全日本最速店長選手権 ペダリスト山崎店長「俺のこだわり、聞いてくれ」“小柄な僕が乗りやすい自転車の話”
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僕の後ろは意味がない
僕の身長は157cmなんですが、正直、僕より小さい男性の方とはあまり会ったことがありません。第一印象で「小柄だな」と思っても、近くに行くと僕より背が高かったりすることがあります。
高校を卒業して1年目の時、国体でトラック競技のチームパシュートに出場しました。僕は一走として走りました。一走はスタートから先頭を走り、タイムを上げて最後の方で離れるという役割。途中で離脱する予定でした。
レースが始まり、最初に先頭を引いて、みんなで順番変わってもう一度1.5周ほど引いてタイムを上げて、さあバンクの上に上がって終わり、と思ったら、先輩が一人ちぎれて離れてしまっていたんです。
チームパシュートは4人中3人目のフィニッシュタイムで決まります。ですから1人は離れてもいいのですが、逆に言えば、3人目となるはずの先輩がちぎれたので、僕が前の2人に追いつくしかありません、マジか。
で、命からがら追いついてフィニッシュして、その先輩に感謝されるかな、って内心思っていたんです。そしたら「お前が小さいのが悪い。お前が小さいから後ろに付いていても風除けにならないから意味がない!」ってその先輩に怒られました。マジか。
「アンタが速ければ問題ないのに!」と、つい言い返してしまったんですよね、先輩なのに。その時から山崎の後ろは付いても意味がない、と言われるようになりました。
顔を上げればそこにはお尻
今だと、岡篤志選手(JCL TEAM UKYO)が『ランボルギーニ・タックポジション』だとあだ名がついているみたいです。後ろについても風除けの意味がないぐらい空力がいいという意味で。
逆に言えば、この人に後ろに付いても意味ないよ、という感覚を僕は経験したことがありません。身長175cmぐらいの選手の後ろに付くと、前が全く見えなくなってしまいます。顔を上げれば、そこにはお尻が。
そう考えると、この間の店長選手権で僕と一緒に逃げていた西谷店長は、だいぶ不利だったかもしれないですね。僕の後ろに付いても意味がなく休めなかったかもしれないので、倍キツかったのかなと思います、スイマセン。僕は隠れてばっかりでしたから。
小柄な方が乗りやすいノウハウ
そんな僕の自転車は特徴的だなと、自分でも思っています。小柄な方でもポジションを出せるノウハウを、これにたくさん詰め込んだという感じです。
まず車体はピナレロ・F5のサイズ43、最小サイズです。サイズ展開を豊富に持っているのが、ピナレロの良いところ。
ハンドルはピナレロのモストじゃなくて、最速店長選手権で勝った時に使っていた340mm幅のサトリのプライマリーバーを使っています。
ブレーキレバーは、多分これぐらいの内幅なら、UCIの新しい規則であるブレーキレバー角度に照らし合わせても大丈夫だと思います。気にしてブラケットをだいぶ外に向けた感じにしてみましたが、これまでの内向きポジションに慣れてしまっていたせいで、乗りにくく感じました。
ワイヤ内装用のヘッドキャップを取っている分、ハンドル位置を低くできました。本当はもっと低くしたいんですけれど、これ以上下げるとヘッドキャップにステムが干渉しちゃいますから。ステムの長さは130mmです。
フレームサイズが小さいので、ボトルケージは抜きやすいようサイド抜きタイプを使っています。
フロントはローターのチェーンリングで54Tです。パワーメーターを使いたいので結局これにしました。チェーンリングはシングルですが、インナーを付けているので、落としたいときは手でチェーンを手動でインナーに落としてしまいます。まあこれは身長には関係ない部分ではありますが。
これで身長150cmぐらいの方でも乗れるんじゃないかなと思います。ステムももう少し短くできる余地がありますし。僕と同じ悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
PROFILE
第12代目最速店長
山崎泰史
第12回全日本最速店長選手権・優勝、『ペダリスト・ピナレロショップ横浜店』店長。神奈川県出身、高校時代の愛称は『豆タンク』、ランボルギーニが良かった(泣)。
ペダリスト ピナレロショップ横浜
神奈川県横浜市西区高島町2-3-21 ABEビル1F