清流や青空に赤いトラスが映えます。河川敷のサイクリングロードが快適です。
⑥小石原川 一面に緑の水田が広がるのどかな大刀洗町。筑後川へ注ぐ小石原川のほとりに漫画・アニメ『スラムダンク』でも人気になった日本酒「三井の寿(みいのことぶき)」で知られる蔵元「みいの寿」があります。聖地巡礼ライドもおすすめ。
⑨豊前・東峰ルート
【走行距離】約61km
【獲得標高】約1599m
サイクルスポーツを堪能したい中級〜上級者にオススメのルート。福岡県内屈指の標高を誇る山道をルートにして、日本三大修験の山と言われる英彦山(ひこさん)と、小石原焼で有名な東峰村を目指します。スタートは豊前市のJR宇島駅、特徴ある山容を見せる求菩提山(くぼてさん)へ向かう途中に大きな椅子と机のオブジェも撮影。その後はいくつもの峠を越える難コースに突入。獲得標高1500m超の険しいアップダウン、カーブの連続を楽しみましょう。
※2023年10月現在、一部通行止め区間があります。ライドする場合は事前に県のウェブサイト等で道路情報を確認してください。
①求菩提山へ向かう里山風景 京築エリアは多くの神楽が継承される稀有な場所。求菩提山を望む田畑でも、祭りの前に囃子(はやし)があちこちから流れてくると聞けば、これから山に向かう静かな闘志が湧いてきます。
②大きな椅子・大きな机 豊前を訪れたら足を運びたい場所の1つ。山間の美しい棚田を望む小学校跡に設置されたオブジェは遊び心をくすぐります。旧校舎を生かしたカフェやギャラリーものぞいてみて。
③城井川(きいがわ)のほとり このルート最初の難関、次郎坊峠を越えて一気に下った直後にある川のほとり。水辺へ降りて一息つき、せせらぎと木漏れ日で次なる峠へパワーチャージ完了です。
④鉾立峠(ほこたてとうげ)へヒルクライム 次なる難関は標高約600mの鉾立峠。鬱蒼(うっそう)とした木々を抜けて現れるヘアピンカーブや急勾配が連続する山道はなかなかハード。本命の英彦山へ向けてヒルクライムが続きます。
⑤英彦山99カーブ 日本三大修験道の1つである英彦山は、サイクリストにとっても試練の山。山頂付近まで続く国道500号にはカーブ数が表示され、「99」で打ち止め。本当はもっとある!?
⑥英彦山神宮銅鳥居(ひこさんじんぐうかねのとりい) 江戸時代、佐賀藩主・鍋島勝茂から寄進されたという銅鳥居。高さ7m、柱の周りが3mという堂々とした作りで、それが何と青銅製。参道中腹の石段にあり、ルートのすぐそばです。
⑩筑豊周遊ルート
【走行距離】約110km
【獲得標高】約923m
筑豊地域の山と川が織りなす豊かな自然を再発見するルートです。福岡県の中央部に位置する筑豊エリアは、日本の近代化を支えた日本有数の石炭産出地で、豊かな自然に恵まれた農作物の生産地でもあります。彦山川(ひこさんがわ)や遠賀川(おんががわ)沿いの広い河川敷のサイクリングロードと平野部の田園風景に加え、九州では珍しいりんご園もある嘉穂(かほ)アルプスなど筑豊エリアを囲む山々と向き合えば、地域の素顔に触れることができます。
①直方(のおがた)レトロ 直方市殿町地区には明治から昭和にかけて、炭鉱の中心都市として栄えた街の歴史を物語る建築物が残されています。旧長崎街道沿いに集中する一帯は「直方レトロ」と呼ばれます。
②嘉麻(かま)市の水田 遠賀川沿いに南へ向かうと、周辺が豊かな米作地であることを実感。緑鮮やかな水田が整った平野部の向こうに「嘉穂アルプス」の山々を眺めながら、心地よくライドを楽しめます。
③九州りんご村 嘉麻市南部の馬見山へ向かう山間には、九州では珍しいリンゴや梨を栽培する果樹園が点在。ヒルクライムしながら実った果実を見つけたり、店頭販売に立ち寄ったりする楽しみも。
④内田三連橋梁 1895年に竣工し、100年以上の歴史を持つ小さな鉄道橋。橋の両側面の仕上がりが違い、レンガ造りの側面がかわいらしい。話題の平成筑豊鉄道「ことこと列車」にも遭遇。
⑤香春岳(かわらだけ) 高品質な石灰岩の山で、セメントの材料として採掘され続けたため一の岳は真っ平な姿に。本来の高さの半分以下にまで削られていますが、それがまたシンボリックに見えてきます。
⑥彦山川の沈下橋 英彦山麓を源流とする彦山川は、添田町から福智町へ。緩やかに流れて直方市で遠賀川に合流しますが、その直前にあるのがこの沈下橋。川面に近く、自転車で進むのが楽しみです。
※各ルートの距離と獲得標高は、コースデータ(Ride with GPS)で表示されている数値と異なっている場合があります。
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