サイクリング初心者に知ってほしい! 自転車女子が教える クロスバイクでサイクリングに挑戦するコツ
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自転車通勤や街乗りで活躍する人気のスポーツ自転車“クロスバイク”。一方でサイクリング目的としても乗ることができ、休日にチャレンジする人も多い。そんなクロスバイクでこれからサイクリングしてみたいと思っているスポーツバイク初心者に向けて、コツを自転車系YouTuberとして活躍する「ななな」さんに教えてもらおう。
最初はどんなところを走ればいい?
せっかく手に入れたクロスバイク。通勤や街乗りだけじゃなく、休みの日にサイクリングにも挑戦してみたいな、と思う人は多いはず。
ところがいざやってみようと思っても、どこを走ったらいいのか、何を持っていけばいいのかなど、分からないことだらけだろう。
「私も最初は分からないことだらけで、いろいろと失敗もしました。そんな私だからこそ、みなさんに参考にしていただけることは多いと思います」と、なななさん。
「最初はどんなところを走ったらいいか? というのは大きな疑問だと思います。
初心者の方がやりがちなのは、交通量の多い道を走ってしまうことです。私も初期の頃はそれをやってしまっていました」。
「ずばり、初めてサイクリングに挑戦するなら、サイクリングロードを走ってみるのがおすすめです。私も初心者のうちはサイクリングロードをひたすら楽しんでいました。
自動車の交通量が(ほぼ)ないので、安心して走ることができます。また、信号でひっかかることも少ないので快適です。坂道があまりないのも魅力ですね。道に迷ってしまう可能性も少ないと思います。
家の近くにサイクリングロードがない人は、できるだけ交通量と信号の少ない川沿いの道などを探してみると良いですね」。
どんな服装で走ったらいい?
「まずは、当然ですが安全のためには必ず①ヘルメットをかぶってください。スポーツ自転車用を選びましょう。
あとは、運動に適していればどんなものでもいいのですが、できれば着用してほしいのが以下の②〜④です。
まずおすすめしたいのは、②お尻にパッドがついているサイクリングパンツです。初心者の人が最初に一番悩むのはお尻の痛みで、私個人もこれで一番悩みました。パッドがついたサイクリング専用のパンツを履けば、だいぶこれを解消できますし、動きやすいです。
ただピチピチしたフォルムになるのも事実で、それが嫌な人は結構多いでしょう。そうした人は、できるだけ体にぴったりとしたタイプの一般のスポーツウェアで、ショートパンツ等を履くと良いと思います。
次におすすめなのは③サイクリンググローブです。安全のためという理由もありますが、手にかかる負担を軽減してくれる効果が大きいからです。一般の自転車と違ってクロスバイクは前傾姿勢が強くなるので、その分手に荷重がかかりがちです。サイクリングしているとそれで手が痛くなることも多いので、ぜひサイクリング専用のグローブをすることもおすすめします。
上半身のウェアについては④サイクリングジャージをおすすめします。体にフィットしてサイクリングしやすく、かつ吸水性と速乾性に優れています。サイクリング中は意外とかなり汗をかきます。暖かい時期だとすぐに汗でベトベトになって不快になり、汗冷えしてしまうことも。私も初心者のころは普通のTシャツで走っていて、すごく不快な思いをしていました」。
「また、サイクリングジャージは背中にポケットがついていて、ここに小物を収納できます。私もそうでしたが、みなさん荷物をたくさん持ってバッグを背中に背負いがちで、すると結構肩まわりに負担がかかって疲れやすくなったり、動きにくくなります。
できるだけ荷物はこうしたポケットやあとで説明するサドルバッグなどに入れて、体には何も身につけない方がいいと思います。そういう意味でもサイクリングジャージはおすすめです。体にフィットしたフォルムになりますが、上半身なのでサイクリングパンツほど抵抗感はないと思います。
最後に靴についてですが、⑤運動に適したシューズでペダルを踏みやすい/スリップしにくいものであれば、どんなものでも構いません。ランニング用のシューズなどで問題ありませんよ。
なお、個人的には真夏の時期でもアームカバーとレッグカバーなどを組み合わせて手脚を覆うことをおすすめします。日焼けで意外と体力を奪われてしまいがちだからです」。
出発前にやるべきことは?
「しっかりとタイヤに空気を入れることです。タイヤの空気はほったらかしにしていて抜けた状態になりがちで、するとパンクのトラブルを生みやすいので、しっかり出発前に適正値まで入れておきましょう。
空気圧計がついたタイプのフロアポンプを使うのがおすすめです」。
装備するべきものは?
ライト&テールランプ
「まず安全のために絶対に必要なのが(ヘッド)ライトとテールランプです。なお、自転車に買ったときから付属していることが多いですが、ベルも必須です」。
パンク修理セット
「万一のパンクに備えた装備も必須です。その場合はタイヤ内のチューブを交換し、携帯ポンプで空気を入れるのが基本となります。最低1本の予備チューブ、タイヤレバー、携帯ポンプを持ちましょう」。
ボトル&ボトルケージ
「水分補給のことって忘れがちです。出先のどこで水分を買うかとか飲むかなんて、皆さんあまり考えませんよね。
サイクリングは汗をかきやすいと説明しましたが、その分水分補給も大事になります。しかも、意外と出先で自販機・コンビニが全然ない!なんて事態にもなりやすいんです。私もそうしたことが分からなくて、水分補給できずにのどが乾いて大変な思いをしたことがあります」。
「なので、ボトルケージを装着し、サイクリング用のボトルに出発するときから水分を入れて持って行った方が絶対いいです。ペットボトルでもいいですが、片手でパッと取ってすぐ飲めるサイクリング用ボトルにした方が便利です」。
サイクルロック(カギ)
「これも絶対に持って行った方がいいです。サイクリング中は通勤時のように何時間も駐輪するわけではないので、携行しやすいワイヤタイプがおすすめです。ちょっとコンビニに立ち寄るとか飲食店などに立ち寄る際、これがあるのとないのとで全然安心感が違ってきます。
なお、サイクリング中の駐輪のコツについては、後の章で詳しくお伝えします」。
携帯ツール
「できれば持っていった方が良いアイテムです。自転車のネジ類の緩みがあったら締め直すなど、何かトラブルがあったら最低限の対処ができます」。
自転車に装着するバッグ類
「先に説明したように、できるだけバックパックなどで荷物を体で背負わない方が疲れず、快適に走れます。そのために、必要な装備は自転車に装着するバッグ類にうまく収納するのがおすすめです」。
「便利なのはサドルの下側に取り付けるサドルバッグです。ここに予備チューブ、タイヤレバー、サイクルロック、携帯ツールなどの装備を入れると良いです」。
「他におすすめなのは、トップチューブと呼ばれる部分に取り付けるフレームバッグですね。ここにさっとすぐ取り出したい小物を入れると便利です。
ちなみに、私は出先でコンビニや飲食店がなくてお腹が減ってどうしようもなくなってしまったときのために、おにぎりやゼリー、ようかんなど、すぐエネルギーに変わってくれる補給食を最初から持っていきます。そうした食べ物を入れておくのにも便利ですよ」。
快適に走るためのコツ
①お尻に荷重・衝撃が集中しすぎないように
「すでに説明したように初心者が一番悩みがちなのはお尻の痛みだと思います。お尻に痛みが出ないようにするには、なるべくお尻(サドル)に荷重と衝撃が集中しすぎないようにすることが大切です。体重をサドル・ペダル・ハンドルで分散させるように意識した走り方を自分で探ってみてください」。
「ですが、それも最初のうちは難しいでしょう。一つ試してみてほしいのは、たまにお尻をサドルから浮かしてあげることです。初心者はベターっとサドルに座り続けがちなんですが、こまめにお尻を浮かして、負担がかかり続けないようにしてみてください。
また、細かい段差やガタガタしている路面の悪いところがあっても同様に浮かしてみてください。これだけでもだいぶ違ってきます」。
②適切なサドルの高さにする
「快適にペダルを回すためにかなり大事なことです。高すぎず、低すぎず、適切なサドルの高さにしましょう。そのために、購入したスポーツ自転車専門店にポジションを相談してみましょう」。
③こまめに変速する
「向かい風になったり坂道になって速度が落ちてきて、ペダルが重くなってきたなと思ったらどんどんギヤを軽くしていってください。
逆にペダルが空回りするくらいクルクルと回りすぎていたら重いギヤにしていってください。
重すぎず、軽すぎない、ちょうど良いギヤにこまめに変速していくのが大事です」。
④無理せずこまめに休憩する
「ちょっとでも疲れたなとか、お尻が痛くなってきたなと思ったら、どんどん休憩を入れてください。
また、調子が悪くなったり、今日はもう無理だなと思ったらいつでもすぐ引き返していいんです。
サイクリングでは最初から長い距離を走る必要はまったくなく、自分が心地良いと感じるくらいから挑戦してみるが大事だと思います」。
ななな流 サイクリングを楽しいものにする秘訣
「●km走ろう! とか、しっかり走って運動しよう!という考え方から入るのではなく、何か楽しみを見つけて、それを目的にして走るのがいいと思います」。
「おすすめなのはグルメスポットです。例えば、“サイクリングロードをつないで隣町にあるおいしいと評判のパン屋さんまで行ってみよう”“あのジェラート屋さんまで行ってみよう!”といったことです」。
「きれいな景色が見られるスポットを目指すのもいいですね。個人的には写真が撮れるスポットを組み込むのが好きで、できるだけそうするようにしています。そうしたスポットを事前に調べて、そこを目指すのもまた楽しいんです。
そうした目的地を目指して走ると、気がついたら20kmとか30kmとか、今までの自分だったら電車や車で行っていたようなものすごい遠くまで、結果的に自転車で走れてしまっているんです。
“自転車であんなところまで行けたんだ!”という喜びを積み重ねていくと、どんどんサイクリングの楽しみが広がっていって、もっと大きなチャレンジがしたくなってくるのです」。
飲食店やコンビニなどに立ち寄るときの駐輪術
「気をつけたいのはやはり盗難です。対策としては、どんなに短時間の駐輪でも必ずカギをかけること、そしてサイクルラックを置いていて目が届きやすいお店を選ぶことです」。
「飲食店の中にはスポーツ自転車に理解があって、それ用のラックを置いてくれているところがあります。テラス席から愛車の様子が常に見える店舗も中にはあります。コンビニでもラックは置いてくれているところは多いですよ。
また、立ち寄るにしてもできるだけ手短に済ませることも大切です。
ごっついサイクルロックを携帯して対策するというよりも、置き場所や選ぶお店で工夫して対策する、というのがいいと思います」。
記事で登場している「FORCE(フォース)」について
チェコの総合自転車アクセサリーブランド。その展開アイテム数は約3000に達し、ヘルメット、ライト、スタンド、サイクリングウェア、ポンプ、工具類など、ほぼワンブランドで必要なものを網羅できる。「Be Force」(“全てのサイクリストの力になる”)をコンセプトとし、高品質で手頃な価格を実現していることが特徴だ。