2024年の自転車活用推進功績者と自転車通勤優良企業が決定
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自転車の活用の推進に関して顕著な功績があると認められる個人または団体への「自転車活用推進功績者表彰」の2024年の受賞者が決定し、その表彰式が国土交通省で行われた。この表彰は、自転車活用推進法15条に基づくものであり、今回が7回目となる。また、自転車活用推進計画に基づき、自転車通勤を積極的に推進する企業、団体を認定する制度「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトの「宣言企業」から、特に優れた企業、団体が認められる「優良企業」も決定し、表彰された。
2024年の自転車活用推進功績者には、古倉宗治氏さん、堺 自転車のまちづくり・市民の会、ツールド妻有実行委員会、T‐FORESTRY(ティー・フォレストリー)、鳥取県西部ブランディングプロジェクト「大山時間」の1個人と4団体が、自転車通勤推進企業宣言プロジェクトの優良企業には、あさひ、クリオシティの2社が選ばれた。
2024年の自転車活用推進功績者
古倉宗治さん(東京都)
自転車先進諸国の自転車政策、自転車の放置問題、自転車の安全利用方策、自転車利用環境のあり方等に関する調査研究及びこれらに基づく自転車活用のための普及啓発活動等を通じて、長年にわたり、幅広い分野において国、地方の総合的体系的な自転車利用促進に当たってきた。
古倉さんのコメント:
「表彰の栄を賜り誠に感謝に耐えません。
これまで、研究所、NPO等で欧米の先進事例や我が国の自転車利用を促進するための調査研究等を通じて、自転車の地位向上と活用推進に取り組んで参りました。自転車は交通だけでなく、環境・医療・健康・高齢者・観光・地域活性化・災害等幅広い分野の重要な施策ツールであり、今後とも多様な自転車の活用推進に邁進して参ります」
堺 自転車のまちづくり・市民の会 (大阪府)
2005年の設立以降、区民まつりやツアー・オブ・ジャパン堺ステージでの安全啓発ブースの出展や自転車地図の作成、散走の実施等を通じて、自転車の利用促進と交通安全啓発の両輪で取組を展開している(4万人以上への啓発、3万部以上の自転車地図を配布)。
近年では、自転車の利用促進や交通安全啓発に向けた動画を制作しユーチューブで発信を行ったり、自転車安全利用五則を同団体で作成している自転車地図へ印刷し配布したり、手作りのサイクルラックの設置などを行い、行政や民間事業者との懸け橋にもなり、市民の安全で快適な自転車利用の取組を積極的に展開している。
堺 自転車のまちづくり・市民の会のコメント:
「この度は栄えある賞をいただき、大変光栄に思います。
平成17年に実施された国土交通省の社会実験に応募した「市民協力員」が中心となり、当会が誕生しました。
約20年にわたり活動を継続し、①市内のイベントにおける「自転車ルールクイズ」の実施や警察署と連携した交通安全啓発活動、②散走の実施、③堺自転車地図の作成、④サイクルラックの制作・設置などを行ってきました。
今回評価いただいたことを糧に、今後も活動していきたいと思います」
ツールド妻有実行委員会(新潟県)
「TOUR DE TSUMARI(ツールド妻有)」の企画運営を行う。
ツールド妻有は、2006年「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」において、建築家伊藤嘉朗氏が企画、発案したサイクリングイベントとして初めて開催された。以降、ほぼ毎年開催し、2017 年からは自立した実行委員会が主催するイベントに。
レースではなく、里山の風景や地域内に点在するアート作品等を楽しみながら地域を巡るアートツアーとして地域活性化へ貢献している。
ツールド妻有実行委員会のコメント:
「芸術祭の作品として始まったこのイベントが、地元の方々と一緒に大きく育ててこられたこと、多くの参加者の方々が地域と一体となって盛り上げてくれたことが、評価いただいたと思うと感激です。
今後も多くの方に参加してもらってこの地域の良さを感じていただければと思っています」
T-FORESTRY(神奈川県)
2018年、所有する森林内に初心者に焦点を当てた MTB施設「フォレストバイク」を開設。森林内でのMTBによる走行を学ぶための初心者講習やステップアップ講座等を開催。年間5000人が来場するとともに、多くのMTBメーカーがフォレストバイクを会場にイベントを開催するなど、MTBの普及に大きく貢献。
周辺地域を民間事業者、行政機関、森林組合等が連携したネイチャーアクティビティが体験できる「ODAWARA FOREST BASE(小田原フォレストベース)」として「森林サービス産業推進地域」に登録し、一体的に展開して地域活性化にも貢献している。
T-FORESTRYのコメント:
「日本のマウンテンバイクレジャーはまだまだ発展途上です。
私たちの運営する「フォレストバイク」は、森林サービス産業推進地域として森林所有者とマウンテンバイカーの両方の視点を融合させ、持続可能でオープンな森林利用を行っています
日本における新しい林業経営とマウンテンバイク文化を育む場所として、さらなる発展を目指します」
鳥取県西部ブランディングプロジェクト「大山時間」(鳥取県)
域内7つの商工会が連携して2017年に立ち上げた団体。
地域課題の解決に向けて、サイクルツーリズムによる国外を含む域外からのサイクリング誘客を中心とした消費拡大を目的に地域ブランドの確立によるブランディングを推進。サイクリストの受入環境整備事業として機運醸成やサイクルプロツアーガイド・地域コンシェルジュ養成、サイクルツアー造成、情報発信等を実施している。
鳥取県西部ブランディングプロジェクト「大山時間」:
「自転車活用推進功績者表彰を受賞できましたこと、大変光栄です。
「大山時間」は、自転車を活用したまちづくりを目指していますが、今回の受賞で、改めて“継続は力なり”を実感しています。
今後も、地域・企業・人が輪になった、自転車に優しいまちづくりと、地域産業の持続的発展を付加させた「サイクリストの聖地化」を目指し、商工会目線で取組んでいきます」
2024年の「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト「優良企業」
自転車通勤を積極的に推進する企業、団体を認定する「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトでは、2024年3月末時点で「宣言企業」に61社が認定されている。そのうち、「優良企業」には9社が認められており、今回の2社を合わせれば11社となる。
あさひ(大阪府)
自転車専門店「サイクルベースあさひ」を全国にチェーン展開している。
自転車利用のサポートや安全啓発を目的として、一般向けに「自転車通勤スタートガイド」などを発信。
また、従業員が自転車利用者の規範となるよう、交通マナーに関する研修動画の配信や交通安全講習会等を実施しているほか、自転車やヘルメット等の購入補助、従業員が対象となる自転車通勤等に関する損害賠償責任保険に会社として加入するなど、充実した福利厚生を導入している。
あさひのコメント:
「当社の取り組みをこのような形で評価いただき、大変光栄に思います。
「優良企業」としての自覚を持ち、今後も「自転車を通じて世界の人々に貢献していく」という経営理念のもと、自転車通勤をはじめとして、自転車に乗るすべての方が豊かな自転車ライフを送れるよう活動を続けてまいります」
クリオシティ(神奈川県)
自転車部品を割引購入出来る福利厚生の導入や故障などの自転車トラブルに対応できる人材、用具の設置。多様な視点も取り入れた動画教材の活用など安全教育に注力している。
クリオシティのコメント:
「この度は「自転車通勤優良企業」に認定いただき、光栄に思います。弊社は主に自転車を用いて配送を行うメッセンジャー会社であり、自転車通勤以外に、イベント開催やカーゴバイク普及活動等にも取り組んでいます。今後もサイクルロジスティクスを推進し、バイシクルフレンドリーな社会が広がる一助になれるよう貢献して参ります!」