Setouchi Vélo協議会の総会が高松で開催!
目次
瀬戸内及びその周辺地域を世界に誇るサイクリングの推進エリアとするため、地方自治体8県と中四国の経済連合会、地方整備局、地方運輸局、広域連携DMO、本四高速や地方自治体(市町村)等約30の団体で設立されたSetouchi Vélo協議会の総会が開催された。
開催日時●2023年10月24日(火)
会場:JRホテルクレメント高松
主催:Setouchi Vélo協議会
Setouchi Véloの目的
瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮し安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」に育てることにより、瀬戸内地域等のブランド価値の向上を図り、持続的な地域振興を実現することが目的だ。現在の登録ルートは82コース(総延長:7612km)。
2022年10月に協議会設立され、これまでに兵庫県、徳島県、香川県、今治市、南あわじ市でトライアルライドが、今治市、南あわじ市、いの町でミーティングが実施され、今回、今年度の総会が高松市で開催された。
四国最北端の竹居岬から海のきれいな庵治エリアを走る
ミーティング前には恒例のトライアルライドが実施された。会場となるJRホテルクレメント高松からバスで鎌野漁港まで移動するのだが、途中、四国最北端の竹居岬へ寄り、竹居観音寺でSetouchi Véloのご祈祷をしてもらい、その後海のきれいな庵治(あじ)エリアを道の駅「源平の里むれ」まで10kmほど走った。
40名の参加者の中にはスポーツバイクがまったく初めての参加者もいたが、eバイクなので、初心者でも上級者と一緒に楽しめるトライアルライドだった。
サイクリングによる健康増進に関するシンポジウムを開催
Setouchi Vélo協議会高松会議に合わせ、一般の方を対象としたシンポジウムが開催された。テーマは「健康生活として、自転車を日常に取り込むために」と題して、それぞれジャンルの異なるパネリストにより、自転車活用のメリット/どのように日常に取り込むか/シーンに合わせたバイクの選び方等をそれぞれの立場から「自転車に乗ることで、どれだけハッピーになるか!」を語った。
ちなみに筆者は以前から、自転車通勤をすると朝から仕事の集中力が上がると感じていたのだが、「有酸素運動により血流がよくなることで、集中力が増す」ことがデータで証明されているとこのシンポジウムで知った。エビデンスを得られたのでこれからも周りの人にジテツーを広めていこうと思う。
記念講演「健康と経営の好循環サイクルを回す自転車の知られざる謎に迫る」
ご自身もサイクリストである(一社)社会的健康戦略研究所 代表理事 浅野健一郎氏による記念講演では、「健康とは体、心、社会のウエルビーイング因子で構成され、その全てがそろったのが健康である」。「従業員の生産性の低下と身体活動の低下はつながっている」。この二つをうまく循環させるには、サイクリングやウォーキングなどの運動が有効であると語られた。
ある企業が車通勤から自転車通勤を推奨したところ、以下のデータが取れたそうだ。
1.体脂肪率が下がり、内臓脂肪が減り、足腰の改善につながった(身体的ウエルビーイング)。
2.自転車通勤をした日は血流が活性化し、活性度(やる気)が増す。さらに帰宅後も仕事からリセットされていた(精神的ウエルビーイング)。
3.自転車は移動手段としての効率が高い。実用性がある。爽快感が高い。そして何より仲間と楽しめるので、継続できる(社会的ウエルビーイング)。
以上より、自転車は健康にもいいし、経営にもいいということが確認できた。
サイクリングルートのネットワーク化に期待
Setouchi Vélo協議会の目的の一つである「サイクリングルートのネットワーク化」には大きな期待が寄せられている。
なぜならば、サイクリストは県境に関係なく移動するが、従来の自治体主導のサイクリングルートは、県境をまたがずに、県内で完結させるものが多かった。Setouchi Vélo協議会が、設立段階から瀬戸内を中心とする県、市、町を横断する形でスタートしたことは、今後の国内のサイクリング環境に大きなインパクトを与えていくのではないだろうか。
2022年10月に協議会が設立されたとき、「高速道路を管理する本四高速が何故、自転車施策を?」と、正直なところ不思議な感じがしたが、わずか一年で参加団体が25団体増え、34団体となるなど、ここまで広域に渡る団体をまとめることは、自治体同士では難しかったと思われる。しかも構成団体に鳥取県が加わるなど、瀬戸内の枠を超えて、さらに広がっていきそうな勢いだ。
2023年10月現在、季節限定(5月~11月初旬)ではあるが、大阪府岬町の深日(ふけ)港から淡路島まで「深日洲本ライナー」で直接行くことができる。そして、2028年に計画中の淡路島と徳島県を結ぶ大鳴門橋に自転車道が完成すると大阪~淡路島~四国がつながる。
また、愛媛と大分はもともと「国道九四フェリー」で行き来できるので、四国と九州もつながっている。つまり、しまなみ海道を起点とした瀬戸内エリアを中心に九州、関西とつながることになるのだ。
今後のSetouchi Véloの発展は、西日本におけるサイクリングルートのネットワーク化を加速させてくれるに違いない。
現会長の中村時広 愛媛県知事コメント
10年前、しまなみ海道を世界のサイクリストの聖地にしようと目標を立て、広島県、さらには四国四県で協力してやってきた。eバイクの普及もあり体力のない人でも楽しめるようになり、ますますマーケットは拡大すると思われるが、それに伴い、今後はこの瀬戸内エリア全体を通して、安全対策・マナーの普及にもあわせて取り組んでいく必要がある。会長職は池田香川県知事が引き受けていただいたので、今後も益々の発展を期待している。
構成団体を代表して、四国経済連合会 佐伯勇人会長コメント
昨年から実施している定例会議の中で情報共有、意見交換、トライアルライドを行い、県をまたがって、さまざまな施策を検討してきた。
しまなみ海道を起点とした、世界に誇るサイクリングによる連携の輪をSetouchi Véloの実現によりつなぎ合わせ、瀬戸内エリアが世界有数のサイクリングエリアになるよう、引き続き応援していきたい。
本四高速 後藤政郎社長より協議会の活動について報告された
1.サイクリングルートのネットワーク化について
瀬戸内地域それぞれに存する多数のサイクリングルートを「Setouchi Véloルート」としてネットワーク化し(82コース)、サイクリングマップの配布やWebサイトの充実を行なった。
2.サイクリングの推進エリア化について
兵庫県、徳島県、香川県、今治市、南あわじ市でトライアルライドを実施。今治市、南あわじ市、いの町でミーティングを実施。また、有識者との意見交換回や市町村への説明会を実施し、構成団体は20、参加団体は9→34となった。
3.国内外への情報発信について
各構成団体の観光ホームページや関連サイトへSetouchi Véloのバナーを貼付、メディアを通した情報発信、サイクルモードなどのイベント出展を行なった。
新会長 池田豊人 香川県知事
知事に就任した1年前に会長職の依頼を受けて即答で返事をした。前職の国交省時代、自転車活用推進本部の事務局長をやっていたので天命だと思って引き受けさせていただいた。
今日は香川県の中でも特に海がきれいな庵治エリアを気持ちよくサイクリングさせてもらい、会長職を引き受けてよかったと思った。これから一年間、香川県内のサイクリングのレベルアップを図りながら、瀬戸内エリアのルートとのつなぎの部分をしっかりと進めていきたい。
来年は4回の市町村ミーティングと10月に広島県内での総会を予定している。
構成団体(順不同)
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、中国経済連合会、四国経済連合会、一般社団法人せとうち観光推進機構、一般社団法人四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路株式会社、(新規加盟)鳥取県、中国経済産業局、四国経済産業局