自動車関連会社による「自転車事故削減に向けた新たな官民連携のあり方」に関するシンポジウム開催
2024年4月23日、タテシナ会議の自転車・二輪分科会が、官民連携による効果の高い施策や啓発手法を検討し、その普及により安全な自転車交通の実現を目指すことを目的として、新たな官民連携のあり方を検討するシンポジウムを開催した。
タテシナ会議は、毎年、交通安全に祈りを捧げる蓼科山聖光寺夏季大祭において自動車や関係する業界のトップ役員が一堂に会すことを受け、2019年に、交通事故死傷者ゼロの実現に向けて思いを共有し、協働するための場として初開催されたものだ。2023年7月の開催時に、交通安全への想いと交通事故死傷者ゼロに向けた取り組みをさらに実効性のある活動にしていくため、児童や高齢者など交通弱者への支援や自転車・二輪車が絡む事故、海外での事故などの課題に焦点を当てた5分科会が発足。クルマ・人・交通インフラの三側面から、政府・自治体や関係機関とも連携を図り、「交通事故死傷者ゼロの実現時期を少しでも早めること」を目標に取り組んでいる。
シンポジウムには、オンラインを含め70を超える企業・団体から約150人が参加した。官民連携ということで、まずは基調講演として、官側の国土交通省自転車活用推進本部、警察庁交通局が直近の政策などを紹介した。
続いて民側の自転車・二輪分科会が行っている取り組みを説明。豊田都市交通研究所からは法令遵守のための行動変容アプローチについて、ブリヂストンサイクルからは全国の小中高等学校で行っている交通安全教室などの自転車交通安全啓発活動について、パナソニックシステムネットワークス開発研究所からはスマートポールの活用について、トヨタ自動車からはスマートフォンの通信技術の活用についての発表があった。
後二者のスマートポールとスマートフォン通信技術に関してはデモンストレーションも行われた。これらは、ITS(Intelligent Transport Systems=高度道路交通システム)という、人と道路と自動車との情報の受発信によって、道路交通が抱える事故や渋滞、環境対策などの課題解決を目指すシステムで用いられ、参加者は、スマートポールと自転車との協調技術や、スマートフォンの連携による自転車の接近通知を体験した。
最後は「産官学民連携の方向性とその具体策」という題目でパネルディスカッションが行われた。その前提として、官との連携をしながら、交通環境整備や安全啓発に長年取り組んできたということで、自転車利用環境向上会議全国委員会の会長であり、NGO団体、地球の友・金沢の三国成子さんが基調報告した。三国さんは、ヨーロッパで得た知見から、交通環境の整備において、クルマ、自転車、歩行者という階層ではなく、人を真ん中に置いて考えるのが一番の基本だと話した。そして、常に人を真ん中に置いて、まちづくりとして交通をどう考えるか結びつけて行政との情報交換をできるような状態を続けているという。
タテシナ会議の自転車・二輪分科会は、広くアドバイスを募って、より実効性の高い施策の開発に取り組んでいく。