Setouchi Vélo協議会が四国4県トライアルライドを実施

目次

Setouchi Véloの目指す「瀬戸内地域やその周辺地域を環境に配慮した、安全で快適な、世界にも認められるサイクリングの推進エリア」実現に向けたトライアルライドが行われた。

開催日時●2024年4月10日(水)、4月11日(木)、4月12日(金)
主催:Setouchi Vélo協議会

四国4県トライアルライド

Setouchi Vélo協議会のトライアルライドに参加してきた

今回の四国4県トライアルライドは、協議会の構成・参加団体によって行われたのだが、このライドの目的は、県境をまたいで走り、各エリアの魅力の発見と自転車環境(路面状況、標識など)の確認、そしてそこから得られる気づきや課題を掘り起こし、組織メンバーで情報共有し、今後の取り組みに活かすものだ。
ルートは以下のとおり
一日目:愛媛県今治市~愛媛県松野町~高知県四万十町~高知県いの町~高知市
二日目:高知市~高知県香南市~高知県安芸市~高知県室戸市~徳島県海陽町~徳島市
三日目:徳島市~徳島県美馬市~香川県さぬき市~香川県高松市

愛媛県と高知県の県境

愛媛県と高知県の県境

高知県と徳島県の県境

高知県と徳島県の県境

徳島県と香川県の県境

徳島県と香川県の県境

ちなみに限られた時間ということもあり、ルートの大半はバス移動で、ライドは参加者全員がジャイアントとLiv(女性モデル)のeバイクを使用した。

伊予鉄サイクルバス

伊予鉄サイクルバス

移動は伊予鉄のサイクルバスを使用。バイク19台、助手席を使用すれば、25名の乗車が可能。車内でeバイクの充電もできるという、まさにサイクリストのために作られた車両

ライド後に実走したルートを全員でディスカッション

バス移動は、はたから見ると大人の遠足のようにも見えるが、決してそんなことはなく、バスの中で行われるライド前ブリーフィングでは、ライド時にチェックすべき下記の3つの要点が伝えられた。
① 走行中に得られる「エリアの景観や歴史観・風土などの魅力を五感で感じ、記憶に残す」
② 走行時のハード面、ソフト面に目を向け「エリアの自転車環境の現況・課題」
を見つける
③ ①と②から得たことによる「アイデアや解決法」を考える

そしてライド後のバス移動時に、上記の①②③を全員が発言し、その場で共有するので、日頃からおちゃらけ発言連発の筆者としては、なかなか緊張感のあるトライアルライドとなったが、自分では気づかないような意見を聞くことができたので、とても勉強になった。

鮎の塩焼き

道の駅 四万十とおわでは鮎の塩焼きを食べられる

鰹のタタキ

高知に来たら絶対食べたい鰹のタタキ

ライド後のディスカッション

ライド直後に実走したルートについて、ディスカッションするので、フレッシュな意見やアイディアがたくさん出ていた

四国4県を走り見えてきたもの

今回、愛媛県をスタートし、高知県、徳島県、ゴールの香川県まで走ったわけだが、最も印象的だったのは、同じ四国なのに、エリアによって景観がガラッと変わるというところ。

愛媛県の松野町では松丸街道の宿場町の風情に始まり、日本昔ばなしに出てくるような山々の間を抜けていった。高知県に入ると、仁淀川、四万十川の清流や沈下橋の登場だ。川の水がとにかく美しい。さらに同じ高知県の太平洋に出ると、前半は穏やかな海だったのが、室戸岬以降は荒々しい波しぶきと強烈な向かい風に悩まされた。徳島県の美馬市では、うだつの町並みから、日本の原風景のような田園地帯を楽しむことができた。

松丸街道の宿場町

愛媛県松野町 松丸街道の宿場町

四万十川の沈下橋

高知県四万十川の沈下橋

土佐電気鉄道安芸線の配線跡

高知県の土佐電気鉄道安芸線の廃線跡はサイクリングロードとして使用されていて、とても走りやすい

室戸岬

室戸岬まで来ると、一転して荒々しい岩と強烈な波しぶきが登場する

お遍路さんとすれ違う

お遍路さんとよくすれ違うのが、四国ならではの景色。お互い旅人として触れ合うのも面白いと思う

うだつの町並み

徳島県美馬市 うだつの町並みでは、隣家同士で、競いあったとされる立派なうだつを見ることができる

徳島県と香川県の県境を結ぶルート

徳島県と香川県の県境を結ぶルートでは、まさに日本の原風景を思わせる景色に出会い、癒される(ニッポン最高!)

枝垂れ桜

枝垂れ桜の美しさに参加者の表情にも自然と笑みが溢れる

道の駅ながお

今回のゴール地点、香川県さぬき市の道の駅 ながおにて、体を張ったVELOポーズで記念撮影

また、走行環境の点では、ドライバーのサイクリストへの理解度が愛媛県が断トツで高く、高知県の太平洋側に出ると、トラックが多いことから、抜かれる際、ひやっとすることもしばしば。徳島県は、ドライバーがサイクリストに慣れていない印象をうけた。

サイクリストに県境は関係ないが、(一部のエリアを除いて)自治体が作成するサイクリングマップは総じて、県をまたぐものは依然として少ない。
今回走った徳島県と香川県の県境をまたぐルート(国道193号)では、徳島県にはなかった路面標識が峠を越えて香川県に入った途端、現れたのだが、この道は香川県の推奨サイクルルートになっていたのだ。
景色もよく、車も少なく、とても走りやすいルートなので、両県で推奨するルートにすればいいのに、もったいないなと強く感じた。

サイクルルートの広域連携は、まだまだ課題も山積みだと思うが、Setouchi Vélo協議会は、そういった行政間の区切りをなくし、瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮し安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」にしていくことを目標にしている。

2022年10月に瀬戸内圏8県と中四国の経済連合会、地方整備局や地方運輸局等
約30の団体でスタートした同協議会は、わずか一年半で76団体となっている。
今後、瀬戸内エリアとその周辺エリアにおけるサイクリングルートのネットワーク化をさらに加速させていきそうなので、引き続き注目していきたい。また、全国のサイクルツーリズムを実施している地方自治体の方たちにとっても、参考になる事例が出てくると思われるので、ぜひとも注目していただきたいと思う。

 

 

構成団体(順不同)
兵庫県、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、近畿地方整備局、中国地方整備局、四国地方整備局、近畿運輸局、神戸運輸監理部、中国運輸局、四国運輸局、(一社)中国経済連合会、四国経済連合会、(一社)せとうち観光推進機構、(一社)四国ツーリズム創造機構、本州四国連絡高速道路(株)

Setouchi Vélo HP