【和歌山県】クマイチサイクリング&ウォーキングツアーに参加!(前編)

目次

2021年に自転車で熊野古道に並走するルートを一周する新たなサイクリングルートとして誕生した「クマイチ」。今回はその全長約230kmを実走するツアーに参加してきた。

主催:一般社団法人紀州くちくまの未来創造機構 上富田サイクルステーションKMICH(和歌山県西牟婁郡上富田町)
協力:日本航空、一般社団法人南紀ウエルネスツーリズム協議会

 

クマイチサイクリング&ウォーキングツアー

 

クマイチってどんなルート?

「クマイチ」は世界遺産「熊野古道」に並行して走る国道を使って和歌山県南部を一周するサイクリングルート。クマ=熊野、イチ=一周を意味する。

上富田(かみとんだ)をスタートし、海岸線が美しい国道42号に沿って、すさみ、串本または古座川を通過、熊野那智大社、熊野速玉大社へ。新宮からは熊野の山々が織り成す美しい光景を見ながら、熊野川沿いの国道168号を走り、熊野本宮大社を詣でる。最後に清流富田川に沿って走る国道311号を下り、上富田へ戻る230kmのルートだ。(※熊野古道はクマイチには含まれていない)

 

クマイチ

自転車で熊野を一周するサイクリングルート「クマイチ」

 

<上富田へのアクセス>
・電車:新大阪駅から特急くろしお号で紀伊田辺駅まで2時間20分
・関西国際空港から日根野駅乗り換え、特急くろしお号で紀伊田辺駅まで1時間50分
・飛行機:羽田空港から南紀白浜空港まで1時間10分

実は羽田から行くのが一番楽ちんという……衝撃の事実が判明した。

 

瀬戸陽子さん

ツアーの責任者であり、サイクリングガイドもつとめる「上富田サイクルステーションKMICH」の瀬戸陽子さんにとびきりの笑顔で南紀白浜空港でお出迎えいただいた(笑)

 

クマイチサイクリング&ウォーキングツアー

今回のツアーは観光庁インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援を目的とした事業なので、参加者も実に国際的だ。スペイン(ご夫婦)、台湾、中国からと、JALグローバルアンバサダー、ふるさとアンバサダーの計6名が2泊3日で、和歌山県の南岸にあるリゾートタウン白浜町からほど近い上富田から那智勝浦(なちかつうら)まで向かう。もちろん全員が初対面で、中には日本語がまったく通じない方もいて、何やら楽しくなりそうなツアーだ(笑)。

<ツアー工程(前半)>
一日目:上富田町KMICH(クミッチ)~円月島~白良浜~千畳敷~三段壁~平草原展望台~椿温泉しらさぎ
二日目:椿温泉~志原海岸~すさみ町観光案内所~フェニックス褶曲(ウォーキングツアー)~JR見老津駅(サイクルトレイン)~JR紀伊有田駅~串本ロイヤルホテル
三日目:串本ロイヤルホテル~道の駅 虫喰岩~ぶつぶつ川~道の駅たいじ~熊野那智大社エリア那智の滝~JR紀伊勝浦駅

 

クミッチ

和歌山県西牟婁郡上富田町JRきのくに線朝来(あっそ)駅そばのサイクルステーション「KMICHI(クミッチ)」(和歌山県西牟婁郡上富田町朝来2538/TEL:070-5540-4116)。ベネリのeMTBをレンタルしている。今回のツアーは全員がeMTBで走行する

スタート前ブリーフィング

参加者6名中、4名がスポーツバイク初体験。スタート前のブリーフィングでバイクの乗り方、降り方、ブレーキの掛け方、eバイクの変速などの基本動作と、簡単なハンドサインを教わる

 

初対面の参加者同士の距離が一気に縮まった湯治旅館のアトラクション

スポーツバイク初体験の御一行がスタートして、10km先の最初の休憩ポイント円月島へと向かう。平均時速は15km未満だが、前の人との感覚をつかみにくいのか、多少まばらになることも……。集団走行に慣れていなければ仕方のないことだ。ままっ、徐々に慣れるでしょう。

 

円月島

白浜のシンボルとして親しまれている円月島(正式名称は高嶋)。島の中央に円月形の穴が開いているからそう呼ばれている

 

次の休憩ポイント白良浜は関西屈指の人気海水浴場であるため、近づくにつれ、車の交通量が一気に増える。しかも片側一車線で道幅も狭くなり、多少不安を感じたが、先頭を走るガイドの瀬戸さんが注意喚起しながらゆっくり走行してくれたので、大きなトラブルもなく到着し、ランチ休憩。

参加者同士の距離は、まだまだよそよそしかったが、万国共通なのか、サイクリングをして一緒にご飯を食べることで徐々にその距離は近づき始めたようだ。

 

白良浜

まるでワイキキビーチのような真夏の白良浜に来て、泳げないとは……涙

 

午後は定番の千畳敷~三段壁を見学し、高台にある展望台を上り、椿温泉「しらさぎ」へ投宿した。こちらのお宿は関西では珍しい自炊のできる湯治宿として人気があるそうで、美容液のようなぬるっとしたお湯がとても心地よく、ついつい長湯をしてしまった。

夕食は地元で採れた新鮮な魚はもちろんのこと、名物の釜飯が抜群においしかった。そして、ほろ酔いとなってきたところで、しらさぎ名物「着せオケ(着せ替えカラオケ)」が開演となった。それは大女将が選曲に合わせて勝手に衣装を選び、なすがままに着せ替えされ、カラオケを歌うというものだった(笑)。

国籍も年齢もバラバラ。しかも今朝、初めて会った者同士がユニークな衣装を身にまといカラオケをし、全員でゲラゲラ笑って盛り上がった大宴会のおかげで、スタート初日にして、距離感が一気に縮んだ気がする。

「着せオケ」恐るべし……。

 

千畳敷

千畳敷(せんじょうじき)。波の侵食でできた平らな海底が隆起して海岸段丘となった地形(和歌山県西牟婁郡白浜町2927-72)

三段壁

三段壁(さんだんべき)。千畳敷の南海岸にそそり立つ高さ約50mの断崖(和歌山県西牟婁郡白浜町2927-52)

三段壁から平草原展望台までのヒルクライム

三段壁から平草原展望台までのヒルクライムルートもeバイクなら、誰でも上ることができる

平草原展望台

平草原展望台は白浜の街並みや太平洋、さらには紀伊山地まで見渡すことができる絶景ポイント(和歌山県西牟婁郡白浜町2054-1)

一日目の夕餉

本日の夕げ。左上の釜飯がまだできていないので、蓋をしていてお見せできないのが残念だが、めちゃくちゃうまかった

悪ノリする大女将

着せオケ宴会

中森明菜の大ファンだという袁さん

着せオケ宴会

チョンマゲがよく似合っているホセさん

 

1985年に大女将が手作りの衣装や小道具でお客さんに楽しんでもらおうと始めた「着せオケ宴会」。お孫さんたちが修学旅行で小道具を買ってくるほど、家族揃って集めた衣装が今では300着を超えるそう。

 

南紀白浜 椿温泉しらさぎ

南紀白浜 椿温泉 しらさぎ(和歌山県西牟婁郡白浜町椿1056-22/TEL:0739-46-0321)

 

この日の走行距離:上富田~椿温泉(31.5km)

 

サイクリング~ウォーキング~サイクルトレイン~サイクリングで充実の旅を満喫(二日目)

前日の宴ですっかりチーム感が生まれたクマイチツアー御一行。朝一のブリーフィングで「スポーツバイクに慣れ始めると油断をして事故につながる」と注意喚起して出発した。

今日は道の駅志原海岸→すさみ町観光案内所→フェニックス褶曲(ウォーキングツアー)→JR見老津駅(サイクルトレイン)→JR紀伊有田駅→串本まで向かう。そう、ツアーのタイトルである「クマイチサイクリング&ウォーキングツアー」を体験する日だ。

 

ホセ夫妻

道の駅志原海岸でスペインには売っていないメロンパンを見つけ、早速撮影に励むホセ夫妻

志原海岸の横の太平洋岸自転車道

志原海岸の横はナショナルサイクルルートの太平洋岸自転車道。海を眺めながらでも安心して走れる区間

フロント110

すさみ海水浴場に面したすさみ町観光案内所は元警察署をリノベーションした建物にちなみFRONT110(フロントイチイチマル)の愛称で親しまれる。サップ、カヤック、サイクリング、キャンプ等のアクティビティが楽しめる(和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見4581-14/TEL:0739-34-3200)

 

留置施設

留置施設

元警察署だけあって、留置施設も残されており、撮影用小物も充実している

 

岩田勉すさみ町長

観光案内所に地元の元気なおっちゃんが遊びに来られたと思ったら、何と岩田勉すさみ町長のツアーへの表敬訪問でした(笑)。「町長、次回はBBQお願いします!」

 

昼食後はいよいよ本日のハイライト「フェニックス褶曲(しゅうきょく)」まで海沿いをライド。それにしても初日とは見違えるほど、スポーツバイク初めての皆さんの走り方がうまくなっている。
また、道も広くて走りやすい上、和歌山のドライバーは抜き去る際、大きく広がってくれる優しさがひしひしと伝わってきてうれしい気持ちになる。

 

すさみの海岸沿いを走る

すさみの海岸沿いを走る。二日目にして、参加者のライドが確実に上達しているのがよく分かる

 

フェニックス褶曲(しゅうきょく)とは、3000万年前に地球内部から上がってきたプレートが日本列島にぶつかった際、海の底に溜まった地層が押しつけられ捻じ曲がってできた地層のこと。世界的にも有名な褶曲で、中学校の理科の教科書にも採用されている。

 

フェニックス褶曲へ向かう森の中の小道

フェニックス褶曲へ向かう森の中の小道はところどころ険しい箇所があるが、ガイドさんが安全に配慮して細く指示してくれるのでとても安心だ

フェニックス褶曲

フェニックス褶曲へ行くには事前予約の上、ガイドの帯同が必須(ガイド1名につき、利用者は5名まで)。
予約先:すさみ町観光協会(TEL:0739-34-3200)

フェニックス褶曲

大迫力のフェニックス褶曲を見ること自体がアドベンチャーだ

フェニックス褶曲

地層がいかにして捻じ曲げられたかを分かりやすく説明してもらった

目の錯覚を利用した写真

ちゃめっ気たっぷりのガイドさんに目の錯覚を利用した写真の撮り方を教わる

 

大迫力のフェニックス褶曲を見学し、5km先のJR見老津駅へと向かう。ここから本日のゴールである串本まではJRきのくに線のサイクルトレインを利用した。きのくに線の御坊~新宮駅間は、事前予約不要で、しかも普通運賃のみで自転車を持ち込むことができる。(※月曜から土曜の朝通学混雑列車6本を除く)

 

JR見老津駅からサイクルトレインに乗車

JR見老津駅からサイクルトレインに乗った

一般客と一緒に乗るサイクルトレイン

ご覧のように一般の利用者と一緒に乗車する

JR紀伊有田駅

JR紀伊有田駅へ到着。サイクルトレインは真夏の炎天下のなかでのライドだったので、クールダウンできてよかったし、旅に新たなエッセンスが加えられて新鮮だった

ホテル&リゾーツ和歌山 串本

この日の宿は和歌山県最南端の町、串本の太平洋を一望できる高台にあるホテル&リゾーツ和歌山 串本(和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台1184-10/TEL:0735-62-7771)

ホテル&リゾーツ和歌山 串本の部屋

サイクリストウェルカムの宿なので、自転車も部屋の中まで入れられる

橋杭岩

筆者がホテルのウエルカムビールをぐびぐび飲んでる間、女子たちは橋杭岩を観光していたそうだ(笑)

 

この日の走行距離:椿温泉~串本(36km)

 

いよいよ世界遺産の熊野那智大社へと向かう(三日目)

最終日の今日は串本ロイヤルホテル→道の駅 虫喰岩→ぶつぶつ川→道の駅たいじ→熊野那智大社エリア 那智の滝→JR紀伊勝浦駅まで向かう。
朝食のバイキングが豪華すぎて、ついつい食べすぎてしまったが、このメンバーと旅をするのも今日が最後だ。皆で今日もいっぱい楽しもうと出発した。

 

旧道

スタートしてすぐに現れる旧道。筆者の大好きな生活感のある旧道だが、外国人にはどのように映るのだろうか

古座川沿いの集落

古座川沿いの集落は静寂で趣がある雰囲気だ

高池の虫喰い岩

高池の虫喰い岩。古座川町にある国指定の天然記念物。風雨に侵食されて、虫に食われたような無数の穴が岩全体に刻まれている様がとても不思議だ(和歌山県東牟婁郡古座川町池野山705-1)

ぶつぶつ川

ぶつぶつ川は長さ13.5mの日本一短い川。フツフツと清水が湧き出ていることからそう呼ばれてきたそう。軟水でおいしかった

 

ぶつぶつ川で癒された御一行はゆるやかなアップダウンを繰り返しながら、古式捕鯨発祥の地として知られる「クジラの町」太地(たいじ)町へと向かった。

 

太地へと向かう下り坂の途中

太地へと向かう下り坂の途中、港の船と海の景色がええ感じだったので、急きょ撮影タイム

第一京丸

太地くじら浜公園にある、実際に使われていた捕鯨船「第一京丸」

 

「道の駅たいじ」で休憩をした後、いよいよこの旅のハイライト熊野那智大社エリアと向かう。しかも今回のツアーで最も上るヒルクライムルート。ペダルバイクなら景色を見る余裕がなくなるほど長い上りだがeバイクなので、全員が簡単に上れてしまうのが素晴らしい。

 

那智山を上る

那智山を上る

那智の滝を目指して、約7km那智山を上っていく

 

那智の滝

那智の滝

世界遺産 那智の滝に到着した御一行。この滝は日本一の落差(133m)を誇るそう

 

めばり寿司など

那智の滝近くの食堂でランチ。郷土料理のめばり寿司をいただく。お店の人に聞いたところ「目を見張るくらいおいしい」というのが語源らしい

クマイチモニターツアー前半終了

クマイチモニターツアー前半終了。せっかく仲良くなれたが、全員で「クマイチポーズ」を決め記念撮影をしてお別れとなった。「ホセさん、いつこさん、アディオス!」「袁さん、ジュリーさん、ジェイドさん、再見!」「日高さん、ほなさいなら!」

 

参加者の皆さんに感想を聞いたところ、皆さんとても楽しい3日間だったとのこと。それぞれ食事もおいしかったし、美しい海、日本の原風景的な田んぼの景色もよかった。また、スポーツバイク初めての人たちもeバイクのおかげで、坂も上れるし、長い距離も走れて楽しかった。とりわけ、初日の宿「しらさぎ」の釜飯とアトラクションが大好評だった。

 

JALグローバルアンバサダーのジェイドさんとJALふるさとアンバサダーの日高さん

(写真左から)JALグローバルアンバサダーのジェイドさんとJALふるさとアンバサダーの日高さんにCAポーズをしてもらった。さすが決まってますわ!

ホセさんといつこさん夫婦

スペインから参加のホセさんといつこさんご夫婦

袁さんとジュリーさん

(写真左から)中国から参加の袁さんと台湾から参加のジュリーさん

 

この日の走行距離:串本~JR那智勝浦駅(62km)

 

後編に続く